将来、必要とされる水需要に見合う水量を安定的に供給するための水源としては、河川水、地下水、湧水、溜池、海水の淡水化などがあります。地域ごとの実情に応じてこれらの多様な水源を活用するのですが、日本の一般的な地域では河川水と地下水がほとんどの割合を占めています。水の使用形態は以下のように分類され、平成22年度における取水量(水源から取水された段階の水量)の調査では生活用水が154億 [m3/年]、工業用水が117 [億m3/年]、農業用水が544 [億m3/年] となっています。
生活用水は昭和30年代から40年代にかけて使用量が急増しており、これは高度経済成長、人口増加、水道の急速な普及が大きく影響しています。一方、平成10年を過ぎると生活用水の使用量は緩やかな減少傾向にあります。工業用水は供給されている分を回収水として繰り返し再利用しています。回収率は昭和40年代から50年代にかけて大きく上昇し、50年代後半からは微増の状況となっています。そのため、工業用水の使用量も年々減少傾向にあります。農業用水の使用量はほぼ横ばいとなっています。水稲の作付面積が減少している一方で、水の反復利用率の低下、水田利用の高度化に伴う使用量の増加が原因といわれています。
現在、水資源として利用されている河川水は水利権を得たものです。水利権は河川の表流水を使用する権利のことであり、歴史的・社会的に発生したものです。河川からの取水量が極めて少なかった時代においては、水を自由に使用できたので水利権を考える必要はありませんでした。しかし、利水者や取水量が増えてくると、利水者間に対立や競合が生じてきます。これらの問題を解決するために、水利権が形成されてきました。
河川法でも水利権は位置づけられており、河川法に基づき許可されたものを許可水利権といいます。これに対し、旧河川法以前から社会的に容認され、許可を受けたとみなされているものを慣行水利権といいます。
まとめとして、日本にある水源としては河川水、地下水、湧水、溜池、海水の淡水化などがあり、ほとんどが河川水と地下水となっています。また、水の使用形態は生活用水、工業用水、農業用水に大別することができます。水資源として利用されている河川水には水利権が与えられており、河川法に許可されたものを許可水利権、社会的に容認されているものを慣行水利権といいます。