張力は、ひもやロープを引っ張ったときにちぎれないように抵抗する力のことであり、復元力の一種といえます。また、張力は引っ張る方向にしか働かないため、糸やロープが少しでもたるんでいると張力は0になります。さらに、ひもの向きが途中で変わっても、ひもが張ってさえいれば力の大きさはどこをとっても同じとなります。では、簡単な張力から求めていきましょう。
このとき、Sは張力 [N] です。
次に、滑車における張力を求めていきます。このとき、物体Aと物体Bがあるので、運動方程式が2つ立てられます。
上式の加速度を取り除くように連立方程式を変形すると、張力の式を導くことができます。
上図のように天井に固定された滑車を定滑車というのですが、滑車にはもう一つ動滑車があります。この動滑車を用いれば張力は小さくなり、楽に物を動かせるようになります。参考例として下図を載せておきます。
最後にどうでもいい話をします。飛ばしても構いません。
昨今、引っ張りに強く、耐火性・耐熱性を持ち、柔軟性に富んでいる物質が話題となっています。それはクモの糸です。クモの糸は一見同じ糸でできているように見えますが、実は7種類の糸を巧妙に使い分けています。
1は枠糸、2はけい留糸、3は縦糸、4は横糸、5はこしき、6は付着盤、7は牽引糸と呼ばれています。この中でも特に、命綱である牽引糸が注目を浴びています。牽引糸と鋼やアルミニウムを簡単に比較してみました。
この曲線を応力-ひずみ曲線といいます。応力は張力を断面積で割った値であり、ひずみは変位量を元の長さで割った値です。式にすると次のようになります。
このとき、σは応力 [N/m^2]、Aは断面積 [m^2]、εはひずみ [単位なし]、lは長さ [m] です。
応力-ひずみ曲線をみると、クモの糸(牽引糸)が同じひずみ量となるためには最も大きな応力を加えなければいけません。従って、クモの糸は鉄やアルミニウムより強いのではないかといわれています。興味のある方は自分で調べてみて下さい。