一般に、距離は2点間を結ぶ直線の長さを意味します。測量における距離は水平距離、鉛直距離、斜距離の3種類あります。ここでは、水平距離を単に距離と呼ぶことにします。また、水平距離と斜距離にできる角度を傾斜角といいます。
このとき、Lは水平距離 [m]、hは鉛直距離 [m]、lは斜距離 [m]、θは傾斜角 [rad] です。
測量の距離は斜距離を投影した長さであり、三平方の定理(斜距離と鉛直距離)から求めることができます。
電卓の無かった時代は平方根を計算するのが面倒でした。そこで、上式をマクローリン展開することで、近似式から距離を求めていました。
距離測量は、巻尺などで直接的に距離を測定する直接距離測量と数学や物理学を利用して間接的に距離を求める間接距離測量があります。直接距離測量ついては本章で扱い、間接距離測量については別章で扱います。
距離測量をするときに必要な器具としてポールと巻尺があります。ポールは測点の明示、測線方向の決定などに用いられます。全長3〜5 [m]、直径3 [cm] 程度の木や金属で作られた丸棒であり、簡単な距離の測定も行えるように赤色と白色が20 [cm] 毎に交互に塗り分けられています。
巻尺には繊維性巻尺と鋼巻尺があります。繊維性巻尺はガラス繊維を塩化ビニルで覆った巻尺であり、温度や張力によって生じた伸縮を補正できない欠点があります。しかし、軽量で折れ曲がることもないので、高い精度を要しない測量で用いられます。
一方、鋼巻尺は薄い帯状の鋼で作られた巻尺であり、重く、折れ曲がりやすいです。しかし、温度や張力による伸びが分かっているので、測定値を補正することができ、精度の高い測量が行えます。
まとめとして、測量で扱う距離には水平距離(距離)、鉛直距離、斜距離があります。また、距離測量ではポールと巻尺が用いられます。