劇団員コラム

シーン116短編漫画』 りょーじ

 最近、漫画が原作のテレビドラマや映画をよく目にします。それは多分に日本の漫画の質が高いからなのでしょう。 原作の内容をほとんどいじらずにリメイクすることができます( 何をもって「質が高い」とするのかは議論の余地アリですが… )。これに引き換え海外の漫画( いわゆるアメコミでしょうか )は、大幅に原作に手を加えないとドラマとしては見られません( 「バットマン」然り「スパイダーマン」然り )。いや、多分に偏見に満ちていますが。ともあれ、今回は漫画の話。


 以前、どこかで述べたことがあるかもしれませんが、私は短編漫画が大好きです。もともと漫画が好きなのですが、長編漫画よりも1話完結モノや長くても3巻くらいでまとまっている物語が好きです。なぜ短編漫画が好きなのかと言うと、物語が精選されているからでしょうね。少ないページ数であるが故に、作者の内容を要約する力や構成力が試される。そして、話が短い分、その主題が伝わりやすく、つかみやすい。


 不思議な縁と言うか、ある意味で必然なのでしょうが、演劇を始めてから、2冊の短編漫画に出逢いました。一冊目は 「 ハックルベリーにさよならを 」。二冊目は「 半神 」。前者は、成井豊原作の戯曲を漫画化したもの。シブパの第3回公演でも上演しました。後者は、萩尾望都さんの作品。野田秀樹さんと共同で戯曲化した同題「 半神 」は、夢の遊民社の代表作の一つです。 シブパが旗揚げ当初からやりたいと思い続けている作品の一つでもあります。

 「 漫画 → 戯曲 」あるいは「 戯曲 → 漫画 」という違いはありますが、このことから察するに、短編漫画の構成というのは、 演劇のそれと近いものがあるのでしょう。おそらくですが、このように漫画から戯曲になった作品や戯曲から漫画になった作品は、探せばまだまだあるのだろうと思います。

 小説や映画の戯曲化とはまた違った味わいがそこにはあります。小学生の頃から短編漫画好きだった私が演劇に惹かれたのも、必然だったのかもしれません。


 これまで多くの戯曲に目を通してきましたが、さしあたってこのごろは、短編漫画も読みあさるようにしています。芝居にしたらよりよいものになるであろう作品に出逢うためです。メジャーになりきれない、自分だけのマイナーバンドを応援するような気持ちで、短編漫画を探しています。

 それがいずれ、「 演劇力 」 につながったら良いな と、淡い期待を持ちながら。