劇団員コラム

シーン9『ひたまのえんげき日記1』 柳 緋玉

 みなさん、こんにちは。柳 緋玉です。せっかくの劇団のHP、1人くらいは芝居のことを話してもいいかなぁと思い、私が最近見ておもしろかった芝居や今注目している劇団を紹介していきたいと思います。題して「ひたまのえんげき日記」。第1回めは“ひげ太夫”のこと。


 私とひげ太夫の出会いは、昨年末演劇ぶっく通巻100号を記念して行われたイベント「エンブナイト」(終演が2時間以上遅れ、もう少しで下北沢で野宿するとこだった。しかも山手線が超満員状態のまま20分も止まり、その中、隣のやたら顔の濃いお兄さんが立ったまま、私に全体重を預けて寝てしまった。よく見たらミュ-ジカル界の貴公子、石井一孝だった。驚いた。こんな有名な人が深夜の池袋で何してるんだろうと不思議だった。それにしても重かった。…あ、話がそれた)での若手劇団の余興コーナー。その芸風と言うか表現方法に魅かれ、先日、本公演を見に行った。


 劇団員は全員女性。自分たちを“役者”ではなく“出し物師”と呼び、その呼び名の通り自らの肉体を使い全てを表現する。「烈々宙王」西アジアのどこかでのお話。座長吉村やよひ演じる“爆嵐”を中心にいくつものドラマが交錯する。出し物師たちは山や川や森、街、城壁、羊の群れや空飛ぶじゅうたん、光や風や音までも演じる。それは見ている者の想像力を刺激し、どんなリアルなセットより“本物”なのだと思った。風の色、光の手ざわりまで感じさせてくれるような、素晴らしい舞台だった(ただ2時間はちょっと長い気がしたけど)。リアルなセット、派手な照明、効果的な音響もいいけれど、やっぱり“はじめに役者ありき”だなぁと改めて実感した。人間の肉体の持つ表現力と可能性に感動。次回公演は7月とのこと。 これを読んで「見てみたいなぁ」って思った人が1人でもいてくれたら嬉しいなぁ。それでは、またね。