プレートテクトニクスは厚さ約100 [km] の16枚のプレート(大プレートが8枚、小プレートが8枚)が剛体のようにふるまい、それぞれが別々に運動している観点から造山活動や火山活動などの地学的現象を解明した理論です。地球内部は構成物質の違いに基づいた化学的区分、外力の応答に基づいた力学的区分によって下図のように分けられています。
また、隣り合うプレートの境界は性質の違いによって大洋中央海嶺、海溝、トランスフォーム断層に分類されます。
大洋中央海嶺は地球内部から上昇した高温物質が海底火山活動によりプレートとなる場所であり、ここでプレートは2つに分かれていきます。これらプレートは数 [cm/year] の速度で移動しており、他のプレートを衝突すると一方のプレートは海溝となり沈んでいきます。この衝突の場は弧状列島や大山脈が生まれる場所でもあります。トランスフォーム断層は海嶺と海嶺の間にある横ずれ状の断層をいいます。この部分では互いに逆向きに移動するため、地震が発生します。
日本列島はユーラシアプレートの東縁に形成されたものであり、日本海溝で太平洋プレート、南海トラフでフィリピン海プレートに接しています。太平洋プレートは8 [cm/year] の速度で西北西に移動しており、日本列島には東から西に圧縮力として作用しています。一方、フィリピン海プレートは5 [cm/year] の速度で北西に移動しており、こちらも圧縮力として作用しています。そのため、日本で発生する地震の大半は、これらプレートの移動によって発生する応力が地殻を破壊するときに生じるものといえます。ちなみに、トラフと海溝の違いは深さであり、深さ6000 [m] より浅いものをトラフ、深いものを海溝とよんでいます。
日本には多くのプレートが衝突し、付加体が堆積しています。付加体とは玄武岩質の海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むときに海洋プレート上の堆積岩(砂岩、泥岩、石灰岩など)がはぎ取られ、陸側に付加したものです。日本列島の多くの部分はこの付加体によって形成されています。
ホット・スポットはマントルから上昇してきたプルーム(ホットプルーム)が噴出する場所であり、不動点といわれています。プルームが固結してできた堆積岩は海洋プレートにのって次々と運ばれていき、最終的に付加体となります。また、海洋プレートは中央海嶺が遠ざかると冷却されるため、重くなり沈下していきます。
1960年代にプレートテクトニクス、1980年代にプルームテクトニクスが発表されます。1980年代にトモグラフィ解析(多くの地震波を一度に処理することで地球の内部を見る技術)が普及することで、マントルの奥深くまでを観察することが可能になり、その結果、マントル内部から上昇してくるホットプルーム、マントル内部に沈み込むコールドプルームの存在が分かってきました。これらの情報を基にしてマントル内部の大規模な対流運動を説明した理論をプルームテクトニクスといいます。
冷えて密度が大きくなった大陸プレートはマントル内部に沈み込みます。このプレートの沈み込んでいる部分をスラブといい、660 [km] 程度でそれ以上潜り込めずにスラブが溜まり始めます。この溜まったスラブの塊が量ある限界量を超えると、一気にマントル深部に沈み込みを始め、これをコールド・プルームと呼んでいます。その反動で別の場所からホットプルームが上昇を始めるというメカニズムが考えられています。
まとめとして、プレートテクトニクスは16枚のプレートが別々に運動している観点から造山活動や火山活動などの地学的現象を解明した理論であり、プレート境界は大洋中央海嶺、海溝、トランスフォーム断層に分けられます。日本列島はユーラシアプレートの東縁に形成されたものであり、日本海溝で太平洋プレート、南海トラフでフィリピン海プレートに接しています。これらプレートが衝突する度に日本列島には付加体が堆積しています。