ひとりになりたい。
承認欲求の化け物の咆哮と、そういう生き物をわざわざ探し出しては人目に晒して騒ぎ立てる生き物たちの祭に嫌気がさした。
ひとりになりたい。
いきものはたたかわなきゃいきていけないらしい。
ひとりになりたい。
最近は本ばかり読んでいる。
もともとは新作の世界設定の参考にするために読み始めたのだが、読んでいるとポンポン疑問が浮かび、さらに理解を深めようと別の本に手を出す――といったことが連続して、積読が増えてしまった。
しかし、今までまったく知らなかった世界を知ることができるのは楽しい。同時に、意外な分野同士が結びついていて驚くこともある。
昔、理系科目の教員が「理系は科目関係なく密接に繋がっている」と言っていたが、文系も同じだった(あまり文理で分けるのは好きじゃないが)。高校時代に世界史をまじめに学ばなかったことに後悔したのは人生で初めてだ。
読書の時間だけが生の実感を忘れさせてくれる。
己の力量の限界を悟っていた。
創作は楽しかった。自分の供給を満たせるのは自分だけで、いつか世に認められるものを作りたいと本気で思っていたし、自分にはそれができると根拠のない自信もあった。否、根拠がないからこそ走り続けてこれた。
しかし、そんなものなどなかった。
作品であれ、作品で手に入れた名声であれ、何であれ、真に満たされることはないだろうという直感があった。
「夢から覚めた」というならばずっと眠っていたことになるが、それにしてはとても疲れた。
すべて己の異常性から来ているのだから、どうしようもない。
苦しいとか辛いとかではなく、虚無だ。
積極的な死の希求ではないが、生への欲求も皆無だ。
なんかもう疲れてしまった。疲れたから、ひとりになりたい。