目次
本報告書は、SBIRTS普及促進セミナーのアンケート結果のうち、行政区分に該当する10名の回答を分析したものです。
以下の「所属機関」に該当する10名を「行政」区分として定義しました。
回復者施設
行政職員
その他の機関
都道府県の行政機関
精神保健福祉センター
保健所
Q1: 治療・相談経験: 「現在も行っている」が半数(5名)を占め、多くの回答者が現在進行形でアルコール関連問題に関わっていることがわかります。
Q2: 自助グループへの紹介経験: 半数以上(6名)が紹介経験を持っており、Q1の結果とも整合性が取れています。
Q3: 自助グループへの紹介方針: 7割(7名)の方が紹介に前向きな方針であることがわかります。
Q4: 紹介方法: 「口頭・文書で説明」と「名刺・紹介状」が最も多く、基本的な情報提供が主な紹介方法となっているようです。
Q5-Q6: 紹介の成功体験:
単回参加: 紹介相手が「本人が相談者の場合」に最も成功率が高く、10名中4名が成功体験ありと回答しました。
継続参加: 10名中9名が「成功体験はない」と回答しており、継続的な参加を促すことの難しさが際立っています。
Q7-Q8: 成功・失敗の原因:
成功の鍵: 「回復者に巡り合った」(3名)が最も多く、同じ経験を持つ人の存在が大きな力になるようです。
失敗の原因: 「再飲酒」(3名)が最も多く、本人の飲酒状況が直接的な原因となるケースが多いようです。また、「断酒できると思った」「金銭負担」「身体・仕事の都合」も障壁となっています。
Q13: SBIRTSの認知度: 10名中7名が「このセミナーの通知で初めて知った」と回答。現場担当者においても、SBIRTSの認知度はまだ高くないようです。
Q14: SBIRTSの理解度: 10名中9名が「十分」または「まあまあ」理解できたと回答しており、セミナーが理解促進に極めて有効であったことがわかります。
Q15: SBIRTSの実践意向: 「大いに実践すべきである」が6名を占め、多数がその必要性を認めています。
今回の分析対象である「行政」区分の方々は、
現状: アルコール関連業務に現役で関わっており、自助グループへの紹介経験も豊富で、その必要性も感じている。
課題: 紹介は試みるものの、継続的な参加に繋げることに大きな困難を感じており、その原因として本人の再飲酒や経済的・物理的な問題を認識している。
SBIRTSについて: 多くはセミナーで初めて知ったが、その内容は深く理解でき、今後の実践にも非常に前向きである。
総じて、実践経験豊富な現場担当者が、新たな有効な手法としてSBIRTSに高い関心と期待を寄せている、という非常にポジティブな結果が示されました。
本報告書は、SBIRTS普及促進セミナーのアンケート結果のうち、医療区分に該当する方の回答を分析したものです。(N=2〜12、質問により回答者数が変動)
Q1: 治療・相談経験: 「これまでにはある」が大多数(8名)を占めています。多くの医療関係者が、キャリアの中でアルコール関連問題に関わった経験を持っていることがわかります。
Q2: 自助グループへの紹介経験: 実に12名中11名が紹介経験を持っており、医療現場から自助グループへの紹介が、ごく一般的に行われていることが強く示唆されます。
Q3: 自助グループへの紹介方針: 回答者全員(12名)が「はい」と回答しており、自助グループへの紹介を標準的な支援の一環として明確に位置づけているようです。
Q4: 紹介方法: 「口頭・文書で説明」が圧倒的に多く、基本的な情報提供が中心です。次いで「名刺・紹介状」「出会いの場を設ける」と続いています。
Q5-Q6: 紹介の成功体験:
単回参加: 紹介相手が「入院中の患者」「退院後の患者」の場合に、比較的高い成功体験を報告しています。
継続参加: 継続的な参加に繋げるのは非常に難しいようで、「成功体験あり」と回答した方はいませんでした。
Q7-Q8: 成功・失敗の原因:
成功の鍵: 「回復者に巡り合った」「安心して過ごせる場所」が挙げられています。
失敗の原因: 「集団になじめなかった」「身体・仕事の都合」が挙げられました。
Q13: SBIRTSの認知度: 回答者全員がセミナー以前から「知っていた」と回答しました。
Q14: SBIRTSの理解度: 回答者全員が「十分理解できた」と回答しています。
Q15: SBIRTSの実践意向: 回答者全員が「大いに実践すべきである」と回答しました。
今回の分析対象となった医療区分の方々は、
現状: アルコール関連業務の経験が豊富で、自助グループへの紹介に全員が肯定的である。
課題: 紹介は試みるものの、継続的な参加に繋げることに課題を感じている。
SBIRTSについて: セミナー以前から認知しており、その内容は深く理解でき、今後の実践にも強い意欲を示している。
総じて、経験豊富な医療現場の担当者が、SBIRTSの有効性を確信し、その実践に非常に前向きであるという、力強い結果が示されました。
本報告書は、SBIRTS普及促進セミナーのアンケート結果のうち、「自助グループ」区分に該当する22名の回答を分析したものです。
【定義】 所属機関が「自助グループ」「⑩自助グループ ※」のいずれかに該当する回答者。
Q1: 治療・相談経験: ちょうど半数(11名)が専門家としての相談業務の経験がないと回答しており、これは当事者・家族としての参加者が多いことを示しています。一方で、残りの半数近く(10名)はピアサポート等で現在も相談業務を行っていることがわかり、このグループが多様な背景を持つメンバーで構成されていることがうかがえます。
Q2: 自助グループへの紹介経験: 8割近い17名が、新たな仲間をグループに紹介した経験があると回答しており、メンバーによる自発的な働きかけが活発であることがわかります。
Q3: 自助グループへの紹介方針: 9割を超える20名が、新たなメンバーの紹介に肯定的です。自助グループが、外部からの参加者を積極的に受け入れる姿勢であることが明確に示されました。
Q4: 紹介方法: 「口頭・文書で説明」が12名、「名刺・紹介状」が9名と、個人的な働きかけが中心であることがわかります。
Q5-Q6: 紹介の成功体験:
単回参加: いずれのケースにおいても、「成功体験あり」と回答したのは全体の約2〜3割にとどまりました。
継続参加: **9名が「成功体験あり」**と回答しており、行政・医療区分と比較して継続参加に繋がった割合が明らかに高いのが最大の特徴です。
Q7-Q8: 成功・失敗の原因:
成功の鍵: **「回復者に巡り合った」(10名)**が突出して多く、次いで「体験談に共感」(9名)、「安心して過ごせる場所」(8名)、「仲間ができた」(7名)と続きます。
失敗の原因: **「人間関係」(8名)と「再飲酒」(8名)**が最も多く挙げられました。また、「集団になじめなかった」「高齢者が多かった」(各6名)といった、グループの雰囲気や構成に関する課題も指摘されています。
Q13: SBIRTSの認知度: 約64%の14名がセミナー以前からSBIRTSを認知していたと回答しており、専門的な介入手法への関心が高いことがうかがえます。
Q14: SBIRTSの理解度: ほぼ全員(21名)が内容を理解できたと回答しており、セミナーが有効であったことがわかります。
Q15: SBIRTSの実践意向: 実に22名中21名(95%)が、SBIRTSの考え方を支持し、今後の実践や連携に肯定的であることが示されました。
現状: メンバーの半数はピアサポート等の経験も持ち、大多数が新たな仲間をグループに紹介した経験を持つ。また、その継続参加を支える上で重要な役割を担っている。
課題: 紹介が続かない原因として、グループ内の人間関係や本人の再飲酒といった、より個人的・内面的な問題を認識している。
SBIRTSについて: 認知度は比較的高く、セミナーを通じて理解がさらに深まった。そして、ほぼ全員がSBIRTSの理念に賛同し、今後の連携や実践に非常に協力的・前向きである。
本セミナーのアンケート結果を「行政」「医療」「自助グループ」の3つの区分で分析した結果、それぞれの立場からの現状認識と、共通の課題、そしてSBIRTSへの大きな期待が明らかになりました。
行政 (N=10): アルコール関連問題に現役で関わる実務者が多く、自助グループへの紹介経験も豊富で、その必要性を強く認識しています。**専門職として相談者と自助グループを繋ぐ「橋渡し」**の役割を担っています。
医療 (N=2~12): キャリアの中でアルコール関連問題に関わった経験者が大多数を占め、自助グループへの紹介を標準的な支援の一環として位置づけています。治療の専門家として、回復のプロセスに自助グループを組み込む役割を担っています。
自助グループ (N=22): 当事者・家族と、ピアサポート等の経験者がほぼ半数ずつという多様な構成です。専門職とは異なる**「仲間」としての視点から、新しいメンバーを迎え入れ、その継続的な参加を支える**という重要な役割を担っています。
3区分に共通して浮かび上がった最大の課題は、相談者を自助グループの**「継続的な参加」に繋げることの難しさ**です。
行政・医療の視点では、その原因を本人の再飲酒や経済的・物理的な制約といった、外部環境や本人の状態変化にあると見ています。
一方、自助グループの視点では、グループ内の人間関係や集団の雰囲気といった、より内面的な要因も継続の障壁になると認識しており、課題認識に若干の違いが見られます。
この「継続参加の壁」をいかに乗り越えるかが、今後の連携における中心的なテーマであると言えます。
今回のセミナーで最もポジティブな結果は、SBIRTSに対する各区分の姿勢です。
認知度: 医療関係者はセミナー以前からSBIRTSを認知している一方、行政と自助グループの多くは今回初めて知ったと回答しており、今後のさらなる周知が重要です。
理解度と実践意向: 背景知識に差はあれど、3区分すべてがセミナーを通じてSBIRTSを深く理解し、その理念と有効性に強く賛同しています。特に、ほぼ全員が今後の実践や連携に非常に前向きであると回答したことは、特筆すべき点です。
総括として、それぞれの専門性と役割を持つ「行政」「医療」「自助グループ」が、「継続参加の促進」という共通課題を認識し、その解決策として「SBIRTS」という新しいアプローチに大きな期待を寄せ、同じ方向を向いていることが明らかになりました。これは、今後の三者連携を加速させる上で、非常に大きなポテンシャルを示唆しています。
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・企画運営 大変お疲れ様でした。ありがとうございました 学んだことを早速活かして頂きたいと思っています
・AI音声を取り入れているのがすごいと思いました。私の県で開催する時にも取り入れたいと思います。また、パネルディスカッションと閉会の言葉の有村さんの話がとてもよかったです。これからも福岡県の断酒会の皆さん頑張ってください!!
・とても深い学びにつながりました。
・今後、断酒を続けていく上で、自分次第では断酒会への案内役ができる可能性があると思ったので、断酒を続けていく重要性が増しました。ありがとうございます。
・自助グループの一員として、専門機関や行政機関から紹介された時、しっかりと受け入れれれる体制を整える役割を果たしたいと思いました。
・本当にパネリストや有村様の魂の声が今日からのアルコール依存症治療、回復への力を改めて感じました。
・有益でした。SBIRTSをもっと広めて欲しい
・断酒例会の様子が分かって、よかったです。
・支援者、医療の立場の方々の内容が主に感じられ、一家族として断酒会に関わっている者には少し難しいところもありました。SBIRTSを初めて知り、それに取り組んでいらっしゃる行政、専門医、支援者がいらっしゃること、また、その内容を少し知ることが出来ましたことは、大変よかったと思っております。ありがとうございました。
・有益だった。主人を医療につなげたいが、なかなかつながらない。上村先生のお話で、押しつけがましくしない。提案していく。一緒に純アルコール量を計算したりするのはいいと思った。あと、気軽にいろんな人に勧めていこうと思う。家族は治ってほしいので肩に力が入るが、プレッシャーを与えてもいけないなと思った。今は細々と縁ある人にお伝えしているが、アルコール依存症に悩む人とその家族を助ける相談者の仕事をしてみたいです。
以上で終わりです。