劇団員コラム
シーン144『始まりは…』 しんご
2001年2月24日・25日、劇団シブパは旗揚げ公演を行いました。
あれから、10年が経ちました。
劇団結成は1999年です。
なので、2009年に「劇団結成10周年記念公演」と銘打った公演を行いました。
しかし、旗揚げ公演こそが、舞台の上で、お客様の前で、 劇団シブパの形を示すという意味では始まりだったように思います。
「あなたのそばに私がいること
私のそばにあなたがいること
すべてはそこから始まるのです」
その旗揚げ公演の演目、『トランス』(鴻上尚史作)のラスト直前の台詞です。
劇団の公演は、まさにそこから始まったのです。
その後、いくつかの出会いや別れもありましたが、今もこうして劇団として走り続けられていることを、とても嬉しく思います。
公演は、14回を数えることが出来ました。
そんな10年14回というこれまでの歩みが、経験として着実に蓄積されているかというと自信に欠ける面が多々ありますが、今の自分を形成・構成する大きな要素となっていることには、疑いの余地はありません。
芝居に限らず、過去に出会ったすべての事が、今の自分、そしてこれからの自分に影響を与えているのだと感じます。
“今日”という日は、これからの自分の人生において、一番若い日。
だから、新しいことを始めるのは“今日”が一番良い。
最近、友人から教えられた言葉です。
が、ひねくれ者の私は、そんなポジティブな言葉に、つい懐疑的になってしまいます。
年を重ねるごとに、「未来には無限の可能性が広がっている」などとは、到底考えられなくなってきていますから。
けれど、やはり凡庸な私は、いくらかの可能性が在ってほしいと 望んでしまうのです。
だから、“昨日”までの経験を礎として、一日一日新たな経験を積み上げ、“明日”につながる“今日”となるよう、努めていかなければと思うのです。
すべてはそこから始まるのです・・・なんて。
10年を振り返りつつ、ちょっとおセンチな今日この頃なのでした。