劇団員コラム

シーン145『サン・ジョルディの日』 りょーじ

 以前、コラムでも書いたことがあるのですが、4月23日は「サン・ジョルディの日」です。サン・ジョルディとは、キリスト教の聖人であり、この方の命日が4月23日と言われています。この4月23日は、小説『ドン・キホーテ』の作者「セルバンテス」の命日と言われていたり、さらに「シェイクスピア」の誕生日かつ命日と言われていたりしていることから、非常に文学に縁の深い日でもあるということと結び付けて、スペインと日本では、大切な人に「本をプレゼントする日」とされているそうです。


 ということでこの日、日々をがんばっている自分にご褒美、と思い立ち、久しぶりに紀伊国屋書店で本を6冊ほど、ごっそり買いました。もちろん戯曲です(1冊、朗読劇台本は混ざっていますが…)。

 いやぁ。やっぱり戯曲は面白い。小説ほどに描写が細かくないからこそ、想像力が掻き立てられ、自分なりの読後感が味わえる。読みものというのは、作者のねらいや思いは当然あるものの、作品として世に出されてしまえば、あとは読者に解釈がゆだねられます。戯曲の場合その解釈が、小説や映画 あるいは 芝居以上に幅があります。大げさな話ではなく、十人が読めば十通りの解釈も生まれる可能性がある。だからこそ、戯曲は面白い。


 かくして、「サンジョルディの日」の自分へのご褒美は、シブパの新たな公演の一助となりました。自分の解釈を「演出」という立場で、そして、「公演」という形でアウトプットしていくことは、本当につらく、自分の力のなさを痛感する結果になることがほとんどなのですが、それでも公演を観に来てくださるお客様のために、私は演出をし続けようと思います。


 次回公演、りょーじがどんな本とであったのか、そして、それをどう解釈したのか…。是非、劇場に足をお運びいただき、ご確認していただければと思います。皆さんにも、心揺さぶられる本とのたくさんの出会いがありますように。