劇団員コラム
シーン370『技術を模倣する』 沢村 希利子
1月、年明けに抱いた私の今年のテーマは、「芸術的感性と技術の向上」でした。
気が付けばもう春。
絵を描いたり、本を読んだり、戯曲を書いたりなど、亀のような歩みなりになんとか今のところは続けられております。
たくさんのものを見たり、読んだりなどが最も基本的なインプットの方法ですが、絵にも文章にも共通したインプットの方法が、もうひとつあります。
それは、模写です。
絵を模写する、というのはよく知られた練習法ですが、文章にも「プロの作品を書き写す」という方法があるのです。
プロの文章を一字一句そのまま書き写すことで、その技術を深く読み解き、自分のものとすることを目的とした練習方法であり、書く作業を通して読むことにもなります。
劇団シブパでは既製の台本を使用する時、コピーではなくパソコン入力で台本を書き写し、製本します。
公演ごとに担当者は変わりますが、この作業をすることによってプロの脚本家の言い回しやテンポなどが無意識に刷り込まれているのではないでしょうか。
いくつかの台本を上演するうちに、脚本家の個性が見えてくるようになります。
演じることだけではなく、台本を読むことでも物語の場面や脚本家の芸術性をイメージする力を付けていきたいと思います。