劇団員コラム
シーン94『 1/32 』 しんご
「一年」という単位は常に同じ時間を表すが、個々人の「一年」の感じ方はそれぞれ異なる。ある人にとっての「一年」の時間量は、1年をその人の年齢で除したもので表される。例えば・・・。
15歳の人にとっての一年は、1/15 であり、
60歳の人にとっての一年は、1/60 である。
とすると、1/15>1/60 であるので、60歳の人の方が15歳の人よりも一年を短く感じるのである。
・・・これは、若い頃から密かに考えていた自論なのですが、以前テレビである学者さんが同じことを話していたのを聞き、驚くとともに「やっぱりそうか」と確信を持ちました。
年齢を重ねるにつれて一年が過ぎるのを早く感じるようになるのは、このためだと思います。また、多感な15歳の頃の1年は、例えば30歳になった時、その人にとっては1/30という時間量なのかもしれませんが、その当時に感じた1/15という価値があるのかもしれません。
演劇に出逢い、ただ演劇に浸かってみたかった頃の一年は、1/16。
シブパの旗上公演に向けて、必死になっていた頃の一年は、1/25。
そして今回、更なる成長のための充電期間を過ごす一年は、1/32。
私にとってその時々の「一年」の時間量はこうなります。
ですが、1/16 にも 1/25 にも劣らない 1/32 にしたいと思います。 限りある時間を有効に使い、より良い舞台を創るため、精進していきたいと思います。何がしたくて、何をすべきか。劇団員と劇団と演劇と、そして自分自身と向き合い考えていける、そんな「一年」にしたいと思います。
何の根拠も確信もありませんが、充電期間を終えてから迎える「一年」が、楽しみでなりません。
そういえば。
演劇と出逢ってから16年。
つまり、演劇と出逢ってからの時間量は16/32。
ちょうど1/2になるんだなぁ・・・。