主宰より

新主宰より挨拶

 変わりたくないもの、変わるべきもの、変わらないと思っていたもの・・・そんなあらゆるものに変革をもたらしたコロナ禍に耐え凌ぎながら、それでも人は前進し続けるのだということを感じる昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 改めまして。 劇団シブパ三代目代表となりました、小菅信吾です。

 

 さて。

 劇団シブパは1999年の結成以来、「娯楽としての演劇の地位向上」を目指して活動してきました。その実現に向け公演を重ねてきました。公演中止も経験しました。劇団員の入れ替わりもありました。小さな劇団ながらも、それなりに多くの変遷を辿ってきました。そして立ち止まることなく歩み続けてきました。走り続けてきました。

 

 そんな変遷の中で特に大きかった出来事は、やはり2016年の赤石マサエから森田リョウジへの代表交代でした。「今までの流れを断つことなく、シブパであり続ける」ための“リスタート”でした。

 そして2022年、それに次ぐ出来事を迎えることとなりました。第32回公演反省会の後、森田リョウジから劇団員へ退団表明がなされました。

諸々の事情で休団している劇団員も複数おりましたので、まずは直近の実動劇団員が集まり、“これから”について考えました。それは同時に、一人ひとりが劇団や芝居に対して改めて向き合う機会となりました。自分にとって芝居とは何なのか、シブパとは何なのか。劇団として活動する意義は何なのか。存続させる価値はあるのか。そもそも活動を継続していけるのか。解散すべきなのか…。

 

 話し合いを重ねて辿り着いたのは、あるいは始まりの地点だったのかもしれません。

それは、「娯楽としての演劇の地位向上」に向けて演劇活動を続けていくということでした。シブパとして活動を継続していくことを選んだのです。

そして継続への想いとともに、劇団員が共有していたものがもうひとつあったように感じます。それは奇しくも、森田リョウジが初めて演出に立候補する時に感じていた「この仲間たちと真剣に向き合える場所を失いたくない」という想いと同じものだったのかもしれません。

 

「立ち上げや旗揚げをするよりも、続けることこそ難しい」なんて話を耳にしたことがありますが、いつの間にやら結成から23年、おかげさまで公演回数は30回を超えました。しかしながら、群馬県内の演劇情勢はここ数年で大きく変動してきているように感じます。変わらないと思っていたものが大きく変わろうとしているのかもしれません。もしかしたら、小さなアマチュア劇団が出来ることなんて無くなっていくのかもしれません。もしかしたら、初めから無かったのかもしれません。

ですが、シブパを通して「初めて演劇を観た」なんて人が一人でも現れてくれたなら、きっとそれは娯楽としての演劇の地位向上へつながる一歩になるかもしれない。だから劇団として活動し続けていこうと思うのです。

 小さな劇団でも活動を続けられることを示していければ、同じような人たちへの刺激になるかもしれない。それは間接的にでも、演劇の楽しさを知らない人がそれに触れる機会を増やすことにつながるかもしれない。だから劇団として活動し続けていこうと思うのです。

 だから、シブパとして在り続けようと思うのです。歩み続けようと思うのです。赤石マサエや森田リョウジと共に歩んできた時間を大切にしながら、「どこか新しい、でもやっぱりシブパ」な作品をこれからも創っていこうと思うのです。

 

変わり続けることで変わらず走り続けられるのなら、

変わらず走り続けるために変わり続けていこう。

目標の実現に向け、シブパとして在り続けるべく“再出発”です。

 

 そんな訳で。

皆様、どうかこれからも、劇団シブパをよろしくお願いします。

 

 では、また劇場でお会いしましょう。


                 2022年7月1日

                 劇団シブパ

                     新代表 小菅信吾