劇団員コラム

シーン138『狩人』 赤石 マサエ

 我が家は田舎にあり、もちろん田畑も持っているので、農家ではありませんが季節の野菜はそれなりに楽しんでいます。と言えば聞こえはいいのですが、時期になれば嫌でもその時採れるものを食べる、ということで、夏は茄子・インゲン・トマト・きゅうり・茄子・インゲン・トマト・きゅうり・茄子・インゲン・トマト・きゅうり・・・。冬は大根・白菜・大根・白菜・大根・白菜・大根・白菜・大根・・・。畑の具合によって終わりの時期が決まるので、それまでは同じものを延々食べ続けます。が、果物となると、やはりウチでは採れないものもありますので「買った」り「狩った」りしているわけです。


 我が家の年中行事の一つに「秋のりんご狩り」があります。毎年沼田の決まったりんご園に行っています。その名も『鶴亀りんご園』。縁起よさそうな名前でしょ? 広いりんご畑を歩きながら、おいしそうなのを見つけてはちょっと味見。家で食べればみんなで2個くらいしか食べないのに、りんご狩りをしながら食べると”ちょっと味見”が、まるかじりでひとり3個くらいになってしまう・・・。「あ~もう満腹」となったところで、お土産用に購入する分を採るのです。かごがいっぱいになると、りんご畑の上のお店に戻って支払いです。忘れてはいけないのが、たくわん。このりんご園で売っている漬物がおいしいんです。おばあちゃんが作っていると聞いたような気がしますが。野沢菜にもたくわんにもりんごが一切れ入っていて、風味がいいんです。私はなんと言っても無着色のたくわんが気に入っています。しょっぱいたくわんはあまり好きではないのですが、ここのやさしい味は大好きです。りんごと共に毎年楽しみにしている味です。


 果物を自分で収穫する『○○狩り』というのは楽しいですよね。採ったその場で食べる新鮮なみずみずしい味。「おいし~い」の一言です。りんご狩りのほかには、ぶどう(デラウェア)狩りやさくらんぼ狩りやイチゴ狩りなんかに行きましたね。そういえば、もう少し経つとイチゴ狩りが始まります。群馬では観光農園としてイチゴ狩りをやっているのはちょっと山の方に多い気がしますが、意外なところで『おいしい楽しいイチゴ狩り』ができるんです! シブパが稽古に使っているある公共施設のすぐそばで、イチゴ狩りができるんです。前々からその看板は目に入っていたのですが、行ったことがあるという人を聞いたことがなく、 「こんなところで?」という場所なこともあってずっと素通りでした。ところが、昨年友人に「おいしいイチゴ屋さんがあるから行こう」と連れられて行ったのがそこでした。予想を裏切るおいしさにびっくり! 後ほど稽古の日にみんなに食べさせてあげようと大箱で買って行ったら、その日はドタキャンが続出で、瀬山にしかあげられませんでした。トホホ・・・。残りはほとんどジャムになりました。


 そんなこんなで、我が家のレジャーは、「○○狩り」だの 「○○釣り」だの、食に直結しているものが多いなあと、最近改めて感じました。でも、りんごやイチゴが生っている様子を見たり、木に触れたり、そんなことが人の心に与えてくれる栄養って大きな力があると思うんです。だから、皆さんも行楽の秋にぜひ「狩り」に出かけてみてください。