劇団員コラム

シーン178『トマトジュースは世界を越える』 西園 憂

皆様こんにちは。

団内で大食い大酒飲みのポジションを無事獲得した新人です。

この文章を書いている今この瞬間も飲んでます。


せっかくですから、お酒の話を致しましょう。


ちょうど1ヵ月前、「表に出ろいっ!」の公演の頃、世間ではトマト騒動なるものが勃発していたのを皆様覚えておいででしょうか?

トマトには脂肪分解作用があるという研究成果が発表され、スーパーからトマト及びトマトジュースが姿を消したという、アレです。


ダイエットは乙女の永遠のテーマですもの、そんなニュースが飛び込んできたらそりゃ踊らされる人も大量発生するわよね。

ていうか今まさに私が踊らされてる人みたいじゃんよ。


などと腹の中で毒付きながら、スーパーで数本売れ残っている1本400円近くもする トマトジュースの前で立ち尽くしたものです。

トマトジュースを冷蔵庫に常備している私としてはとても困りましたが、ありがたいことにマサエさんが1本下さりました。ホント助かります。


そもそも私がトマトジュースを飲むのは健康志向のためではございません。

お酒の代わりです。


公演1週間前から験担ぎのために断酒を始めるのですが、そんな時に大活躍。

アルコールの代用品として飲むのです。


ではなぜアルコールの代用品がトマトジュースなのか。


トマトジュースを使ったカクテルは、実にたくさんあります。

ビールをトマトジュースで割ったレッドアイは居酒屋でもお馴染みですが、焼酎を割ればトマホーク、ウォッカならブラッディメアリー、ジンならブラッディサム、テキーラならストローハット。

さらにはブラッディメアリーにブルショットというカクテルを加えたブラッディブル、同じくブラッディメアリーにビールを加えたレッドバードなんていうのもありますし、ノンアルコールカクテルにもバージンメアリーというカクテルがあります。


それを考えると逆に不思議ですね。

だって焼酎は日本のお酒、ウォッカはロシアやポーランド、テキーラはメキシコ、ジンは東インドの人々のためにオランダ人医師が薬として開発したお酒、ビールに至っては歴史も古く、起源はメソポタミア文明や古代エジプト。


そんな世界各国のお酒と相性がいいなんて、トマトジュースって素敵。


音楽や文芸、演劇はカクテルと似ていると思うのです。

アルコール同様、どこの国も誰に教わるでもなく自己を表現する文化を持っていました。

そこへ時代を越え国境を越え、様々な文化が混ざって新たな文化が生まれる。新たなジャンルが生まれる。


時代を越え国境を越え、今日もどこかで演劇は上演されています。

新しい脚本が生まれています。


数百種類とあるカクテルを伝えるのがバーテンダーであるように、群馬で演劇を伝える役割を担うのが劇団シブパでありたいと思うのです。

そして万能の飲料トマトジュースのように、あらゆるジャンルでも表現のできる自分でありたい。


……なーんて、新人が大きく出ましたね、申し訳ありません。


どうぞ皆様、今後とも宜しくご贔屓にお願い致します。