劇団員コラム

シーン33『虹、見つけた!!』 しんご

 第7回公演の2日目、小屋入りして間もない昼過ぎ頃だったでしょうか。西の空の雲に水平に映る虹が見えました。誰かが「虹が出てるよ!」と声をかけてくれたので、他の劇団員たちと一緒にしばし虹を眺めていました。


 昔から空を眺めるのが好きでした。

 もちろん、雲ひとつない快晴の青空も好きですが、泳ぐように空を流れていく白い雲を眺めているのも飽きません。夕焼けや朝焼けも大好きです。もう少し若さがあった頃、夜中にふと思い立って、日の出を見に太平洋まで車を走らせたことも度々ありました。黄金色や橙色、時には紫色に染まる夕暮れ時の西の空は、いつ見ても何故だか嬉しくなってしまいます。空気の澄んだ冬の夜空も格別です。赤城山で寒さに耐えながら、ね。

 そして、虹です。いつでも見られるものではないからでしょうか、青空に架かる虹を見つけると、とても幸せな気持ちになります。 副虹(二重に架かった虹です)を見つけた時には、意味もなく興奮して笑みをこぼしてしまいます。月光で出現するムーンボー ~moonbow~ も、ぜひ見てみたいものです。


 本番前のほんのひと時。夢スタジオから見えた水平虹にいつの間にか緊張を解かれ、「何だかイイことありそう!」と気分を高揚させられた劇団員は私だけではなかったはずです。ハッピーな気持ちで本番を迎えることができました。


 夕立が多くなる季節は、虹の発見チャンスも多くなります。元気な時もそうじゃない時も、夕立の後の雨上がりの空に目を向ける心の余裕を持ちたいと思います。虹を見つけてハッピーになれるかもしれないから。

 でも。家に帰って、せっかく乾いたのに夕立で濡れてしまった洗濯物を見ると、途端にハッピーな気持ちは消え去ってしまいます。まるで虹が消えていくかのように・・・。