神崎 豪造 Gozo Kanzaki
STYLE:Inu=Inu◎,Fate● ID:B-
HEIT:170 WEIT:78 AJ:52 JENDER:♂
EYEZ:Blakk HAIR:Blakk SKIN:Yellow
現場一筋のたたき上げ刑事。その鋭い捜査のカンは長年の経験によってのみつちかわれるものである。彼の口癖は「捜査は脚で稼げ。」そのせいかどうかは知らないが、車の免許はもっていない。
プレイヤー:チャッピー
ユーリ・ファウンド Yuri Faund
STYLE:Inu,Exek◎,Kabuto-Wari● ID:C
HEIT:162 WEIT:? AJ:23 JENDER:♀
EYEZ:Green HAIR:Gold SKIN:White
警察学校を主席で卒業したパリパリのエリート警官である。ゆく末の管理職としての勉強もかねて現場へ配属されている。射撃の腕は超一流とか。
プレーヤー:リサ
吉岡 健 Ken Yoshioka
STYLE:Talkie◎,Neuro,Mayakasi● ID:B-
HEIT:173 WEIT:60 AJ:20 JENDER:♂
EYEZ:Light Yellow HAIR:Blakk SKIN:Yellow
有能な霊能者の家系に生まれながら、その血の恩恵をわずかしか受けなかった長男。大学を中退後、話のノリで友人たちと廃バスを改造して、海賊放送局を始める。名付けて、「水色バス放送」 彼はそこの社長兼カメラマン兼リポーターである。少なくともバスのバッテリーが動いているあいだは。
プレーヤー:コニタン
ルーラー、リプレイ執筆:ナッキー
プレイ日時:1998年9月19日 午後4時30~7時15分(妙な天気)
今回のシナリオはアメリカのTVドラマ、ミレニアムで放映されたエピソード、Pest House にヒントを得て製作されています。(これは、典型的なフォークロアをモチーフとした作品でした) また、シナリオに登場する世界設定、とくにIANUSに関する設定にはマスターのオリジナルを多数含んでいることをご了承ください。
ルーラー:かくして運命の扉は開かれた。(笑) えっと、今日のN◎VAの天気はこんな感じです。(窓の外を見る)曇っていて、雨が降ったり止んだりです。日が差したかと思ったら急に強く降り出したり、妙な感じです。さて、神崎豪造はですね、新米の隊員とドライブ中です。ていうか、裁判所かどっかの帰りに彼をアシとして呼びだしたんだよ。
神崎:「すまんな~、新米君」
RL/白馬:「白馬マサカツです。俺、任務中なんですけど」
神崎:「しかし、変な天気だな~」(笑)
RL:まあそんな感じで世間話しながら本部目指しているわけですよ。するとですね、車内に流れていたポップミュージックが突然、なんの脈絡もなく民族音楽みたいなのに切り替わった。かと思うとノイズが入って、次に「奥さんと別れてください!」なんて声が入ってきたよ。
神崎:「なんだ、これは?」
RL/白馬:「朝から、無線の調子が変なんですよ」
神崎:「さっきの音楽はラジオじゃなくって、無線機だったのか?」
RL/白馬:「ええ、混線してるみたいなんです」
神崎:「警察無線が混線しちゃまずいだろ!」(笑)
RL/白馬:まずいです。(笑)「盗聴防止装置の故障じゃないのかな?」
神崎:マジ? 「通信科の三井め、職業怠慢だ」
RL:またノイズです。それから、「…号車…ます。白馬…聞いてる?」
神崎:「その声は葵ちゃんだな」
RL/葵:「応答して…アホッ…応答しろ…」(笑)
神崎:「葵君とは仲が良いのかね?」(笑)
RL:「いじめられてるんですよ」白馬は一生懸命、無線のチューナーをいじっている。
神崎:「いやよ、いやよも好きのうちってな。(←?)貸してみろ、こうやるんだ。」ゲシッ、ゲシッと殴る。「もしもし? 神崎だ」
RL/葵:直りました。(笑)「神崎さん? なんで、白馬君と一緒なんですか?」
神崎:「私がいちゃまずいのかね」
RL/葵:「おほん、本部より8号車へ、殺人事件発生です。現場へ急行してください。場所は○×通りの△□番地、沖田電子の研究所跡です」
神崎:「葵ちゃんは白馬とどうゆう関係なんだね」(笑)
RL/白馬:「なにいってんですか神崎さん、行きますよ!」
神崎:「おっ? おお!」
★ ★ ★
RL:水色バス放送の社員が君に言う、「放送器械の調子が変なんですよ」
吉岡:「本当に?」
RL/社員A:「電波にノイズが入りまくって、混線もひどいんですよ」
吉岡:(ため息)「もう、今日の放送は止めにしようか」
RL:するとだね、ノイズにまぎれて、「殺人事件発生しました」って無線を傍受した。社員が、「これブラックハウンドの無線ですよ!」って驚いてます。
吉岡:「早速、放送だ!(笑)僕は取材に行ってきます」
RL:社長が!?
吉岡:小さい放送局ですし。
RL/社員A:「いってらしゃい、頑張って!」(笑)
吉岡:「頑張りまーす」(笑) あっ、乗り物もってねえ。自転車でダーッ!
RL:現場まではちょっと遠いよ。
吉岡:ぜえ、ぜえ言うわ。(笑)
★ ★ ★
RL:最後にユーリです。君は午前中ブラックハウンドの某会議に出席していました。それで昼からは非番になったんですけど、街に出てきているとき偶然に殺人事件の発生を知ったんです。それで駆けつけた。
ユーリ:じゃあ、私服ね。
RL:建物の正面にはSSSのパトロールカーが数台止まっている。
神崎:ユーリに会っていいよね、「非番なのにすまんな」
ユーリ:「人手が足りないのは承知しているから」
RL:SSSの制服の男が近寄ってきて敬礼する。「警備責任者の菊池です」
神崎:「現場を見せてもらえるかね」
RL:「こちらです。」廃ビルですが建物自体はそんなに古い感じじゃない。室内には機材がいくらか残っていて、ホコリよけのカヴァーが掛けられている。
神崎:そんなのを手でめくったりしながら進む。
RL/菊池:「パトロールの者が裏口のカギが壊されているのを発見しまして。踏み込んでみるとこれです…。」事務所風の部屋に男が3人、典型的なストリートファッションです、天井から逆さに吊るされている。3人とも喉を裂かれていて、床は血のシミがべっとり。SSSの鑑識が現場調査を行っています。
ユーリ:ぎゃわわ。
神崎:逆さ吊りねぇ。「見たところこのビルは使われていないようだが?」
RL/菊池:「ええ、ここは空きビルです。だから、我々はこういう連中が入らないように警備しているんですよ」
ユーリ:泥棒なの?
RL/菊池:「“廃品利用業者”ですな。路地に車が止まっていた」
神崎:「身元は判明したのか?」
RL/菊池:「現在、調査中で…」
吉岡:「通してください!」(笑)
一同:きたきた。(笑)
RL:玄関の方が騒がしくなったよ。(笑)
神崎:出て行こう。「どうした。報道関係者か? 所属は?」
吉岡:「水色バス放送です。殺しだそうですが、状況はどうですか?」
神崎:「勝手に行ってこられちゃあ、困るんだがな」カメラを掴む。
吉岡:「妨害です。ブラックハウンドの悪質な妨害です」(笑)
ここで、“報道の自由”についての意見の食い違いにより一悶着起こるが。(笑)白馬君の仲裁も入って、なんとか取材の許可が下りる。
RL/白馬:「神崎さん。捜査にはメディアとの協調も重要だって、警察学校で教わりましたよ」(笑)
神崎:しゃあないな、白馬に説得されておくよ。「よし、撮影は認めよう。ただし放送はこちらが許可するまではダメだ」
吉岡:「オッケー」
RL/菊池:「では、この件の捜査はそちらに任せてよろしいな?」
神崎:「ああ」
RL/菊池:「コソ泥の縄張り争い程度の事件だとは思いますがね。骨折り損にならんことを祈っておりますよ」彼は帰って行く。
神崎:「菊池君」
RL/菊池:「何か?」
神崎:「先入観は、捜査の大敵だよ」
RL/菊池:「ふっ、肝に命じておきましょう」
神崎:こ生意気な若造め。鑑識に聞こう。「死亡原因は?」
RL/鑑識:「喉の切り傷ですね。鋭利な刃物でしょうか」
神崎:「死亡時刻は?」
RL/鑑識:「死後2日は経っていると思います」
神崎:「ここで、殺害されたのだろうか?」
RL/鑑識:「この血痕ですから、おそらく」
ユーリ:「どうやって吊り下げたんだろう?」
RL/鑑識:「机を動かした跡が残っています。たぶんそれを踏み台にしたんでしょう。」
ユーリ:「他に、特徴はない?」
RL/鑑識:「検死解剖してみないとなんとも。死体を下ろしてもかまいませんね?」
神崎:「ああ。遺体はブラックハウンドにまわしてくれ、鑑識の結果も」
RL/鑑識:「了解しました」
神崎:とりあえず、自分でこの部屋を捜索してみよう。
吉岡:俺も。
RL:判定どうぞ。
神崎:スペードで達成値12。
吉岡:ダイヤで達成値14。
RL:ならね、吉岡は死体を吊るしてあったロープに目がいった。それはきちんと同じ長さで切り揃えられている。
吉岡:計画的犯行ってやつですか。
▲一同は現場を引き上げ、それぞれの捜査を開始した。被害者3人の身元は警察の前科者リストであっさりと判明した。盗難事件の常習犯だった。神崎とユーリは、窃盗と盗品故買屋グループに接触を取るが、直接殺人につながる情報は手に入らなかった。吉岡はイントロンして情報を収集、殺人事件マニアなどから、警察とほぼ同レベルの情報を得た。
RL:神崎とユーリはジャンク屋での聞き込みの最中ですが、神崎のポケットロンの呼びだし音が鳴ります。
神崎:「もしもし」
RL/白馬:「神崎さん、検死の結果が出たそうです」
神崎:「わかった、こちらからモルグへ向かう」
RL:到着しました。背の高い痩せた男が出迎える。
神崎:「神崎だ。彼女はファウンド警部補」
RL/尾田:「担当の尾田です」
神崎:「何かわかったことは?」
RL/尾田:「これが報告書です」
神崎:ぱらぱら。
RL/尾田:「薬物摂取の反応あり、最近流行りのコスメティック手術の跡あり、健全なN◎VAの若人ってやつですか。残念ながらそれ以外のことはたいして判明しませんでした」
神崎:「死因は、やはり喉の切り傷?」
RL/尾田:遺体のカヴァーを外しながら、「ええ。鋭利な刃物、ナイフによるものでしょう」
ユーリ:「プロの犯行ですか?」
RL/尾田:「手際の良さは認めますが、素人でも練習すればこのくらいは」
神崎:「猟奇殺人の模倣の可能生があるとか?」
RL/尾田:「さあ。それは私の専門ではありませんし。今後の犯人の活動しだいなのでは?」
神崎:「勘弁してくれよ」
RL/尾田:「そういえば、遺体から興味深いものが…」と、トレイを持ってくる。
「これが、遺体の喉に押し込まれていたんです。」それは丸まったトランプでした。
神崎:種類は?
RL:スペードのエースです。道化の帽子をかぶった骸骨のマークが描かれています。
ユーリ:市販されているやつみたい?
RL:手書きっぽいね。
ユーリ:悪趣味~。
神崎:チームのマークかな?
RL/尾田:「骸骨のエンブレムなんて、いまどき暴走族だって使いませんよね」(笑)
神崎:うっ。(笑) 「害者の所持品は?」
RL/尾田:「クスリとコンドームと、その程度です」
神崎:「わかった。他に何か判明したら連絡してくれ」
RL/尾田:「了解しました」
▲警察組が帰った2時間後に、吉岡がコネを駆使してモルグに現れた。尾田にインタビューを行うが、手に入った情報は同じ。幸運にも、本部へ発送前のトランプを発見してカメラに収める。その後、両者ともトランプのエンブレムについて調査を行うが、手際の良さ(達成値の高さ)もあって、吉岡が先に重要な情報を得た。
RL:そのエンブレムは〈グリミング・デス〉のものです。政治テロ集団を名乗っていたグループですが、その実際の活動は無差別殺人と変わりないものでした。その、トランプは彼らの犯行現場に必ず残されていた物です。グリミング・デスは12年前のブラックハウンドの“強制捜査”によって壊滅しました。しかし、生存者がいますね。名前はエリオット・ロドニー、“強制捜査”の際にひどい傷を受け、障害を負っています。なぜか彼の罪は問われていません。たぶん、組織が壊滅してしまったことと、彼の障害が理由でしょう。ブラックハウンドらしい結末ですね。現在のエリオットは、〈岬病院〉で療養を続けています。いちおう、彼は今もブラックハウンドの監視下にある。
吉岡:よーし、岬病院へ行くぞ
神崎:先手を取られたな。
RL:登場判定に成功すれば、君たちも顔出していいよ。
神崎:するする。
吉岡:岬病院の専門は?
RL:もともとは普通の精神科でしたが、現在はサイバーウェアでの障害を専門に扱っています。
吉岡:受付まで行って、「エリオット・ロドニーに面会希望なんだが」って。
RL:はい。受付から廊下が見えるんだけど、宙を見てぼんやりしている青年とか、体を揺すりながら笑っているおばさんとかがいる。
吉岡:ありゃりゃ。
RL/受付:「ロドニーの面会には、ブラックハウンドからの許可が必要ですが?」
吉岡:うーん、〈交渉〉する。
RL:判定どうぞ。
吉岡:ダイヤのQで〈劇的成功〉。
RL:「どうかしましたか」って、眼鏡をかけた30代後半の女性が現れた。
吉岡:名刺をわたそう。「こういう者ですが、ぜひともインタビューを」
RL:「放送局の方ですか」と、好意的な顔をしてくれる。「お話をお聞きしましょう」
吉岡:やった。
RL/橘:「ここの医師主任をしております橘です。どうして、エリオットにインタビューを?」
吉岡:「殺人事件との関係を追っていまして」
RL:そう言うの? そしたら、橘はむっつりと気分を害した顔になる。(笑)
吉岡:あれ?(笑)
RL/橘:「あなたもブラックハウンドと同じなのですね。彼らは一度罪を犯した人間を一生犯罪者と呼び続ける。更正の余地も与えようとしないのです! エリオットは被害者でもあるのですよ。障害を受けたまま、いまだに監視までされて」
吉岡:あーっ(汗) 「私が関心があるのは、ロドニーの過去の人生でして、決して犯罪者として疑っているわけでは…ブラックハウンドの横暴には私も怒りを憶えます」(笑)
RL/橘:「真実を放送してくれるのなら、インタビューを許可しましょう」
吉岡:「約束します」
RL:では、面会室みたいな所でエリオットと会う。痩せた40代手前の男で、モジャモジャの髭か生えている。目が大きくて、きょろきょろ落ちつきがない。あと、両足とも膝から下がなく、左腕も前腕から先は古風な義手になっている。
吉岡:これで殺人ね…。
RL/エリオット:「また、メディアが俺に何のようだ?」
吉岡:トランプのコピーを見せよう。「これ、知っているな?」
RL/エリオット:タバコを吸いながら、「ああ、知っている」
吉岡:「あんたの所属していた所のものだろ。最近、これが殺人現場で見つかってな、なにか思い当たるふしは?」
RL/エリオット:「あの組織が壊滅したくらいは調べがついてんだろ?」彼は両足をカチャカチャやりながら、「俺が犯人だと?」
吉岡:「いや…」
RL/エリオット:「グリミング・デスのメンバーは誰も生き残っちゃいない。まぁ、夢のある革命家なら、その志しは人々の心に生きている、とでも言うんだろうがな」
吉岡:「じゃあ、被害者が組織に関わっていたなんてことは?」
RL/エリオット:「面白いジョークだ」
▲この頃、神崎とユーリが岬病院へ到着。受付で責任者をさがすが、医者のふりをした患者に騙されてたいへん怖い思いをする。(笑) さらに、橘医師との面会を待っているあいだ、“バリエーション豊富な”患者たちを目撃してすっかりブルーな気分になってしまった。(←ルーラーの悪ノリ)
→ユーリ:か、帰りたい。(泣)
RL:〈知覚〉判定してみてください。
吉岡:達成値16。
RL:エリオットが、かなり旧式のIANUSを装備しているのがわかった。普通のIANUSは外から見ても判別しにくいのですが、これは後頭部から背中にかけて器械が露出してしまっている。
吉岡:ふうん。憶えておこう。
RL:すると、部屋に橘が入ってきて、「ブラックハウンドの方々がきています」と、教えてくれる。「裏口へ案内しましょうか?」
吉岡:別にどうでもいいんだけど。
RL:彼女なりに気を利かしたんだろ。
吉岡:どうしょうかな、帰ろうか…。「ヤツらには、このことは秘密にしておいてください。彼らにはあまり協力しないように」(笑)
RL:では、帰りました。
▲吉岡が病院を出た直後に、警察組がエリオットに面会を許された。吉岡とほとんど同じ質問が行われるが、訳知り顔のエリオットはニヤつくばかりで協力的な態度はとらない。この尋問にあきらめかけた頃、二人とも知覚判定に成功してエリオットの旧式のIANUSに気がついた。
神崎:IANUSって新旧交換できるの?
RL:基本的にできません。最近のはソフト交換みたいな方法でバージョンアップしますが、本体の完全な除去と交換は不可能です。脳とか傷つけちゃうんです。
神崎:ふうん、「ずいぶん古いIANUSを使っているな」ってエリオットに。
RL/エリオット:うなじを掻きながら、「うるさくっていけねよな」って。
ユーリ:「うるさい?」
RL:どういう意味かはわかりません。
神崎:混線するんかな?(笑)
RL/エリオット:「夢も見ねぇようになっちまった。ここからみんな漏れちまったんだ」
神崎:かわいそうにな。
▲成果のない尋問が終わり、彼らは病院のセキュリティーを調査することにした。その結果、ここの警備システムはひじょうに時代遅れでずさんなことが判明した。さすがに患者の外出は禁じられているが、これでは深夜の脱走も可能だろう。その後、彼らも病院を去っていった。
吉岡:よし、こうなったら占いじじいに会いに行って占ってもらおう!…失敗。(笑)
ユーリ:捜査をかねていろいろイントロンしてみよう…失敗。(笑)
RL:手札交換の時間かよ。
神崎:俺はちゃんとやるぞ、葵ちゃんに頼んで過去のIANUS絡みの事件について調べてもらおう。達成値6。
RL:(失敗とあんまり変わんぞ) そうだね、10数年前にIANUSの欠陥について問題が持ち上がったことがあった。きっかけはBLAKK=IANUSと呼ばれる悪質なコピー版にあったんだけど、調査の結果、正規のIANUSにも似たような欠陥があることが判明したんです。
神崎:ブラックてーのは、海賊版のこと?
RL:そう。現在はIANUSのアーキテクチャーは公開されてるんですけど、初期の頃は、各企業、軍隊では独立独歩の開発だったんです。そのたぐいが、一般に流出して使用者の精神なんかに悪影響を及ぼした事件が多発した。ブラックの全部が全部ってわけでもないんですけどね。まあ、問題が公になってからは本家のIANUSもタイプⅡが発表されたし、古いデットコピー版も回収されたりで、それ絡みの事件は減りましたけど。ちなみに、IANUSはめている人は?(笑)
一同:はーい。(全員、手を上げる)
ユーリ:私、ブラックはめてるんだけど…。(←脅えている)
RL:そんなこんなで数日が経過しました。神崎とユーリは本部の食堂で昼食を喰っています。
神崎:牛どん。
ユーリ:モツ煮込み。
RL:電話です。
神崎:なになに?
RL/白馬:「白馬です。殺しが発生しました。場所はメモリアルパークの東です。」
神崎:「おっ、すぐ向かう」
吉岡:メモリアルパーク? 俺の縄張りだ!(笑)
RL:現場につきました。小雨が降っていて、レインコート姿の警官が集まっています。向こうから真っ青な顔の白馬がやってくる。(笑)
神崎:白馬~。(笑)「慣れには年は関係ないぞ。早めに慣れておけ」
ユーリ:演神でも使ったら?
RL:それでは人格まで変わってしまうがな。「すみません、気分が悪い…」
神崎:「誰か、こいつをトイレまで案内してやってくれ」
ユーリ:「現場は?」
RL/警官:「この奥の茂みです、乗り入れ禁止の所まで車で入っていて」
神崎:「被害者が?」
RL/警官:「ええ、若い男女です。たぶん、車内でいちゃついていたんでしょう」
神崎:ずんずん進もう。
RL:警官たちが、「こんな殺しはたまらんな…」とか、「雨が降っては警察犬が…」とか話しています。はい、車の側まできました。血塗れのシートが見える、遺体にはカヴァーがかけられている。
神崎:べりっとめくってみよう。
RL:ズッタズタですね。酷く損傷した男性の遺体です。警官が、「たぶん、発見されるまでに野犬かネズミに喰われたんでしょう」という。
神崎:しかめっ面で、「酷いな、できるだけ調べてみてくれ。女の方は?」
RL/警官:「向こうの薮の中です」
神崎:よってく。
RL:これも、酷いありさまですね。泥と血がベタベタ。遺体の両腕が肩から喪失しています。なぜか、頭に“モツ煮込み”って言葉が思い浮かんだ。(笑)
ユーリ:ピキューン。(笑)
神崎:うわっ、ユーリ君? ユーリ君?(笑)
RL:(そろそろかな?)「こらーっ、バスをどけろ!」(笑)
吉岡:ズドーン!(笑)
神崎:「なにごとだ!」(笑)
RL:照明とかカメラとか、取材器機を抱えた若い衆がわらわらと。
神崎:「水色バス放送だな!」
吉岡:「ほら、カメラまわして。照明もっとこっち」(笑)
RL:車の側まで行ったヤツが、「これはダメダッ」って口を押さえて帰ってくる。(笑)
吉岡:意気地なし。(笑)
RL:じゃあ、君は制御判定して。
吉岡:感情で成功しました。「かせっ、俺が撮る」
神崎:「おい、お前!」
吉岡:「あ、神崎さん。いいじゃないですか、許可はもらったんだし」
神崎:「あれは、この前だけの…」
吉岡:鑑識に聞く、「死亡時刻は?」
RL/鑑識:「死後5~10時間程度だろうか。しかし、これは犬の歯形じゃないぞ…」
吉岡:「犬じゃないんですか?」
RL/鑑識:「この歯形は」って、ちぎれた耳を見せる。「たぶん、人間」
ユーリ:ぎゃわわ、マジかい。
吉岡:〈霊覚〉を試みましょう。達成値18ですから、8時間前まで遡れます。
▲〈霊覚〉:マヤカシの特殊能力。霊的な知覚能力によって、壁の向こうやアストラル界、それに過去や未来などを感じ取ることができる。このセッションでは、この能力の効果を拡大、独自に解釈して情報を与えている。
RL:では、断片的なフラッシュバックが頭に浮かびます。「濡れた枯れ葉の臭い。血の香り、肌の感触、悲鳴を上げる女と男の顔、焼けるような快感、歯を剥き出しにした口、血塗れの口、くち、くち」
吉岡:あれ~。犯人の具体的な顔とかは?(←冷静だな)
RL:ない。(シナリオが終わってしまうだろ)
神崎:「おい、どうした? 気分でも悪いのか?」
吉岡:「いや、ちょっとね」
RL:警察組は〈社会:警察〉で判定してみて。
ユーリ:〈バッヂ〉と組み合わせて、達成値13。
RL:ユーリは以前、警察のファイルでこんな食人鬼型の犯罪記録を見たことがあったように思う。
ユーリ:署に帰って調べてみましょう。
神崎:警官に、「現場は任せるぞ。遺体は署まで輸送するように」
RL:誰かが、「肉屋のほうがいいんじゃないの」って。
神崎:そいつを睨みつけて帰る。
▲警察組は(吉岡を現場に残して)署に帰り、過去の犯罪ファイルの調査を開始した。
RL:(そろそろ一緒に行動してくれたほうがいいんだけどねぇ…)
RL:8年前の記録です。杉浦ハジメ、当時14才。通称オーガと呼ばれたサイコによって行われた殺人事件があります。判明しているだけで、4才から9才までの少年少女が5人殺害されました。全員の遺体が激しく損傷していたそうです。つまり、喰ってたんですな。彼は典型的なストリートパンクでした、犯行の原因は当時有名だった欠陥IANUSによる脳障害によるものとされています。よって、本人に責任は問えないということで無罪となっています。成人前のIANUS挿入って肉体的にいろいろ問題ある気がするけど、まあいいでしょ。
ユーリ:彼はどうなったの?
RL:たいへん大柄な青年の写真があります。彼はどっかで見たぞ。
ユーリ:岬病院ですか…。
ユーリ:岬病院に向かいました。
RL/橘:橘先生が、「また、あなたたちですか」って。
神崎:「これも、仕事でしてねぇ」
RL/橘:「今度は誰に容疑が?」、もちろんイヤミ。
神崎:「杉浦ハジメ、8年前の事件の…」と、語尾は濁してみせる。
RL/橘:「杉浦…」、彼女も知っているんだろう。
神崎:ではさらに苦々しい顔をしながら、「よく似た事件がまた起こりましてね」
RL/橘:「しかし、似ているというだけで彼の犯行だとは…」
ユーリ:「どんなことでも情報が欲しいのです。もうこれ以上犠牲者を増やさないために」
RL:橘がなおも反論しようとしたとき、後ろから、「いいでしょう、私が立ち会いますよ」って男の声がかかる。
ユーリ:「どちらさん?」
RL/赤坂:「赤坂タクマといいます。初めまして」
神崎:「医者?」
RL:彼はスーツを着ているけど。「帝都大学の電脳外科に在籍しています。以前、ブラックハウンドの専属メドテクを勤めていたこともあるのですよ。この病院へは専門の派遣医としてきています」
神崎:同業者だったこともあるのか。
ユーリ:「それでは、欠陥IANUSに関わる事件にもお詳しいのですか?」
RL:橘が「赤坂先生は、欠陥IANUSの関する論文で博士号を会得なされたのですよ」ってさ。
ユーリ:私のIANUSは大丈夫ですか!(笑)
RL/赤坂:「昔のよしみもあります。事件なら協力させていただきますよ」
神崎:「それは、助かります」
ユーリ:「最近、ここの杉浦ハジメ君とエリオット・ロドニーの二人が過去に起こした事件と非常に似たケースの殺人が発生しまして…」
RL/赤坂:「ん? それは、まったく別の種類の事件ですね?」
ユーリ:「そうですね、まだ関連は不明です。犯人像の特定もできていません。とにかく情報が必要なんです。杉浦君に会わせてもらえますか?」
RL/赤坂:「それが…。IANUSに関する知識はお持ちですか?」
神崎:(咳払い)「基礎程度なら」
RL/赤坂:「いったん人体に挿入してしまったIANUSを取り外すことは非常に困難です。手術は試みられていますが、完全な成功例は数えるほどしかありません。なにかしら脳に障害が残ってしまうのです。さらに、BLAKKと呼ばれるタイプは、装着されている間も悪質な影響を脳にもたらします。これは、除去手術の結果に関わらない脳への障害です…杉浦君は両方のケースにあてはまる患者なのです」
神崎:「つまり、会っても話にならない?」
RL/赤坂:「杉浦君の精神は14才、いやそれ以下のものです」
ユーリ:「ロドニーのIANUSはどうなのですか?」
RL/赤坂:「彼のIANUSは非常に旧式のものですね、あれは闇ルートで販売された軍隊の実験用です。しかし、彼の犯罪はIANUSの欠陥とは関わりがないようですが」
神崎:「先生…、我々が捜査している事件なのですが、過去の欠陥IANUSの事件と同じ原因の可能性は考えられるのかな?」
RL/赤坂:「現在のIANUSのバグに対しては企業も神経を尖らせています。犯人が古いIANUSを装備しているのなら可能性もありますが、バグの影響が出る期間を考えると、いまさらという気がします。それならば…私が言うべきことではないのですが…監視の目を盗む方がずっと容易なのではないでしょうか」
神崎:「つまり、彼ら本人の犯行だと?」
RL/赤坂:「可能性を議論するとしてです。一部の企業附属の病院を除けば、どこも資金、人員不足で悩んでいるのです。特にセキュリティに関してはこの病院には問題が多い」
ユーリ:脱走なんて簡単そう?
RL:〈セキュリティ〉成功してたよね。やっぱり、単独では難しいかな? 手引きが必要ですねぇ。それでも数時間の外出でしょう。いっときますが、《神業》はPCの参加しているイベントでしか発生しませんから。(笑)
神崎:「先生…例えば、IANUSによって精神に異常をきたした者の“キャラクター”を抜き出すことは可能でしょうか?」
RL/赤坂:「ええ、ご存知のとおり“人格モジュール”は巷に出回っています。恐ろしい考えですが、そういった物を作り出すことは技術的に十分可能ですね…」
▲この対談に満足したのかモルダー・スカリー組(笑)は、杉浦ハジメと会うことなく署に帰って行った。赤坂医師とは連絡先を教えあい、協力の約束をとりつけた。
一方、中途半端なフランク・ブラック(笑)はウェブ内での情報収集に勤めるが、ここまでくると手にはいる情報も表面的なものになってしまった。とりあえず、岬病院へ出向き橘医師と対面するが、たいした情報は得られなかった。しかも、赤坂医師へのアポイントをとることもできなかった。(どうやら、先発組の話を聞いていたせいで、杉浦ハジメへのインタビューは不可能と思い込んだたらしい。幼い人格ながらヒントは出たはずなのに、残念。)
RL:ユーリ君、電話です。
ユーリ:「もしもし」
RL/電話の声:「事件です」
ユーリ:だれ? ブラックハウンド? あれ? 「すぐ向かいます」
RL:到着しました。狭い長い階段を昇って部屋に入る。警官が詰めかけていている、鑑識のカメラのストロボが眩しい。
ユーリ:状況は?
RL:死体の山。男も女も若いのも老いたのも、血塗れで積み重なっている。
ユーリ:はわわわっ。
RL:警官が側に寄ってくる。「殺人です。BLAKK=IANUSの暴走です」と言う。
ユーリ:えっ?
RL:君はポケットになにか硬い感触を感じる。
ユーリ:なんだろう?
RL:血塗れのナイフです。君の手も血塗れです。指に肉片と髪の毛が絡みついている。
ユーリ:ふわっ!
RL:警官がいっせいに振り向いて、「BLAKK=IANUSの暴走だっ!」
RL:気がつくと電話の呼び出し音が鳴り響いています。
ユーリ:ゆめ。
RL:夢じゃよ、夢だったのじゃよ!(←嬉しそう) 汗びっしょりでベットで目覚めた。
ユーリ:電話は鳴ってる? 私の手は?
RL:べつに。やっぱり血塗れで飼い猫がバラバラとか?(笑)
ユーリ:ちょっとすっきり。(←なんでやねん) 受話器を取ります、「もしもし?」
RL/白馬:「夜分遅くもうしわけありません。白場ともうしますが、ユーリ警部補どのですね? 事件が発生しました。」
ユーリ:場所を聞いて、直行します。
RL:中華街近くの高級マンションです。
神崎:先に到着している。「いやーっ、ちょうど寝ついたところでな」って、ボサボサ頭で。
吉岡:〈登場判定〉していいですか?
RL:どうぞ。(もう、後がないしな)
吉岡:(判定成功)「ちーっす」
神崎:「また、お前か」(笑)
RL/白馬:つらそうな顔の白馬がやってきて、「害者は小島サトミ。職業は“接客業”、いちおう売春婦登録はされていました。通り名は“蝶蘭”です。」
神崎:状況は?
RL:狭い長い階段を昇って部屋に入ります。赤を基調とした部屋です。赤いベットと赤いナイトスタンド、赤いカーテン。その部屋の壁に小島サトミがとめられいます。血で赤く染まったシーツを羽に見立てて、まるで“標本の蝶”のようです。周囲には花まであしらってある。
神崎:死因と死亡時刻は?
RL/鑑識:「この遺体の状況では特定は困難かと。遺体はかなり新しいですが。」では、特定の〈社会〉で判定してみてください。
吉岡:〈メディア〉で達成値16。
RL:よろしい。この事件は有名だから…きみは〈サミュエル〉という名を思い出した。
吉岡:サミュエル?
神崎:「何だって?」
RL:〈アーティ・サミュエル〉と呼ばれた男です。元傭兵、退役後6年間ブラックハウンドのスペシャル・フォースに所属していました。戦闘用全身義体を装備。彼は、ブラックハウンドに勤めていながらその間殺人を繰り返していました。犠牲者は判明しているだけで17人にものぼります。逮捕される直前の彼の犯行手口はたいへん凝った物が多く、「彼の殺人は芸術である」と評価した者までいます。“アーティ(芸術家気取りの)”の二つ名はそんなとこから付けられたものです。20年前の話です。
神崎:そんな話を吉岡がするんだ。「サミュエルね…」
RL:神崎も、彼の名前は聞いたことがある。彼がどうなったかもね…。彼は生きています。ブラックハンド直属の病院刑務所の地下で、今も生きています。
ユーリ:彼も、BLAKK=IANUS?
RL:おそらく。全身義体ですから。
吉岡:「こうなると、やっぱり模倣殺人ですかね」
神崎:「素人がそんな推測したって…」
ユーリ:「私も、模倣殺人だと思います」
吉岡:3人が3人とも病院を抜け出してやったとは考えられんでしょう。
ユーリ:無理でしょう。特にブラックハウンドの刑務所となるとね。
神崎:俺は、犯罪者人格モジュールを疑ってるんやけんど。
吉岡:少なくとも、本人の犯行ではないってことやな?
神崎:うん。
ユーリ:とにかく、もっと情報を手にいれないことには。
神崎:犯人はもう登場しているはずなんよなぁ。誰だろう? もしかして、白馬が犯人だったらどうしよう!(←深読みするプレーヤー)
吉岡:〈霊覚〉してみよう!
神崎:もう、捜査協力しろよ。
RL:達成値18? またイメージの連続です。「蝶、女、赤、そして血塗れの口、トランプの骸骨…暗い路地にうつ伏せに倒れた女性が見えます。普通のプリントTシャツでスカート、倒れた彼女の体から血が染み出てくる、どんどん。そして男の悲鳴」
吉岡:誰だろう?
神崎:次の被害者か? わからん。後の処理は任せて帰ろう。
ユーリ:今からサミュエルに面会を申し込みましょう。
RL:エレベーターで地下に降ります。普段は立ち入る人のまれな区画です。
神崎:(吉岡にむかって)「特別だぞ、そのかわり分かったことは何でも話せ」
RL:いくつかの扉を通り抜け、そのつどボディチェックを要求されました。最後に事務机にコンピューター端末、係員が一人だけ座ってる部屋に出て、彼に案内され天井に蛍光灯の並ぶ廊下を進みます。奥へ近づくと、オペラ音楽が聞こえてきます。係員は3重になった部屋の扉を開けました。君たちだけが部屋へ入ります。真っ白い部屋です。大きなテレビモニターがあり、美しい景色の映像を映しています。男は椅子に座り、大音響のオペラのを聞きながらモニターにむかっています。
神崎:「君が、サミュエルか?」
RL:反応がない。
ユーリ:大声で、「サミュエルさん!」
RL:そう言ったとたん、音楽がピタリと止んだ。君の声が、わあんと響く。「ブラックハウンドの捜査員だね」と。
神崎:「他に、ここにこれる人間は少ないだろうな」
RL/サミュエル:「私に用かね?」
神崎:部屋を見回しながら、「陰気な所だなここは」
RL:大音響の後の静寂は耳が痛いくらいだね。「客を向かえるのは希なのでな」
神崎:「ひまつぶしにでもなってもらえればうれいしよ。さてアーティ・サミュエル…」
RL:ジーッと機械音がして、彼の椅子がこちらを向いた、胴体と頭だけのサミュエルが座っている、てゆうか乗っている。
神崎:そんな恰好で、こんな部屋でよく我慢できるな。
吉岡:狂ってるんだろ。
RL/サミュエル:「どうだね、最近のN◎VAの状況は?」
ユーリ:「相変わらず、です」
RL/サミュエル:「日本軍が駐屯しているそうだね」
神崎:「ああ、彼らがでかい顔をしているよ。もっとも、俺たちも日本政府の直属になっちまったんで、あんまり文句も言えないがな」
RL/サミュエル:「レンズが署長になったという話は本当かね?」
神崎:「ああ。」なんでそんなことまで知ってんねん。(笑)
RL/サミュエル:ちょっとだけ口元を歪めて、「あの新米がな」って。「チンピラの弾が耳元をかすめただけで、腰をぬかしていたあの男が署長か」
吉岡:「質問なんだが…」
RL/サミュエル:目をつぶって、「音楽を消すとうるさくていけない」
吉岡:「なに?」
RL/サミュエル:「音が…」
吉岡:「何のことだ?」
RL/サミュエル:「あんたのと、あんたのは新しいヤツだ、お嬢さんのは…古いな」
神崎:IANUSの音が聞こえるのか!?
RL/サミュエル:「君のは最新式だね、千早かな?」
吉岡:「あはは、当たり。あんたのは?」
RL/サミュエル:「ロシア製だ。お嬢さんは…ブラジル製かな? 少し音が漏れすぎているよ。声がよく聞こえる、君は脅えているね」
神崎:怖い、帰ろう!(笑)
RL/サミュエル:「君たちは気づかないのかね? IANUSからは声が漏れるんだよ」
神崎:それは知らなかった。(笑)
RL:いや、漏れないけど。(笑)
神崎:なんか嫌な気分になってきたから、さっさと終わらそう。「今夜、蝶が生まれたよ」
RL/サミュエル:「写真を?」
神崎:「そら」
RL/サミュエル:「駄作だな」
神崎:「そうなのか? コピーにすぎないと?」
RL/サミュエル:「不恰好な物まねにすぎん。これで私の所にきたとゆうのなら、私は傷ついたよ」
神崎:「そうなら、君のときの捕り物よりも楽になりそうだ。安心した」
吉岡:「聞いていいですか?」って、今回の一連の事件を話して、「IANUSとの関連は?」
RL/サミュエル:「それは、IANUSの共鳴だよ。誰かの感情がIANUSを通して誰かのIANUSを刺激した」
神崎:「音が聞こえるってのはそれか?」
RL/サミュエル:「気分の良い人の周りでは気分が良くなる。悲しんでいる人の周りでは気分が落ち込んでしまう。これは、魂の共鳴と言い換えてもいいだろう。IANUSはそれを強く伝るのだ、そして敏感に受け取る」
神崎:「俺には信じられん話だ。そんな理由で犯人が判るのなら苦労はせん」
吉岡:「あなたなりの目星はつきましたか?」〈交渉〉と〈インタヴュー〉組み合わせて、達成値18です。
RL/サミュエル:「状況証拠を積み上げて行くのは捜査の基本だよ。コップの水は隣にあってこそ強く震えるのだ」
神崎:「つまりはこうか? 犯人は患者の側にいるってことか?」
RL/サミュエル:「それでいいんだよ。じょうできだ神崎」
神崎:クソッ、下に見やがって。「つまり、お前に会ったことのある人物が犯人ってことか。アーティ・サミュエル、お前は誰に会った!?」
RL/サミュエル:「……あぁ、私は警察には協力しないことにしているんだ」
ユーリ:「いまさら!」
RL:また、バーンと音楽が始まった。
神崎:出よう。記録はあるはずだ。
吉岡:最後に、〈霊覚〉を使って彼の意識に触れたいと思います。
ユーリ:うあっ!
神崎:やめとけっ!
RL:判定どうぞ。
神崎:精神汚染されるぞ、使徒とシンクロ状態だ。
吉岡:判定は成功していますが?
神崎:「私の心をぞかないで!」って、その後、「よごされちゃった」って言わなあかん。ハーレルヤ、ハーレルヤ。(←大興奮)
RL:よろしい。すべてのイメージが同時に現れた、君はエリオットになって、吊るされたチンピラになった。君はオーガであり、喰われた女だった。トランプの骸骨が現れて蝶を吐きだした。そして、蝶は壁にとめられて高笑いをした。そしてなんども、倒れた女性の記憶が現れた…。(計算中)精神ダメージチャートを効果12で。
吉岡:〈驚愕〉しました。
神崎:その程度で済んだのか。(←残念なのか?)
RL:吉岡は部屋を出て、コンピューター端末へと進みました。キーをひっぱたくと、サミュエルへの面会記録が表れます。赤坂…赤坂…赤坂の名前が流れ続けます。
神崎:「吉岡、お前の功績に免じて取材許可をやる」
吉岡:「ありがとう。」 あ~、なんか、首の後ろの辺が…(笑)
ユーリ:赤坂タクマの自宅へ向かいます。
RL:それなら、明け方まえに到着した。ランクAの高級マンションです。
ユーリ:彼、いますか?
RL:出てきたよ。「どうしたんですか、こんな時間に?」
神崎:「先生、事件当夜はどこにいました?」(笑)
RL/赤坂:「ははっ。いきなりですか、それは犯人への質問ですね」と、部屋に入って行く。
神崎:「お邪魔する」俺たちも入って行こう。
RL:部屋は薄暗い。たぶんキッチンからでしょう、「リビングへどうぞ」って声だけ聞こえた。部屋には調理をしているような香りが漂っている。
一同:(脅える)
神崎:「なんか、良い香りがしますな」(笑)
RL/赤坂:「夜勤で帰ったばかりでして、遅い夕食なんですよ。シチュー食べます?」
一同:(ぶふーっ)
ユーリ:「あの、論文読ませていただきました」
RL/赤坂:「それは光栄ですね。コーヒーはいかが?」
ユーリ:「いえ、結構です」
RL:部屋を見渡すと、非常にきちんと整頓されているのがわかる。チリ一つなくて、棚などには本が整然と並べられています。インテリアと呼べる物は、飾られた日本刀があるだけ。
ユーリ:「聞きたいのですが…IANUSの欠陥と、それのもたらす障害についての考察なんです。ずいぶん詳しくお調べになっているのですね」
RL/赤坂:「研究を重ねましたから」
ユーリ:「真に迫っていたとでもいいましょうか…。先生はIANUSはお使いですか?」
RL/赤坂:ちょっと間があって、「ええ」
ユーリ:「そのIANUSは最近の物ですか?」
RL/赤坂:「…いいえ」
ユーリ:「古いタイプですか…。うるさいでしょう、声が」
RL/赤坂:沈黙の後、「私の場合はね、望んだことじゃないのですよ…、10代の頃事故に遭いましてね、脳と脊椎をひどく傷つけたんです。私が、かつぎ込まれた病院では、私の命を救うためにはそれしか方法がなかったのです」
ユーリ:「それはお気の毒に…」
RL:返事がない。
ユーリ:「赤坂さん?」キッチンをのぞいてみよう。(おそるおそる)
神崎:日本刀は?
RL:ある。キッチンには誰もいません。シチューがクツクツと湯だっている。シチューからはマニキュアをした女性の…。
ユーリ:(遮る)「誰もいません」ってみんなに。
RL:リビングで3人が顔を見合わせたとき、ブーンって振動音が響いて闇の中に青白い刃物が浮かび上がる。ナイフを持った赤坂タクマが現れた。
神崎:「馬鹿なまねはよせっ」
RL/赤坂:「これは望んだことじゃない。とめられないんだ。誰にも、自分にも。」襲いかかりますよ。
(各自、戦闘プロット)
ユーリ:《とどめの一撃》を使う。
RL:《不可視》。たしかに命中したはずの弾丸がパカッて壁に穴を開けた。黒い影がユーリに詰めよる。
ユーリ:うわっ、〈カゲ〉ですか先生。(タタラ=タタラ,カゲ)
神崎:あわわ。(←戦闘が終わったと思って、カードを回収していた)
RL:刺す。スペードのK、達成値19。
ユーリ:失敗です、回避できません。
RL:ダメージは、修正とで…11。
ユーリ:9、通りました。
RL:左のこめかみをえぐって耳を切り飛ばす。
ユーリ:…反撃します。〈必殺の矢〉と〈ファイアーアーム〉を組み合わせて、達成値18です。
RL:(スペードのエースを表にする)
神崎:よく使ってくれたっ。撃つ、達成値26。
RL:避けられません、ダメージをどうぞ。
神崎:ダメージ、15。
RL:首に銃弾を受けて、つんのめって倒れ込みます。
神崎:近寄って行く。
RL:虚ろな瞳で君を見上げる。
神崎:「先生。みんな言うんだよ、やりたくてやったわけじゃないってな」
RL:赤坂タクマの記録がありました。彼は医学生だった18才のとき、知人の女性といたところを路上で暴漢に襲われています。女性は死亡。いわゆる、サイバーサイコだった通り魔犯は犯行直後、SSSの手によって射殺されています。赤坂は、脳と脊椎に深刻な傷を負い、近くの病院へ運ばれましたが、不幸にもその病院は人工脳細胞や脊椎などの移植設備が整っていませんでした。彼はIANUSの挿入手術を施され、植物人間の運命はまぬがれました。記録には、そのIANUSの機種などは記されていません。
サミュエルの語った共鳴の話の真偽はともかくとして…赤坂タクマの一連の犯行に関するブラックハウンドの報告書には“旧式の欠陥IANUSによる脳障害および精神異常”と書かれるのでしょう。