劇団員コラム

シーン53『昔の気持ち』 おーつけーこ

 昔、私がこどもだった時、家に足ぶみのミシンがありました。母がカタカタと音をたてて、いろんなものを作ってくれました。小学校5年生くらいの時、自分のお年玉と母の援助で、小さいピンクのミシンを買いました。その小型ミシンで、私もいろんなものを作りました。数年後、そのミシンは動かなくなってしまいました。修理に出そうとお店に持っていくと、「1万円程かかるので、新しいのを買った方が得ですよ」とのこと。 ですが、新しいのを買う気にもなれず、結局、修理にも出さずに、こわれたままのミシンをずっと置いたままにしていました。ずい分、長いこと、修理にも出さず、かといって捨てることもできずにいたのです。最近、やっと、「こわれたままじゃ使えないし、新しいのを買おう」という気持ちになり、小学生の私では買えないような、いいミシンを買いました。


 「自分のミシン」としては、これが2台目。1台目とおさらばするのに、ずい分と時間がかかってしまいました。その間、ミシンを使う楽しさをすっかり忘れていたのですが、2台目のミシンで巾着袋を縫ってみたら、ワクワクする気持ちが少しずつ戻ってきたのです。2台目ミシンさん、これからもよろしく。