劇団員コラム

シーン197『同窓会 その2』 しんご

前回当番の際にコラムに書いた、中学校の同窓会での出来事から。


久しぶりに会った同窓生からは、「変わらないなぁ。」と言われることが多かった。正直、その言葉に違和感を覚えた。本人からすると、この二十年余という時間は紆余曲折があったからだ。傷付いたり、成長したり、傷付いたり…あまり努力はして来なかった…。当然、その時間の中で良くも悪くも変わったように感じていたから。

そして何より、明らかに容姿が変わっているから。


4年半前に患った病気治療の影響で、ちょっとした麻痺を負った。そのことに対し、自分自身は不思議なくらいに引け目を感じていない。が、ちょっととは言っても、明らかに目に映る。にも関わらず、ほとんどの人がそのことに触れずに接して(くれて)いた。気にならないのか、あるいは気遣ってのことかは判らないが、中にはあからさまに気になる素振りをしながら流そうとする(してくれる)人もいた。


そんな中、閉会後のロビーで一人の同窓生が「訊いてもいいのかな。」と切り出しながら、その麻痺や手術跡について話しかけてくれた。何故だか、それが嬉しかった。正面から聞いてきてくれたことを、とても嬉しく感じたのだ。


後日、そう感じたことをその同窓生にメールで伝えると、早速返信が届いた。彼女は「病気のこと、聞いて悪かったかな…」と後悔していたと。でもメールを読んでホッとしたと。さらに、彼女自身も病気を患っているとメールは続いていた。10年前に難病の疾患にかかり、治る方法もなく、上手く付き合うしかないので、 毎月通院して薬で抑えていると。『元気な障害者』とポジティブに考えるようにしていると。


小学生の頃からしっかり者で、学生の頃は“バレンタインにはどの男子よりも沢山チョコをもらう”という頼もしい姉御肌だった彼女。その頼もしさは変わらず、同窓会の時には、病気のことなど全く感じさせなかった。そんな彼女の笑顔を思い出すと、改めて己の小ささを感じてしまう。けれど、それにうなだれることなく、彼女のような素敵な笑顔で、 人に元気と安心を与えられる笑顔でいられる人になろうと思う。


そんな風に前向きに考えられるなんて、やっぱり少しは変わったんだよ、俺。