劇団員コラム

シーン260「フラれる」のが好き。』 りょーじ

 タイトルだけ見ると、「何だ!?」とお思いになった方もあるかも知れませんが、「私はMっ気が強いから、フラれるのが好き」という意味ではなくて、『男はつらいよ』の寅さんよろしく、 「『フラれる』という結末がわかっているコメディ指向のドラマ作品が好き」という意味です。

 いや、私、フラれるの嫌いですから。


 皆さんはテレビドラマって観ていますか? 私は三ヶ月に一回ある番組編成期になると、気になるドラマをとりあえず一話だけ観るようにしています。で、一話が面白かったら二話以降も観る、というスタイルです。こういう方、結構多いのではないでしょうか?

 で、今期私が連続で観ている作品が二つあります。話が冒頭に戻りますが、その二つの作品の共通点が「フラれる」だったわけです。


 一本目は、『東京センチメンタル』です。吉田鋼太郎さんを主演に、片桐仁さん・高畑みつきさんらが脇を固めます。ざっくりご紹介すると…「モテるけれども女にだらしない、バツ3の55歳・ 吉田鋼太郎さんが、毎回美女と街歩きをして、最終的にフラれる話」です。

 二本目は、『女くどき飯 season2』です。「アラサー・フリーライターの貫地谷しほりさんが、雑誌(ネット)の『男性が女性を口説く時に使うとっておきのお店を紹介する』という企画の取材で、毎回イケメンくんとお食事をして、最終的にフラれる話」です。


 子どもの頃、何で寅さんって人気あるんだ? と素朴に思っていましたが、30半ばを過ぎると、やっぱりそういうところに行き着くのですね。人情・恋愛・コメディ・予想できる展開…。安心して観ていられる、楽しめるということの何と偉大なことか。


 話は逸れますが、劇団シブパ第21回公演『四月になれば彼女は』にも、話の本筋ではないけれども、フラれてしまう人が出てきます。(私はフラれる役ではありません。多分…)

 誰かが言っていました。『恋の始まりに理由はないが、終わりには理由がある…』と。

 今更ではありますが、今も昔も「恋の始まり」は物語を動かす、重大なファクターなのですね。今回のお芝居もやはり、一つのポイントになっています。


 話が逸れましたが、恋の始まりと終わりの物語が、たかだか24分程度にきゅっと濃縮された先の2本のドラマ。きっと私は滑稽だと、夜な夜なほくそ笑みながら、あと1月半くらい楽しんで観ることでしょう。


 …公演が終わったら、『寅さん』借りてこようかな。