劇団員コラム
シーン412『親の愛を切り刻んで消化する』 沢村 希利子
2024年を迎えて、早いものでもう半月。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
我が家には年末、私の実家から大量に野菜が届くという恒例行事があります。
両親は我が家の人数を知らないのではないかと疑うほどの量です。
数種類がなかなかの量で届く上に、年末ともなると人と会ってお裾分けする機会も減るし、年末年始用の食材が揃っていたりするので、なかなか調理もできません。
毎年大晦日に半べそかきながら何時間もかけて大量のほうれん草などを茹でていたものです。
そんな私も独り暮らしを4年経験した後、主婦となりもうすぐ10年。
野菜はほとんどのものが冷凍できることを覚えましたし、神経も図太くなりました。
新鮮なうちに冷凍保存できればそれが1番いいけれど、できなければそれはそれで構わない。
多少しなびてしまっても、炒めてしまえば変わりはない。
葉物野菜は多少青臭さが残っても生のまま冷凍すればいい。
そう開き直るようになり、そしてこの年末。
例によって大量のほうれん草、チンゲンサイ、みかん、柚子。
柚子が大量に届いたのは初めてで、さあどうしたものか。
お風呂に入れて柚子湯にするのもいいけれど、せっかくだから全部食べてやろうか。
そんな無謀なことを思い立ち、柚子ジャム、パウンドケーキ、スコーン、パスタなどを作りました。
それでかなりの量を消化して、残りを冷凍庫に入る分だけ冷凍。
残りは少しずつ刻んで、お雑煮の香り付けに使ったり。
年末に野菜と柚子を刻みまくり、今年も無事にお正月を迎えることができました。
思えば私の年代ですと、親世代は「食べさせることが最大のもてなし」とする人も多いかもしれません。
離れて暮らす我が子とその家族に、たくさん食べて元気に暮らしてほしいという愛なのでしょう。
なんとなく、そんなことを思うようにもなりました。
そうしてきっちり残さず食べて、明日の力にするために、私は今日もキッチンに立っています。