劇団員コラム

シーン41『カサ』 赤石 マサエ

 一年間の使用回数は、たいしたことないけれど、無いと困るものって、 いくつかありますね。例えば自宅用のはさみやのり。職場や学校なら、必ずといっていい程使用する機会がありますが、自宅ではさみを使用するのは意外に少ない気がします。でも、だいたい皆さん持っていますよね。


 カサも、そんな「あまり使わないけれど、無いと困るもの」ですね。車社会群馬では、移動中にぬれることがないので、なおのこと出番が少ないカサ。それなのに、気が付いたらいっぱいカサを持っていました、私。必要な数で言えば、雨用の長いもの、折りたたみ一本ずつ、日傘を同じく一本ずつ、計4本で良いはず。なのに、玄関にもクローゼットにも、カサ、カサ、カサ・・・。

 子どもの頃は、わがまま言って、ちょっと高いけど本当に気に入ったものを買ってもらって、長く使っていました。大好きだったのは、小4の頃使っていた白いカサで、折り目のところに、汚れが筋になって付いてくると、せっけんを付けたハブラシでこすってきれいにして、大事に大事にしていました。

 高校生頃から、コンビニで売っているビニール傘を使うことが増え、だんだんカサを大切にする気持ちが薄れました。「出先で降られても、コンビニで買えばいいや」と思っていました。でもね。この年になると、ビニール傘は恥ずかしいです。もう「間に合わせ」をやっていて、許される年じゃないですよ。と、私が、私に対して強く強く小言を言いたくなるので、ビニール傘は極力避けたい。と思っている赤石マサエ、もうすぐ29歳です。


 今はまだ「コレ!」というものに出会えてなくて、必要に応じて買ったカサを使っているけれど、近いうちに「コレ!」というものを手に入れたいなぁ…と思っています。雨の日にも、私らしくいられるように。