劇団員コラム

シーン141『懐かしい人からの手紙』 しんご

先日、懐かしい友人から手紙が届きました。

正確には、実家に届いた手紙を家族から受け取りました。


その友人と最後に会ったのはいつだったろうか…と思い返してみると、10年以上も記憶を遡ってしまいました。

しかしその手紙には、時間の経過を感じさせない昔と変わらぬ文字が並んでいました。


初めて会ったのは高校生の時でした。

当時、ある高校の演劇部に所属していたその友人こそが、何を隠そう私に演劇を始めるきっかけを与えた張本人でした。

自分の知らない世界を知っているような、そして自分よりもはるかに大人びて見えた友人に、劣等感とそれ以上の憧れを感じていました。

高校卒業後、友人が九州の大学に進学したため、会う機会は激減しました。

それでも、時折手紙のやりとりは続けていました。

しかし、ある時期から音信不通になってしまっていました。

その原因が手紙には書かれていました。

友人はいくつかの土地を転々とした後、一時期インドに行っていたようでした。

また、帰国後もやはり転々とし、今は再び九州にいることも書かれていました。


手紙に書かれていた「連絡を取るタイミングを探していました。」という言葉に、幾ばくかの寂しさを覚えつつ、けれどこうして手紙をくれたことを嬉しく思いました。


友人と最後に会った頃、シブパはまだ誕生していませんでした。

だから、私が演劇に携わっていることを友人は知りません。

もしかしたら、友人の演劇への興味は無くなっているかもしれません。

たとえそうであったとしても、いつかはシブパの舞台を観てほしいと思います。

胸を張って観てもらえるような、そんな舞台を創っていきたいと思うのです。


次に会う時に劣等感を感じなくて済むよう、充実した時間を過ごしていきたいと思います。

結成10周年記念の最後となる次回公演へも、さらに気合が入りました。


でも、まずは頑張って手紙の返事を書くことから始めなくては…。