劇団員コラム

シーン352それぞれの見方。それぞれの味方。』 しんご

日本では「花」と言えば「桜」であったりするけれど、桜に限らず今年は様々な花の咲くのが、例年よりとても早いように感じる。

「○十年に一度の大雨」とやらが一年に何回か起こるような、そんな異常気象の影響だったりするのだろうか。


例えば、最もポピュラーな桜であるソメイヨシノ。

いつもなら3月の終わり頃に咲き始め、4月初旬に見頃を迎えているように感じる。「入学式の日まで散らずにいてくれるかなぁ」なんて願ってみたりするくらい。

けれど、今年は3月末には零れ桜が見られるほどの急ぎ足。

入学式にはもう葉桜。むしろハナミズキが咲き誇っているのだから。

けれど、やっぱり入学式には桜が似合う。ちょうどいい時期に咲いて欲しかったなぁ、なんてわがままに思ってみたり。


…というのは、群馬県の南部に住む者の言なのだということを感じる機会があった。


今年の入学式の頃、群馬県の北部方面にドライブに出掛けた。

すると、図らずもとても良い時期だったようで、街道沿いの家々の庭、山並みや木立の中、川沿いの土手…それはもう至る所に見頃を迎えた桜が咲いていて、とても贅沢な景色を眺めながらのドライブを楽しんだ。


そこでふと考えた。今年は桜の咲く時期が早い。とすると、この地域は例年だともっと遅い時期に咲くのだろうかと。

そして、今年は桜の咲く時期が早いからこそ、この辺りでは入学式の頃に満開になったのだろう。普段はこの時期に咲かないのなら、この地域の方は感じることがないのかもしれないけれど、今年は「入学式には桜が似合うね。」なんて微笑んでいるのだろうかと。


見方、見え方、見られ方。

どう見て愛でようか。どう見せられ、魅せられようか。