デジタル化された天体写真の世界に復帰し、見様見真似であっちこっちからかき集めた知識で目下のところ確立した自己流の画像処理過程をまとめてみました。
ソフトはSiriL0.99.6とPS CCです。
作例はNCG7331ですが、都会の光害下で撮影されたもので圧倒的な露光不足です。
到底、見栄えのするものにはならないのですがあくまでも処理の素材・・・という事でお許しください。今回はスタック・トーンカーブ調整・いくぶんのカブリ補正をSiriLで行った後のPS CCでの処理過程です。
元絵です。SiriLでスタックとトーンカーブによる調整に加えて背景カブリの除去を行った後ですが取りきれなかった背景の光害カブリが見事に残っています。
まずはこのカブリの除去からです。
カブリ補正用にレイヤーをコピーしました。
星と星雲を消して背景カブリだけにするため「ダスト&スクラッチ」フィルターをかけます。
恒星が消えるあたりまで半径を大きくします。
フィルターをかけた結果です。まだ星雲がぼんやり見えていますのでこれをスタンプツールで消します。
スタンプツールの画面はキャプチャーできなかったので結果だけです。
スポット修復ブラシツールで明るい恒星の消しムラや星雲の消しムラを馴染ませて全体を均一にします。スタンプツール同様にスクリーキャプチャーできなかったので結果だけを下に示します。
よく見るとまだムラがありますが、このぐらいで使用に耐えます。
元絵のレイヤーを選択します。カブリ画面のレイヤーは非表示にしています。メニューのイメージから画像操作を選択します。
プレビューで結果がすでに見えてしまっていますが、元絵からの減算でカブリが補正されています。設定値の内、オフセットの値は処理後の画面の明るさに影響します。ある程度、背景を明るくしておく方が対象が映えるので20または30くらいが適正値だと思います。
カブリ除去後の星雲のアップです。元絵がプアーなのでわかりにくいですが淡いディテールも損なわれる事なく細部が描写できています。
これからノイズ処理とディテールをもう少し浮かび上がらせる処理を行ます。
まずモードをLabに変更します。ちなみにカブリレイヤーはもう不要なので捨てました。
チャンネルから二つあるカラーチャンネルの内、aを選択し、ガウスぼかしをかけます。強さは画像次第ですが見た目のざらつき感がとれる程度です。同じ事をbチャンネルにも適用します。これはLRGB合成と同じ考えで色情報の分解度に人の目が鈍感な事を利用して色情報のみをボカして色ノイズを消すための処理です。
次はLチャンネルです。
ノイズを軽減のフィルターを適用します。
このあたりのさじ加減は自信ありませんが、元絵のディテールに影響しない程度でノイズの平滑化を行ます。
すでにSiriLでトーンカーブを調整してストレッチした後なのでさらなるストレッチは微妙です。しかしLab画像でL画像だけを処理する場合、カラーノイズを増やさない利点があります。ちょっとだけ触ってみます。
という事で少しコントラストを上げるようにトーンカーブを触りました。
Labでは実行できない機能があるので再びRGBモードに戻します。
一連のノイズリダクションとストレッチの結果です。
さらにディテールを抽出するためにハイパスフィルターをかけます。まずは複製のレイヤーを作成し、その複製レイヤーにハイパスフィルターを適用します。
半径は抽出したいパターンの空間周波数次第、すなわち大きな模様、小さな模様、どんな模様を強調抽出したいかで決めます。今回は星雲のディテールを出したかったので小さめの半径にしています。
ハイパスフィルターはノイズも強調してしまいます。なのでうっすらとガウスぼかしをかけて影響を軽減させます。
こんな感じ・・・と言っても分かりにくいですが。
ハイパスフィルターの結果を反映させるためにレイヤーモードをハードライトに変更します。
ハードライトを選択すると強調処理された結果が見えます。
色味が浅いので新規調整レイヤーから色相・彩度を選択します。
彩度を少し上げてやりました。
処理後の全体です。
星雲部分をトリミングしました。再び、言い訳になりますが元絵がプアーなのでこんなもんです。 そんなプアーで光害カブリまくりの絵からの処理としてはまあまあかと思います。もっとショット数を増やしてトータルの露光量を確保すると・・・と想像と期待がこの画像の向こうに見えるのでがんばりたいと思います。
追記:その後、もう少し撮影を重ねる機会があり、このシーズンの結果はこの通りです。