フェイスブック、ユーチューブ、ツイッターのようなネットワークを含む現代のコミュニケーションの手段は、他のコンセプチュアリズム後の芸術作品と区別がつかないような方法で、今日自分の写真、ヴィデオ、文章を文化の中に置く場所を世界中の人々に与えている。ウェブサイトの視覚的文法はインスタレーション空間の文法とあまりに違ってはいない。今日コンセプチュアル・アートは、インターネットを通して大衆文化の実践となった。ヴァルター・ベンヤミンが、大衆はキュビストの絵画のコラージュを受容するのは難しくても、映画のモンタージュは容易く受容すると述べたのは有名である。映画という新たなメディウムは、絵画という古いメディウムでは困難なままである芸術の仕組みに接近することを可能にする。同じことはコンセプチュアル・アートににも言える。コンセプチュアル・アート以降のインスタレーション・アートを受け入れることが困難な人々でも、自分のインスタレーションのためにインターネットを使うことに困難はない。
ボリス・グロイス『流れの中で――インターネット時代のアート』人文書院