シーン434『中学最後の思い出』 小菅 信吾
2026.3.13
前回に続き、ちょっぴり思い出話を。
卒業シーズンになると、中学卒業の日を思い出す。
あの日、保護者や学校関係者、近所の花屋の協力を得て、事前に皆で相談した“サプライズ”を担任の先生に仕掛けた。
当時はまだ“サプライズ”なんて言葉は使われていなかったが、今振り返るとまさしくそれだ。
中学3年時のクラスは比較的皆仲が良く、雰囲気も良かった。
担任は新卒2年目の若い男の先生だった。
(新卒1年目は中学2年時の担任で、クラス替えがあったにもかかわらず2年続けてお世話になっていた。)
穏やか人柄もあり、親しみを感じさせてくれる先生だった。
親しみやすいからこそついワガママを言ってしまい、何かと困らせたこともあったろう。
もしかしたら、都合の悪い記憶を忘却させているだけなのかもしれない。
けれど、良い先生であったことは確かで、その証拠に良い思い出が沢山残っている。
そうして迎えた卒業の日。
体育館での卒業証書授与式を終え、教室に戻り最後のホームルーム。
その終わり間際。
私たち生徒は、机の中から一輪の花をそれぞれ取り出した。
先述の協力者の方々に式典の間に空っぽの教室へと花を届けてもらい、一輪ずつラッピングされた花を仕込んでおいてもらったのだ。
教壇に立つ先生へ、一人ずつお礼の言葉を伝えながら花を手渡していった。
ちょっとやんちゃ気味だった友人が最後に渡す頃、まるでひとつの大きな花束のようになった生徒と同じ数の花を両腕に抱えながら、先生の顔には涙と笑顔が溢れていた。
生徒たちも、教室の後方にいた保護者たちも、皆似たようなものだった。
沢山の笑顔に彩られた、そんな中学最後の教室での出来事。
今から35年前の3月のこと。