劇団員コラム

シーン130『ひたまのえんげき日記11』 柳 緋玉

『幕末純情伝 ~龍馬を切った女~』


数ある芝居ビデオDVDコレクションの中で、『聖書(バイブル)』になっている物がいくつかあります。突然見たくなる、何度見ても心が揺さぶられる・・・その中の1つが、つかこうへい作、筧利夫×広末涼子の『幕末純情伝』です。その舞台がつかさんの演出で再演されるというので、「あの感動をナマで味わえる!」と、ものすごく楽しみにして観に行きました。

・・・が、全くベツモノになってました。

総司が女なのは変わらないんですが、なんと龍馬まで実は女だったという設定になっていて(元宝塚の男役が演じていました)、 それはないだろうと、がっかりを通り越して憤りを感じてしまいました。


以下、感情的に話します。


だってさ、この芝居は『ラブ』が核になってると思うんだよ。

龍馬がそう言ってたじゃん。

「国とは女のことぜよ。

 日本とはお前の美しさのことぜよ。

 明日とは男と女が見つめ合う熱いまなざしのことぜよ。

 国とは男と女がいとおしく思い合う意志のことぜよ。

 その強い意志がある限り、国は滅びん」

・・・ってさぁ。それが、女同士になったことで性別の優劣みたいになっちゃって、それは違うと思うんだよ。女だけじゃ国は成り立たないんだから。

1個人1個人が『ラブ』し合うことが、ひいては国を『ラブ』することに繋がるんじゃないかなぁと思うんだよ。あたしはこの芝居のそこが好きだったんだよ。あの龍馬の・・・って言うか筧さんの、暑苦しいくらいの『ラブ』が。それは総司に対してだけじゃなくて、敵味方関係無く、新しい時代をつくろうとしている同士たちに対して、この国に対しての『ラブ』、それがこの芝居の1番大事な部分だと思うんだよ。


・・・失礼しました。

あれはあれで、新しい物として観れば『来る』ものがあるんではないかと思います。


前作も出演されていた武田さんが素敵でした。