経口補水液のつくり方
― 市販品に頼りすぎてはいけない理由 ―
昨年の夏
気温30℃を超える中でのロングジョッグ
走り終えてからめまいと吐き気がしました。
体中からザラザラと塩が浮いている
慌ててスーパーに入り、梅干しを購入
3粒ほど食べると、不思議と症状は落ち着きました。
当時の私は、
スポーツドリンクは甘すぎるし
経口補水液はマズイ・高い・緊急時に使うもの、という認識でした。
結局のところ、ジョッグの負荷を甘く見て、水ばかり飲んでいたのです。
その反省から、試しに経口補水液を自作してみました。
後日、再び30℃を超える日のロングジョッグ。
飲んだ瞬間にわかりました。
おいしい
胃に残らない
スーッと入っていく
水やスポーツドリンク
市販の経口補水液とも違う感覚でした。
それまで全く理解していませんでした。
・なぜ水だけではダメなのか
・スポーツドリンクと経口補水液は何が違うのか
・なぜ市販品ではなく、できるだけ自作すべきなのか
酷暑が来る前に、知っていただきたいことを整理します。
■ なぜ、水だけではダメなのか
発汗時、体は水だけでなく塩分(ナトリウム)を失うため、水だけを飲むと、血液中のナトリウム濃度が低下します。
体はこれを異常と判断し、濃度を維持するために水を保持できなくなります。
つまり、いくら飲んでも吸収されない状態になるのです。
その結果
・吐き気
・脱力感
・発汗過多
といった症状が現れます。
この段階で水だけを飲んでも、回復しないどころか、悪化する可能性もあります。
塩分補給が必須であることはもちろん、濃度を管理することが重要です。
※そのため、塩タブレットでは△
■ これだけは覚えて
水 1リットル:塩 3グラム
または
水 500ミリリットル:塩 1.5グラム
■ 経口補水液のつくり方
※以下はすべて1Lあたり
(500mlの場合は、塩と砂糖を半量にする)
水:1L
塩:3g
砂糖:40g(20~40g)
レモン汁:少量
※正式な経口補水液は砂糖40g
※運動強度と緊急度が低い場合は砂糖を減らす(摂りすぎ防止)
※運動時以外は砂糖なしでも可(ただの塩レモン水)
■ なぜ糖分が必要なのか
経口補水液に入れる糖分は、エネルギー補給が目的ではありません。
塩分と糖分が同時に腸に入ることで、水の吸収速度が大幅に向上します。
ただし入れすぎは逆効果です。
・水分の吸収が遅れる
・胃の不快感
・血糖値の乱高下
(倦怠感や眠気=失速の原因にもなる)
スポーツドリンクの多くは、1Lあたりに砂糖が60g以上入っている物も珍しくありません。
あくまで糖分補給飲料と考えましょう。
■ ユニパックで持ち運べば、買う必要なし
経口補水液を持ち出せない時は、塩と砂糖を計量して、ユニパックに入れて持ち運びます。
あとは現地で水さえ用意できれば、練習前でも、合宿中でも、どこでも作れます。
チームで一つ、計量器を用意するのも良いでしょう。
■ 市販品は緊急時に
競技をしている以上、練習中やレース中に、自分で用意できない状況は多々あります。
その場合は、迷わず市販品を使ってしのぐべきです。
しかし、コンビニ弁当と同じく、裏面の原材料を見れば、常時摂取すべきでないことがわかります。
・果糖ぶどう糖液糖
・人工甘味料
・酸味料
・香料
・その他の添加物
■ 選手が「摂らされている現実」
現場では、あれもこれも、
次から次へと口に入れているケースが少なくありません。
きっかけは多くの場合、
一流選手を使った広告や、
勉強会という名目で入ってくるメーカーからの提案です。
・これを飲めば回復する
・これを摂ればパフォーマンスが上がる
そうやって少しずつ増えていき、気づけば常に何かを摂っている状態になります。
ここで一度、立ち止まってください。
良い面だけを見ていないか?
私自身も同じです。
現役時代「体に良い」と思い込んで買っていたものの中身は、大量の糖分と食品添加物でした。
もちろん、不調の原因は口に入れるものだけが全てではありません。
しかし、毎日選手の体を見ている立場から言うと、
故障した途端に浮腫みや肌荒れ、強い倦怠感を訴える選手が多いことも見逃せない事実です。
単純に、エネルギー摂取量が減っただけではないでしょう。
選手は走れなくなったときに、普段ごまかせていたことが顕在化するように感じます。
たった数日から数週間で不調が現れるようでは、現役引退後の体調が心配です。
今一度、本当に必要なものだけに絞り、必ず原材料を確認する習慣をつけましょう。
■ 最後に
経口補水液に、普段からお金をかける必要はありません。
水と塩分の比率を守る。
運動強度(=水分吸収の緊急度)に応じて砂糖量を調整する。
できるだけ中身はシンプルに。
まずは、毎日摂取するものを見直してください。