劇団員コラム
シーン344『音楽劇に憧れて』 森田 リョウジ
私たちが劇団を立ち上げた頃はそれほどでもなかったように思うのですが、ここ何年か、群馬のミュージカル劇団さんの活躍が目覚ましいですよね。caboの勝見さんやポーキーホーキーの高梨さんらに客演していただいたことで、以前よりもミュージカルが近しい存在になった気がしていて、気にするようになった、というのもあるかもしれませんが。それでも、先日行われた前橋・高崎演劇フェスティバルや境演劇フェスティバルの出演団体ラインナップのうち、実に半数がミュージカルであることから見ても、やっぱりミュージカルが勢いにのっているのかなと。
群馬県内の演劇事情に限らず、映画業界では「レ・ミゼラブル」や「ラ・ラ・ランド」、「美女と野獣」などが台頭していたり、テレビ業界では音楽番組にミュージカルの挿入歌が30分以上の長尺で流されていたりと、ミュージカルを目にする機会が単純に増えてきたとも感じています。ストレートなお芝居、というか、どちらかというと小劇場系のお芝居を好み、続けている身としては、何とも肩身の狭い思いを感じたりもしています。
私個人としては、群馬演劇界でも垣間見えるこのミュージカルな流れを、分野は違えど完全に無視することはできないのではないかと考えています。群馬のお客様がそれを望んでいるのならば、そのニーズにも多少なりとも対応できるようでありたい、とも思うのです。ミュージカルの「おいしいところ」をシブパの芝居に活かそうとすることは、シブパの新たなノビシロとなるのではないかと。
…とは言うものの、私を含むシブパのメンバーは皆、ミュージカルの素人。単純にミュージカルをしようと思ったら、何年かけて稽古しなくてはならないか…。いやいや、というかそれ以前に劇団シブパはミュージカル劇団ではないので、ミュージカルをやるはずはないのです…。
そこで、ミュージカルの要素を取り入れた公演の形態として私が考えたのが「音楽劇」です。音楽劇とは、「ミュージカルがセリフを歌唱で表現し、また動きのあるシーンでは踊りを取り入れるのに対し、音楽劇は、物語をセリフで進行し、その中で劇中歌・曲を挿入するというパターンが主であるとされる」演劇の形態と言えます(Wikipedia参照)。
そんなわけで、私は今、音楽劇に想いを馳せております。近い将来、音楽劇をお届けできたらいいなと、他の劇団員にも内緒で画策(妄想?)しているのでした。
【つづく】