劇団員コラム
シーン332『目指したその先に』 森田 リョウジ
来る2017年9月18日(月.祝)に、劇団シブパは第24回公演を行います。今回は劇団初のオリジナル作品であると同時に、落語風公演にも取り組みます。そこで今日の「シブパののぞき穴」は、これまで抱いてきた私の落語に対する想いと「台本を書く」ということへの想いを綴ろうと思います。
およそ10年前にシブパでは、個人として態勢を整えて、それぞれがこれまでよりも良い状態で演劇・公演に向かおう、という趣旨で充電期間が設けられました。その際に様々な戯曲を読み漁ったのですが、その中の一本に『キサラギ』がありました。小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介(小出くん…残念)、塚地武雅、香川照之のそうそうたるキャストで映画化された男5人密室推理劇ですが、もともとはこれも舞台作品でした。今では超売れっ子の脚本家・小沢良太氏(『リーガル・ハイ』『デート』などの脚本家さんですね)の作品です。で、この映画はプロモーションの一環で同じく『キサラギ』の名で新作落語も発表されました。噺の内容は映画のそれとは全く違うのですが、「キサラギ」という女性に男性陣が憧れているというところに共通点があり、また二つの物語にはオチに関連性があるという点でそれぞれがリンクしており、非常に興味深いプロモーションが展開されていました。
また上記の充電期間は、クドカン氏の「タイガー&ドラゴン」の脚本を読み返していたこともあり、落語に対する熱を燃やしていたことを覚えています。当時のコラム(シーン104「落語」:参照)で落語に対してこんなことを書いていました。
「演劇のそれと通ずるものがあるところが、またイイ」
「一本でもできるようになって、表現者としてのスキルアップをしたい」
コラムを書いたのは10年前ですが、私はその頃から(本当はさらにもっと前ですが)落語作品に取り組んでみたいなと考えていました。
また一方で、「台本を書く」ということについては、4年前に「『演出する』『演じる』という表現方法の他に『書く』という行為で表現できたら…。」(シーン223「書く」:参照)と綴っており、その3年後の2016年9月のコラムでは、「来年の今頃には、20~40分の作品を3本、書き上げる」と決意を述べていました。
「念ずれば、花開く」という言葉があります。誠にありがたいことに、私はなんだかんだ言いながらも、目指したその先に、目指したその場所にいられているようです。花が美しく咲き誇るかどうかはわかりませんが、とりあえずは、咲きそうです。
「まーやの家」に、その花を見に来ていただければ、幸いです。