地盤や地下水が汚染されると、最終的に人が摂取する水や食べ物が汚染されていきます。汚染物質には重金属(比重が4以上の金属)、ダイオキシン(発癌性などの毒性が非常に高い物質)、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などがあり、食物連鎖によって人類が摂取するときは濃度が数千から数万倍になるといわれています。このように地盤や地下水の環境汚染は人類の健康に大きく関わっているのですが、その原因も全て人類にあります。
地盤や地下水が汚染される主な理由としては廃棄物があり、廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分けられます。一般的な産業廃棄物はそのまま焼却処分させますが、特定有害物質は特別な処理が施されます。特定有害物質としては、PCB、水銀、石綿(アスベスト)、カドミウム、鉛、有機燐化合物、六価クロム、砒素、シアン、ベンゼンなどが挙げられます。
一般廃棄物は家庭から排出されるゴミであり、様々な化合物が含まれています。そのため、有害物質が極めて多いことが一般廃棄物の特徴であり、産業廃棄物の方が危険という認識は間違っています。また、一般廃棄物は特定できていない有害物質が雑多に存在しているため、焼却灰になったときに自然物質と化合して新しい化合物が生成される恐れもあります。これまで焼却灰が埋立処分された場所には溶出した有害物質によって地盤汚染が確認された例もあります。
日本では廃棄物を学校などの各施設で焼却減量してからゴミに出していました。しかし、300℃程度の温度で塩素原子を含む物質を不完全燃焼させると、ダイオキシンが発生してしまい、結果としてダイオキシンの発生量が世界一となってしまいました。現在は焼却施設で1200℃以上の温度で処分されているため99%以上のダイオキシンが分解されています。ちなみに、ダイオキシンは化学的に極めて安定しており、焼却以外の方法で分解する技術は未だ確立されていません。
農業による地盤汚染や地下水汚染は肥料と農薬によって引き起こされます。肥料に含まれる窒素によって起きる汚染も問題ですが、それよりも除草剤や殺虫剤に含まれる内分泌撹乱物質(環境ホルモン)が社会的に問題視されています。内分泌撹乱物質はホルモンとよく似た作用をもち、正常なホルモン作用の妨げとなる化学物質なのですが、科学的には未解明な点も多いです。
まとめとして、地盤汚染の原因としては廃棄物、肥料、農薬などが挙げられます。廃棄物は焼却時にダイオキシン、特定有害物質の処理時に重金属、PCB、石綿などが地盤汚染の要因となります。また、肥料は窒素による地盤汚染、農薬は内分泌撹乱物質が地盤汚染の要因となります。