劇団員コラム

シーン418『インプットとしての読書』  沢村 希利子

 蒸し暑い日も増えて、初夏の日差しが眩しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。


 ただ今育児に専念中の私、演劇からちょっと遠ざかっています。

 ほとんど人と会うことのない密室育児。

 演劇どころか外界から遠ざかっている気がしてなりません。


 演劇と関われないながらも自分にできることをやろう、戯曲を読んだり朗読の練習をしよう、と思うものの、気力と体力がなかなかそこまで持ってはくれません。

 せめて趣味の読書だけでも続けたいものです。


 私のライフワークになりつつあったはずの読書。

 最近ちょっと疎かではありますが、どうにか毎日少しずつ進めています。

 今はいい時代なもので、アプリやインターネットで手軽に本を読めるので、入浴中や外出時にスマートフォンなどで読むことができ、持ち運びも楽です。


 10代の頃、教科書に載っている文豪の作品をちゃんと読んでみたいと思いつつできずにいました。

 時代と共に「本」の形態が多様になっただけではなく、自分の意識や時間の使い方が変わってきたのか、ここ2〜3年、あの頃読めなかった古き良き名作文学を、貪るように読んでいます。


 以前にも書いたかもしれませんが、イギリスの大学の研究によると6分間の読書がストレスを軽減するのだそうです。

 日々の忙しさの中で、ほんの一瞬でも現実世界を忘れて別の世界を疑似体験するのがいいのかもしれません。


 また、我々のような演劇人にとって、読書で得られる疑似体験は大切なインプット作業とも言えます。

 物語の世界観、登場人物の姿や思考などをイメージする力。

 そういったものが鍛えられると思います。

 そして舞台の上にアウトプットする。


 とまぁ偉そうなことを言ってますが、ほとんど感覚のようなもので、好きでやっていることなんですよね。

 でもその「感覚」こそ磨くことが難しい。

 だから続ける。


 続けていくこと、好きでい続けること。

 時には難しいこともあるけれど、こうして「自分」が構築されるのかなと思います。