向心力は円運動をしている物体に働く力のことなのですが、向心力の前にまずは角度について学ぶ必要があります。今までは角度を360°という書き方で表していたと思います。この表し方は度数法といい、最も一般的な角度の表し方なのですが、数学や物理学ではこの度数法はあまり使われません。代わりに弧度法が使われます。弧度法では [rad] が角度の単位となっており、1 [rad] は弧長と半径が等しいときの角度となります。イメージは下図のようになります。
では、1周したときの角度はどれくらいの大きさになるのか計算してみましょう。1周の角度は円周を半径で割れば求めることができます。
このとき、θは角度 [rad]、lは円周 [m]、rは半径 [m] です。
弧度法は円周率πを含むので度数法より初めは親しみにくいですが、微分積分などを行うときにそのまま扱うことができるという大きな利点があります。そのため、頑張って慣れて下さい。
単位時間当たりにどれだけ回転したかを表す物理量があります。この物理量を角速度といいます。速度や加速度と同様に、平均角速度、瞬間角速度を式にすると次のようになります。
このとき、ωは角速度 [rad/s] です。
角速度を図にすると下図のようなイメージです。また、速度は円の接線方向となります。
円運動における速度と角速度の関係性を求めてみましょう。まずは、速度を式にします。
次に、角速度の式を変形して、速度の式に代入します。すると、速度と角速度の関係性が導出できます。
速度は円の半径に角速度を掛けることで求めることができます。さらに、この式を時間で微分すれば加速度が求まります。
加速度は速度と角速度の積によって求めることができ、円の中心に向かって働いています。そのため、円運動に必要な力も円の中心に向かって働いていることになります。この力を向心力といいます。向心力はあくまで中心に向かって働く力の呼称であり、向心力になる力(摩擦力、引力、張力、弾性力、クーロン力など)はそのときによって様々です。また、中心から物体に向かって働いている力が向心力の反作用となります。向心力を式にすると次のようになります。
角速度と密接な関係がある物理量として、周期があります。周期は物体が円周上を1周するのに必要な時間を指します。また、1秒間に円周を回転する回数を回転数といいます。
このとき、Tは周期 [s]、nは回転数 [Hz] です。
ヘルツ [Hz] は回転数、振動数、周波数などに使われる単位なのですが、イメージとしては1秒間に同じ運動を何回繰り返すかを表しています。