劇団員コラム
シーン212『手をつかむ』 東 勝
ふと、朝テレビをつけていたら、某音楽番組で「校歌特集」をやっていました。そこで感銘を受けた歌詞がありました。その学校は釜石小学校。耳にしたことがあるかもしれませんが、あの震災で死傷者を出さなかった「釜石の奇跡」の学校です。歌詞の一部がこちら。
しっかりつかむ しっかりつかむ
まことの知恵を しっかりつかむ
困ったときは 手を出して
ともだちの手を しっかりつかむ
手と手をつないで しっかり生きる
「困った人がいたら手をさしのべよう」「ともだちを助けてあげよう」これらは多くの学校や家庭で言われているフレーズです。もちろんそれだけ大事なことです。でも「困ったらともだちの手をつかもう」というのは、聞いたことがない。
でもこれってすごく大事なことだと思うんです。「いじめを苦に自殺」って話もある世の中。自分だけで悩んで悩んでどうしようもなくなっちゃうことって絶対つらいはず。そんなとき、困ったとき、「素直に」ともだちに相談できること。ともだちの力を借りられること。それがどんなに大切か。「ともだちの手をつかむ」。このフレーズどおり、みんなができたら、もっと素直に手をさしのべることができると思うし(だって他人のためにやってあげたことが、無駄になる・無視されることってありません?)、困っていた人の心も少しだけかもしれないけど救われて、自殺だって減少すると思うのです。
とか言いつつも、「なんとかなる」と努力もせずに他力本願なのはいただけない。
「なんとかしよう」と努力して、どうしてもダメなら素直に「ともだち(や家族など) の手をつかむ」。そんな世の中になってほしいなぁ。