劇団員コラム

シーン233『「れりごーよりも「れりびー」がすき』 しんご

「ありのまま」って難しい。自信がある訳でもないし、そんな自分を晒けだす強さも見当たらない。そもそも自分らしさをまだ探している途中だったりする。


時に、ありのままでいることが出来ないと、あるいは自分らしさを確立出来ずにいると、様々な集合体や場面において、それぞれで求められるものにそれぞれの立場で応えることに慣れていく。それが続くと、自分で考えることよりも立場で考えることに手慣れてしまう。さらには、その立場こそが自分らしさであると勘違いして、自分以外の人の立場を規定することでそれを守ろうとしてしまったりする。そして、なおさらに自分らしさを見つけられなくなっていくのか。


ずっと、自分らしく在るには己の立つ場所を知ることが大切なんだと思っていて。

ところが、これがまた曖昧なものだったりして、掴めてこないし、見えてもこない。

でも、自分は確かに此処にいる…ような気がする。じゃあ、此処って何処なのだろう。

そんなことを考えていた時に、ある言葉を聴いた。

「自分の存在は、自分以外の存在によって形成される。」


何となくではあるけれど、自分らしさというものの一端が見えてきた気がした。

それは、他者の立場を規定して自分の立場を形成することとは正反対のベクトル。どう見られているかという他者からの評価などではなく、どう関わり合えているのかということなのだ。だからこそ、人と繋がっていたいのだと思った。


とは言え、人と繋がるということは大切だからこそ難しくて。

“ニュータイプ”ではないから、そう簡単に解り合えるわけでもなくて。

絶対的な自信なんて持てないから、一歩踏み出す強さと一歩踏み出してしまう弱さや、一歩踏み出さない強さと一歩踏み出せない弱さを、いつだって混在させながら繋がり方を模索していくばかり。

それでも自分以外の人の存在を、そして繋がり関わり合っていくことを、そんな場所を大切にしたいと思う。それが自分らしくいるということに続いていく気がするから。


「ありのまま」でいられる立場より、「あるがまま」でいられる場所を。



劇団シブパ第19回公演 『まほろば』 にご来場いただきました皆様、ご支援いただきましたき皆様、誠にありがとうございました。