劇団員コラム

シーン414Tさんとの思い出』 宮野圭輔

Tさんと初めて出会ったのは、私がまだ幼い子どもだった時です。Tさんは、優しくて正義感が強く、でもおちゃめなところもあって、幼い私にとってあこがれのお兄ちゃんのような存在でした。Tさんには、5人もお兄さんがいました。普段は頼りになるTさんでしたが、お兄さんたちを前にすると、甘えたりわがままを言ったりと、末っ子らしさを発揮していました。そんなTさんの姿を見るたびに、私は、あこがれの気持ちは持ちつつも、「Tさんは甘えん坊だなあ」などと思ったりしていました。


それから何年もTさんとは疎遠になり、つぎにTさんに会ったのは、20年ほど前、私が大学生になったころです。Tさんは、職場でベテランの立場になり、若い人たちの育成をしながら、時々現場のピンチに駆けつける、ということをしていました。末っ子のTさんの印象が強かった私は、そんな姿を見て、「あの甘えん坊だったTさんが立派になったなあ!」などととても驚きました。


それからTさんの様子はあまり聞くことがなかったのですが、少し前に、またTさんの近況を知ることができました。Tさんとは疎遠な状態が長かったので全然知らなかったのですが、Tさんにはもう働いている大きな息子さんがおり、しかもその就職先というのが、Tさんと同じ職場だというのです。とてもとても驚きました。父として、また、職場の上司として息子さんに接するTさんはとても頼もしい姿でしたが、Tさんのお兄さんたちと一緒にいるときは、昔と変わらない明るい様子を見せたりしていて、なんだかうれしくなりました。


最近、私は生活が変わりました。新しい生活を送る中で、またふとTさんのことを思い出し、Tさんの昔の映像を見てみました。そこには、おちゃめで甘えん坊だけど、強くて優しい、幼い日にあこがれたTさんの姿がありました。そんな昔のTさんを見ながら、今のTさんの活躍にも思いをはせ、自分もTさんに負けないよう、もっともっと頑張ろう、と思いました。



いやー、それにしても、何回見ても面白いな、ウルトラマンタロウ。