劇団員コラム

シーン363益子で出逢う幽霊と宇宙人』 森田 リョウジ

 どうなることかと思われた8月の酷暑が過ぎ、季節は徐々に秋めいてきましたね。観光シーズンに入り、外出するのが楽しみな時期になりましたので、先日思い立って陶器で有名な栃木県は益子町に行ってきました。


 吸い込まれるかと思われるほどの青空の下、車を走らせていった先は、城内坂という町歩きにちょうど良い観光地。陶器のお店や窯元、喫茶店などが30軒ほど立ち並ぶ道は、2~3時間ほど散歩コースで、運動がてらのショッピングを楽しめる、とても有意義なひと時を演出してくれました。

 そんな町歩きの中、幾つかのお気に入りの陶器に出逢うことができました。500mlのコーヒーも入り切る大容量のマグカップ、庭に咲いた四季の草花を飾るための一輪挿し、そして…。益子焼で作られた、まさかの「埴輪」と「土偶」。道に立ち並ぶ店々を外から眺めながら歩いていると、陶器の中に佇むそれらを見つけました。「しのぶ毛の国」の住民として手に入れるしかない!、という衝動に駆られ、喜び勇んで店内へ。すると先客の子どもたちが、埴輪を指さしながら「ねぇ、これ幽霊みたいじゃない?」と言っていたり、土偶を手に取りながら「これ、宇宙人だよね?」と言っていたり。あぁ、子どもの感性は流石だなぁ、と感心するのも気持ちも後押しして、益子産の「幽霊」と「宇宙人」を即決購入しました。


 10月公演にオバケの話を控えた時分にタイミングよく「オバケ」を手に入れることができた、何とも素敵な益子での休日となりました。が。…それにしても、この土偶の顔、見れば見るほど疲れて眠そうな時の森田の顔に似ているなぁ、と思う今日この頃なのでした。