フリーのフォトレタッチソフト「GIMP」にWAVELET-DECOMPOSE機能がある事にある日気がつきました。散々、REGISTAXで苦労した後でしたが、そもそもWAVELET処理そのものに馴染みがなかったので、気が付いていなかったのでしょう。WAVELET処理ではREGISTAXがポピュラーですがフォトレタッチソフトにWAVELET機能が実装されているというのは便利。
使い方をググったら強調したいレイヤーをレイヤーの複製で増やす事で強調するといった記述がありました。これが正しいかは疑問です。
我流で見出したのはレベルまたはトーンカーブ調整で特定のレイヤーの画像強調を行う事。
各レイヤーのヒストグラムを見ると非常に尖って低コントラストになっています。レイヤーだけの画像を表示するとぱっと見は全体にグレーであるべき画像がほぼ見えません。このローコントラストな画像に対しレベル調整、あるいはトーンカーブ調整で画像強調すると特定のレイヤー(特定の周波数成分)を強調表現できます。この処理は一種のヒストグラム均等化だと思います。尖ったヒストグラムを横にビヨーンと伸ばす・・・というのはヒストグラム均等化と同じアプローチだと思うのですが・・・。(追記修正:私がやったのはヒストグラムストレッチングっぽい処理で、ヒストグラム均等化は似て非なるものだとわかりました。)
かくして各レイヤーのレベル調整を行うとそれまで見えていなかったパターンがレイヤーを合成した画像に現れます。 以下は、その手順をステップ毎に示しています。
トップのフィルターから「強調」>「Wavelet-decompose」を選択します。
WAVELET-DECOMPOSEをクリックするとこのポッピアップが表示されます。レイヤーは最大7まで設定できます。最大レイヤーにする方がきめ細かな調整ができるので7で分割します。
レイヤー分解後はレイヤーがメニュー表示されます。Decompositionはすべてのレイヤーの合成画像でこれから行うレイヤー別の画像強調の結果がこの画像に集約されます。元画像は1から7までのレイヤーとResidual(残り)にレイヤー分解されています。なおResidualと残り1から7までのレイヤーの線引き条件は不明です。
分解されたレイヤーの画像は極めてローコントラストです。これは7番目の最低周波成分(大きなパターン)なのでまだうっすら画像が認められますが高周波のレイヤーはべったりグレーに見えます。ヒストグラムはご覧の通り超狭くて尖っています・・・すなわちローコントラスト。
効果が比較的に顕著なレイヤー4を例にとって処理過程を紹介します。右下のレイヤーメニューから4をクリックして選択します。
レベルの上下を切り詰めます。私流の解釈ではこれは特定レイヤーの画像のヒストグラム均等化に相当すると思います。レベルの上下切り詰めで結果的にヒストグラムが伸長され、コントラストが改善するというのはヒストグラム均等化の考え方に近いと思うので。
レベル調整後です。ヒストグラムを見ると大きく横に広がっていてコントラストが改善されています。
3から6までのレイヤーに対してレベル調整した結果です。
処理前
処理後
この作例ではレイヤーの3、4、5、6のみを調整しています。1、2の高周波成分には強調対象になる画像がないようなので除外。7については強調により他の高周波成分の画像を隠してしまうので除外しました。
作例ではサクサク処理していますが、頭部の構造を出しながらテールのもつれた構造も同時に・・・となると結果を見ながらレイヤー別のレベル調整を試行錯誤しつつ、それでも出ない場合は異なるパラメータで作成した画像の合成処理が必要です。シビアな惑星の画像処理にこのGIMPのWEVELETが有効なのか?ですが、ほうき星には有効性があると思います。惑星状星雲などにも使えるかと思います。