科学を英語で学ぶメリット
私は、サイエンスに関しては、基本的にに英語で知識を学んで揃えた方が絶対的に有利、効率的だという考えを持っています。
その大きな理由のひとつは、命名法の一貫性。例えば、硫黄を含むの化学物質の日本語での名称として
硫化水素
六フッ化硫黄
硫酸
亜硫酸
硫酸バリウム
スルホン酸
等がありますが、私は始めて、スルホン酸という言葉を耳にしたとき、一瞬外国の人物名かと思ってしまいました(『スルホン』さん?)。というのは、日本では、硫黄を含む化合物は大体『硫』の文字を含んだ名称となっているというイメージを持っていたため、スルホンという音が化合物と結びつかなかったわけです。
一方、英語では、上記した硫黄系化合物の名称は
H2S Hydrogen sulfide
SF6 Sulfur hexafluoride
H2SO4 Sulfuric acid
H2SO3 Sulfurous acid
BaSO4 Barium sulfate
HSO2(OH) Sulfonic acid
となります。全ての言葉に綴りとして、sulf-という言葉のroot(語根)が入っているので、パッと見ただけで、sulfur derivative 硫黄の派生物であることはわかります。また、音として聞いても、サルファまたはサルフォという音が入ってくるので、聞いた瞬間に硫黄系だとわかります。
一言でいうと、英語の場合は、化合物・派生物の名称がシステマティックに命名されているため(もちろん通称もいれればシステマティックでないものもありますが、ここではサイエンスの教育現場での名称)、覚えやすく、読む場合でも聞く場合でも、認識しやすい。
一方、日本語の場合、統一性が無いので、覚えにくい。日本のサイエンスの用語は、私の感覚では、戦前までのサイエンス先進国であるドイツから輸入したドイツ系外来専門用語と、戦後主に米から輸入した英語系外来専門用語と、日本語専門用語と、統一性無く、接ぎ木されたような印象があります。したがって、覚えるのも、ドイツ式、日本式、英米式、となり非常に面倒。むしろ、国際的なコミュニケーションを考えず、日本国内限定で考えるのであれば、硫黄系は硫という文字をつけるで統一すれば統一感はあっていいと思います。が、この時代、国際的なコミュニケーションを考えると、主導的市場となっている欧米の言葉を使うのが効率的です。ちなみにスルホンは英語ではなく、ドイツ語読みです。ですので、スルホンアシッドといっても英語圏では通用しません。サルフォニック・アシッドと言わないとわかってもらえません。
ダルハウジー大学2年目修了時点で、日本の医学部学士編入試験を受けるために勉強した際も、日本語の化学・生化学・生物学のテキストブックで勉強すると、命名関連で覚えにくくてしょうがないという理由と内容が欧米の大学テキストに比較して薄すぎてわかりにくいというふたつの理由で、勉強時も英語テキストブックで勉強し、アウトプットするのに必要最低限な用語だけ日本語で覚える手段を取りました。