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話題提供
講義
所属
大阪大学大学院生命機能研究科 教授
略歴
2009年 現職
2005年 名古屋大学理学部生命理学 教授
2002年 理研発生再生学研究センター TL
1997年 徳島大学総合科学部 教授
1993年 京都大学医学部医化学教室 助手・講師
1991年 Biozentrum Basel Univ. PD
受賞
1996年 Beckman奨励賞(Beckman)
2012年 Nistep研究者(科学政策研究所)
2021年 小林賞(小林財団)
講義概要
流体科学の皆さま、初めまして。阪大生命機能研究科の近藤と申します。私は、もともと京都大学医学部本庶佑先生(あの@@@@な本庶先生です。)の下で、免疫分子生物学をやっていたのですが、飽きっぽい性格なのか、ハエの形態形成、チューリングの反応拡散系、面の折り畳みによる3D変形、と研究対象が変わっていき、現在では、自分が何の学者なのかもよく解らない、と言った状態になっています。それでも何とかやってこれたのは、運が良かったのと、米国ほど競争的ではない日本の研究環境のおかげだと思っています。今回の講演では、科学的な内容としては、魚の縞模様がチューリングパターンであることを証明した話を中心に、数学と生物学のハイブリッドな研究法を解説しますが、それに絡めて、多分皆さんがもっと知りたいと思っている「ボスに内緒で隠れ研究をどうやるか?」「素晴らしいと思ったアイデアが周囲に否定されたらどうする?」「申請書を魅力的に書く方法」などなど、研究人生に関するよもやま話なども、お話しする予定です。
「波紋と螺旋とフィボナッチ(秀潤社2013)、「いきもののカタチ(学研2021)という2冊の一般書を書いていますので、そちらを読んできていただけると、話が早い、と言うかより楽しめると思います。
では、夏にお会いしましょう。
所属
東京大学大学院理学系研究科 助教
略歴
2019年 現職
2018年 フランス パスツール研究所 博士研究員
2017年 CEA-Saclay(フランス 原子力代替エネルギー庁サクレー研究所) 博士研究員
2017年 東京大学大学院 特任研究員
2017年 博士(理学)取得,東京大学
講義概要
アクティブマターとは、個々の構成粒子が自由エネルギーを消費することで自己駆動などの非平衡性を示す粒子の集団のことである。構成要素が向きを揃えて進む集団運動は、エージェントベースの数理模型はもちろん、構成要素の速度場や密度場の流体記述でも詳細に調べられ、巨大な密度ゆらぎや非等法な音波モードなど、数多くの興味深い理論的成果が得られている。
今回の流体若手夏の学校では、西口が実験してきたバクテリアと自己駆動コロイド粒子の集団を題材に、アクティブマターの集団運動の基礎理論と実験的展開を概説する。具体的には、まずバクテリアの長距離配向秩序相やアクティブ乱流状態を例に、集団運動における秩序と不安定性の発現原理を見る。また、無生物による実験例として、交流電場下の電気浸透流により駆動する非対象なコロイド粒子(ヤヌス粒子)を紹介する。ヤヌス粒子は、交流電圧の周波数やイオン濃度の調節により駆動速度・駆動方向・相互作用を制御でき、さまざまな集団運動状態を探索できる。バクテリアとコロイドという異なる系において普遍的に発現する数理的性質を見ることで、統計物理学としてのアクティブマターの面白さを堪能するとともに、流体科学との関わりや今後の展開について参加者の皆様と議論したい。