セルフフラットの作り方はいろいろあります。
ここで紹介するのは比較合成の暗を使う方法で恒星を消す方法です。
セルフフラットと言っても光害カブリなどのバックグランドの不均一な明るさをある程度、補正するだけでセンサーやフィルターについたゴミの影を消すような芸当はできません。
スカイフラットや面光源などを撮影したフラット画像で補正してもなお残るバックグランドの不均一な明るさの補正が目的です。
以下、M1の画像で説明していますが背景の不均一さがよくわかるように少しストレッチした画像を使っています。(・・・それでもあまり顕著にはわからないので選んだ作例が悪かった。)
これが元画像です。
処理にはPSCCを使っていますがフリーのGIMPなどでも基本的には同じ処理が使えます。
レイヤーを2枚複製します。
最上位のレイヤーを比較(暗)に設定します。
移動ツールを選択した上でカーソルキーでレイヤー全体を移動します。
この例では左に移動しています。
移動するに従い、恒星が消えていきます。
消え具合をみながらレイヤーを移動します。
移動した先で別の恒星と重なったりするので完全には消えませんし、あまり動かしすぎると他の恒星と重なりがちになります。
とりあえずこの状態でレイヤーを結合します。
この例では表示レイヤーを結合を使っています。
下のレイヤーと結合でもOKです。
結合したレイヤーを複製した上でモードを比較(暗)にして今度は右の方に移動して恒星を完全に消しました。
レイヤーを結合します。
スタンプツールで星雲を消します。
コピー元を右、右上、上、左、左下、下という風に変えながら周囲から中央にかけて星雲を消して周囲と馴染むように消します。
比較的に大きめにガウスボカしをかけて平滑化します。
元画像を選択した上で画像操作を行います。
減算モードでフラット画像を適用します。
オフセットは15として背景はやや明るくしています。
完全に真っ黒にせず、ある程度は明るさを保つ方が対象天体の明るさの裾野が背景に溶けるようになり自然に見えます。
という事でこれがセルフフラットで背景のカブリを補正した結果です。
比較(暗)でセルフフラットを作成した場合、カラーバランスが崩れがちなように思います。
数値的な検証無しの感覚的な話になりますが比較(暗)が画像全体の色傾向を反映している訳では無く暗い方のピクセルが選択される結果でしょう。
画像解像度を落とした画像でフラットを作成した上で再び元の大きさに戻す方が良いかもしれません。
・・・やってみました。
解像度を9DPIに落とした画像です。
複製レイヤーを比較(暗)にして左に移動しました。
がっつり恒星が消えています。
元画像から新たに作成したレイヤーを比較(暗)にして今度は右に移動しました。
恒星のみならず星雲もほぼ消えました。
わずかに破片みたいなのが中央に散らばっています。
ダスト&スクラッチをかけたら星雲も跡形なく消えました。
解像度を元に戻した上でオリジナルの画像にレイヤーとしてコピペ。
画像操作の減算を実施したのが上です。
うん、解像度を落としてセルフフラット作成が正解ですね。
なお、解像度の変更はバイリニアを使います。