劇団員コラム

シーン356音楽劇に憧れて・その2』 森田 リョウジ

 【シーン344からの続き】


 ミュージカルって、歌もあるし踊りもあるしお芝居もある。「ミュージカル」って聞けば、少なくともその3つの要素が入っているわけだから、チラシを目にした段階で「面白そう」ってなる。宣伝効果は抜群です。それに引き換え「お芝居」や「演劇」の公演って、演劇になじみがない人からすると、お芝居の1つの要素しかないし、何をやるのかよくわからない、と考えるのだと思います。チラシの時点で「面白そう」とはならない。あくまでミュージカルとの比較ですが。多分に私の偏見も入っている気もしますが。


 県内外に押し寄せているミュージカルの波。少なからずその流れにあやかりたいと思う森田は劇団シブパでもちょっとした歌と踊りを取り入れた「音楽劇」の可能性を探っているのでした。


 この段落だけはちょっと演劇人向けの話になりますが、思い返せば、私が青春時代に夢中になった演劇は、キャラメルにせよ、カクスコにせよ、第三舞台にせよ、手を変え品を変え、歌や踊りの要素って、何かしら入っていたかもなぁと思います。おそらくそこには賛否両論あったと思うのですが、少なくとも、お客さんの絶対量は多かった気がするし、そうすることはお客さんを集める要素になっていたと思うのです。(「いや、今やっていないじゃん。それは不要だからじゃない?」という見解もあるはあるのですが…)


 そんなことを思いながら、シブパの公演を思い返してみると… 実はそれに近いことをやっていました。シブパでも。第5回公演『メランコリー・ベイビー』では、ジャズの曲に合わせて歌って踊っていました。5曲くらい。また、第15回公演『マスカレード』でも2曲ほど歌って踊っていました。何なら第22回公演『けれどスクリーンいっぱいの星』でも、客演の勝見さんに1曲、歌って踊ってもらっていました。


 …なんだ。別に新しい希望、新しい発想ではなかったですね。第5回・15回・22回公演の曲数を増やせば、立派な音楽劇の出来上がりっぽいです。


 実は今まさに、さらにシブパらしい音楽劇の構想が沸き上がってきており、無理なく歌って踊れるお芝居のアイディアが浮かんできております。まだまだ構想段階なので、公演として皆様の前にお出しすることができるかどうか、また、劇団員の許可がもらえるかどうか、微妙なところ(というか前途多難)ですが、私個人の想いとしては、ぜひとも実現させたいところですね。そうすることで、今まさにあるミュージカルの波に乗りながら、あの頃演劇に夢中になった人たちの芝居熱を再燃させられたらいいなぁ、と思う今日この頃なのでした。