“ソロの ”ハスラン
トゥスラング/吟遊詩人/第4サークル/男性
気さくで陽気な吟遊詩人。彼は、少し他人に気を使いすぎるところがある。そのせいで一つの冒険者パーティーに長くとどまれない。自分(吟遊詩人アデプト)が、他の冒険者が過ごすほとんど時間(埃っぽいケーアで怪物と闘ったり)に皆の迷惑になることが我慢できないのだ。
だからハスランは歌を歌う、それこそが彼の冒険者としての天分なのだ。
プレイヤー:チャッピー
ディアナ
エルフ/剣匠/第4サークル/女性
リプレイ「とらわれの村」参照。
プレイヤー:リサ
ゲームマスター、リプレイ執筆:ナッキー
プレイ日時:1999年2月27日(土曜日) 午後4時30分~午後7時
GM:始めます。君たち二人はバータータウンから1日と半の場所、スロール山脈に沿ってのびる街道を、南に向かっているところです。この辺りはまだ都から近いこともあり、治安も良く、村も多い。街道も良く整備されています。畑に出た農夫は、街道をてくてく歩くよそ者にも気安く声を掛けてくれる、そんな所です。
ハスラン:いいね。けど、何故?
GM:この先にカルサンス音楽学院ってのがある。そこを目指しています。
ハスラン:カルサンス音楽学院?
GM:カルサンスというのは、有名なエルフの吟遊詩人の名前です。彼は大災厄後の混乱の中、仲間たちとバーセイヴ地方を巡る旅を行った冒険者です。ケーアを解放したり、ホラーを退治したり、その旅の最中に彼は歌をとおして人々にこれらの物語を伝え、勇気と希望を与えていったのです。いわば吟遊詩人の鏡やね。
で、カルサンスが引退した後、彼の元に吟遊詩人を目指す若いアデプト志願者たちが集まってきました。彼自身はあまり乗り気でなかったのですが、若者たちの熱心さにも負け、彼の小さな住まいをバーセイヴで最高の吟遊詩人の学び家として解放したのです。それが音楽学院の始まりです。
カルサンスの没後、彼の弟子たちは話し合い、そこに音楽の学校を建てることにしました。これが今のカルサンス音楽学院です。
現在も吟遊詩人を志す者の修行の場となっていますが、アデプトではなく単に音楽を嗜みたいと考える上流階級出身者の生徒も多いんですよ。
さて本題ですが、この学院のラウラという人物が実はディアナの師匠の旧友でして、君の師匠に、腕の立つアデプトを数名よこして欲しいと依頼した。それで、こうして学院を目指して街道を進んでいるのです。
ディアナ:わかったけど、他の二人は?
GM:マッセナは冒険レポートの提出期限が迫っているらしい。(笑) ロックは飛行艇でどっか出かけてしまった。(笑)
ディアナ:はぁ、でも依頼の内容は1人で大丈夫なの?
GM:師匠が教えてくれた限りでは、学院の廻りに出没する山賊に関する相談らしい。
ディアナ:相談ねぇ。
GM:それに、旅に出る直前に彼、ハスランとも出会いましたし。
ハスラン:マスター、僕その学院のメンバーって事にしていい?
GM:かまわんよ。
ハスラン:見聞を広める旅の中休みで数年ぶりに学院に返る途中ということにします。バータータウンで彼女と出会って、気さくに声を掛けて、偶然向かう場所が同じと知りました。
GM:OK。
ハスラン:ディアナは何で学院に向かうのか話してくれたん?
ディアナ:う~ん、どうだろう。
ハスラン:聞くよ、「音楽を志す方で?」
ディアナ:あう~、ごにょごにょと曖昧に。
ハスラン:なんだよそれ。「話したくなければ構わないけど、気が変わったらいつでも聞くよ」
GM:さて、バーセイヴの短い冬も終わり、辺りにははや春の気配が感じられます。蝶々とか飛んでるぞ。こんな日は自然に歌でも口ずさみたくなるってっもんです。
ハスラン:もう歌ってるけどね、カルサンスの物語とかいっぱい歌う。
ディアナ:苦手なタイプだわ。前の静かなパーティを懐かしんでみる、あれはあれでまとまってたのかしら? 「ねえ、学院ってどんな感じなの?」
ハスラン:話すよ。
GM:学校ってより、塾に近いかな。比較的自由な所で、それなりの規則もありますが、それは集団生活のための常識程度のものです。
ディアナ:「客が泊まれる部屋とかはあるの?」
GM:宿泊施設は完備しています。学院には大抵数名の客と生徒が住み込んでいますから。
ハスラン:「部屋の心配? 僕が良い部屋を取りはからってあげるよ」
GM:やがて君たちは街道から脇へそれ、学院に向かう緩やかな上り坂を進みます。そこで、知覚テスト。
ハスラン:8
ディアナ:7
GM:10数メートル手前の薮、そこから男が現れた。ふらふらとおぼつかない足どりで数歩歩いた後、バタリと草むらに倒れ込んだ。
ディアナ:小走りで近づいてみる。
ハスラン:僕も。けど、辺りに注意を払っとく。
GM:仰向けになった男はハスランの顔見知りでした。カトルという名の学院の客です。
ハスラン:どんな奴?
GM:貴族の末っ子とかそんなので、遊び人。一応、音楽を学びに来ている。悪い奴じゃないけど、酒癖がね。彼はよく学院を抜け出して、下の村で酒を飲んだり、サイコロやったりしている。
ハスラン:あ~あ。酒臭いとか?
GM:少しだけ。あと、カトルの顔や腕には枝で引っかいたような擦り傷がある。
ハスラン:顔をのぞき込んで、「おい! しっかりしろ」
GM/カトル:「ああ?」
ハスラン:「カトルだろ、大丈夫か?」
GM/カトル:「うむ…」
ハスラン:助け起こそう。「また酒だろう、いい加減にしないと身が持たんぞ」
GM/カトル:「ありがとう、一人で歩けるよ」と言うけど、足下がふらついている。
ハスラン:「しっかりしろよ」 肩を貸そう。
ディアナ:小声で、「知り合いなの?」
ハスラン:「同じ音楽を学ぶ者ですよ、ははは」と乾いた笑い。
GM:そんな感じで歩いて行くと、やがてカルサンス音楽学院の建物が見えてきました。白い壁と青い屋根のハイカラな修道院と言った感じの建物です。近づくにしたがい、楽器や歌声やらの音楽が聞こえてきます。
ハスラン:「なつかしいな~。発声練習してるよ」
GM:それぞれ[伝承]で判定してみて。
ハスラン:11
ディアナ:8
GM:今聞こえてくるのは、“ライル王子の恋”だね。幸せな恋の歌。
ハスラン:良い歌だなぁ、一緒に歌ってしまう。
GM:門の所で、顔馴染みの門番役の老人と久しぶりの挨拶を交わします。ここには、厳つい衛兵などはいません。その老人が、「あれ、カトルさんもご一緒ですか?」と言います。
ハスラン:「途中の薮の中で見つけたんだよ」(笑)
GM/門番:「お酒ですか、召使いに部屋へ連れていかせましょう」
ハスラン:「ありがとう」
GM/門番:「そちらの剣士さまは?」
ディアナ:「ディアナと申します。ラウラ殿に呼ばれてきました」
GM/門番:「ああ、聞いていますよ。すぐに取り次ぎましょう」
ディアナ:「ありがとう」
ハスラン:ラウラ殿に呼ばれたって? 興味津々。
GM:使いの者が現れます。ディアナを建物へと案内します。
ハスラン:ついていく。帰郷を報告せなあかんしな。
GM:はい。大きな窓のある明るい部屋で彼女と面会します。
ディアナ:彼女? 女だったんだ?!
GM:言いませんでした? ラウラは30代過ぎの女性で、すらりとした体格、髪は茶色でショートカット。ちなみにラウラは学院の相談役ということになっています。彼女は元冒険者で、吟遊詩人でもありますが、それはセカンドディシプリンなんですよ。もう一つは内緒。
ラウラは、ディアナの顔を見るとにっこりと頷いて見せます。そして、「おかえり、ハスラン」
ハスラン:「ただいま戻りました」
GM/ラウラ:「剣士さん、掛けてちょうだい」と椅子を勧められる。
ディアナ:座る。あ、自己紹介します。
GM/ラウラ:はい。彼女はおかしそうに、「二人はもうお友達になったみたいね」
ハスラン:「ええ、道中出会いまして、意気投合です」(喜)
GM/ラウラ:「どうやら、ハスランの詮索好きにつかまったらしいわね」
ハスラン:にこにこ。
GM/ラウラ:「ハスランも掛けなさい、彼女が一人でここに来た理由しだいでは、あなたに協力を頼むことになるかも知れないから」(笑)
ディアナ:あはは。
ハスラン:「はい。それは喜んで」
ディアナ:「説明します。仲間にはそれぞれの理由がありまして、残念ながらここは来られませんでした。今回はとりあえず、お話を聞かせていただければと思い、私だけで参りました。必要なら彼らを集めることもできると思いますが」
GM/ラウラ:「いいでしょう。おおよその話は聞いていますね? 依頼は山賊退治です」
ハスラン:げ。
GM/ラウラ:「この2カ月、下の村から学院へ向かう荷物がなんどか被害に遭っています。都に助けを求めればそれなりの対処もしてくれるでしょうが、せっかくの縁故なのだし、あなたの師匠に話をしてみたのです」
ディアナ:「なるほど。山賊の人数は?」
GM/ラウラ:「全部で五人。たいそうなことにその山賊の頭はトロールで、自らを“血斧”のクラッサスと名乗っているらしい」
ハスラン:“血斧”のクラッサス!!
ディアナ:怖そう。
GM:けど、彼女の口振りはちょっと呆れたって感じでしたよ。(笑)
ディアナ:大げさな名前だしね。
GM:実際、山賊は脅すばかりで、残虐非道ってほどでもない。最近は山賊と商人も顔馴染みになりつつあるって感じかな。といって放っておくわけにもいかないだろ。
だから、大げさに対処するよりは、経験があり腕の立つ数名のアデプトが役立ってくれるはずだと彼女は考えたんよ。
ディアナ:「そうですね。このような場所、失礼、に現れるような山賊ですから、人数から考えてもそう手強くないかも知れません。賊を1、2人捕らえるかすれば被害もなくなるのではないでしょうか?」
GM/ラウラ:「いい考えね、同意します」
ディアナ:「では、私はこちに滞在して山賊について…」
GM/ラウラ:「実は君たちが到着する前に英雄が現れたの」
ディアナ:?
GM:ラウラが、「ダナン、入っておいで」と呼びかけると、待ってましたとばかりに10歳くらいの少年が部屋にやってくる。「この小さな英雄君が山賊のアジトを見つけたの、たまたま襲われた荷車に居合わせていて、彼は勇敢にも荷物を奪って逃げる山賊の後を付けたの」
ディアナ:ほぉ~、命知らずな。(笑)
ハスラン:後で、君の歌を作ってあげよう。(笑)
GM:それは大喜び。(笑) 少年は興奮した様子で、「森の中の洞窟だったよ! 山賊は全員で五人だ!」と。
ハスラン:「種族は?」
GM:トロール一人、人間が三人、エルフが一人だそうだ。ダナンは「もし山賊退治に行くのなら僕が案内するよ!」と言いますが、ラウラがやんわりと、「地図を作ってある」と言います。
ディアナ:あはは。
GM:ダナンしょんぼりみたいな。(笑)
ディアナ:歌を歌をうたってあげるんだハスラン。
ハスラン:こ~どもは、あしでまとい、あしでまとい。(←唄:メリーさんの羊)
GM/ラウラ:「急かせてしまって悪いのだけど、明日にも仕事にとりかかってもらいたいの。実は、2~3日後にジベル家のご息女を客として迎えることになっています。彼女はこの学院に入門する予定になっているのです」
ハスラン:ジベル家って?
GM:バータータウンで有名なエルフ貴族ですな。彼女の父親は芸術、特に音楽家のパトロンとしても有名なんです。お得意さま関係ね。で、「よもや、貴族のご息女に被害が及んでは大問題だ」そうです。
ディアナ:「わかりました、早速取り掛かりましょう、地図をお借りできますか?」
GM:渡してくれます。ラウラが「良い結果を期待していますよ。ただし、決して無理はしないこと」と言います。
ディアナ:「はい」
ハスラン:「僕も私も協力いたしましょう。これは英雄の冒険を体験できるまたとないチャンスです!」
ディアナ:ぎんゆうしじんは~、あしでまとい~、あしでまとい~。(笑)
ディアナ:けれど、いつ出発しようか。
GM:話が終わったのは、お昼前くらいです。
ディアナ:洞窟まではどのくらいなん?
GM:1時間強。
ディアナ:だったら今日出ましょう。
ハスラン:お昼を頂いて、お茶してからにしませんか?
ディアナ:まあ、いいけど。
GM:では、出かける直前にラウラさんが現れます。「言い忘れたことがありました」
ハスラン:「なんでしょうか?」
GM/ラウラ:「山賊に奪われた品の中に、この学院に届けられるはずの特別な荷があったの」
ハスラン:「それは?」
GM/ラウラ:「数点の楽器です。それを見つけたら持ってくるように」
ハスラン:「見ればすぐそれと判りますか?」
GM/ラウラ:「ええ。山賊がそんなおもちゃに愛想を尽かして壊してなければいいのだけど、楽器はスロールの大図書館から寄進された由緒ある品なのです」
ハスラン:「そうですか、わかりました、よく探してみましょう」
GM:出発しました。街道を外れ、地図を頼りにやぶこきやぶこき、知覚力テスト。
ハスラン:3
ディアナ:1
GM:あらら、良く判らなくなったぞぉ。
ディアナ:迷ったの。
GM:遭難するような場所でもないけどね。1時間ロスして、また知覚力テスト。
ディアナ:11
GM:はい、洞窟は大体この辺だろうと思う場所まで来ました。谷川を遡っていると、前の薮の中で動く物に気がつきました。
ディアナ:なんだろう? 剣を抜く、そっと近づいていく。
GM:覗くと、それはロバでした。荷物を乗せています。
ディアナ:ロシナンテだ。
ハスラン:山賊のロバなんか?
ディアナ:アジトが近いのでは? 探してみよう。
ハスラン:荷物を見てみるよ。
GM:荷物は、普通の食料とか生活用品とかでした。ディアナが少し離れた場所を探っていると、岩の多い崖をドワーフが降りてくるのが目に入ります。
ディアナ:わっ、慌てて彼のもとへ返ります。なあ、ハスラン、やっぱり二人で5人を相手するのってむりやん、だから頭領をやっつけるのがいいと思うんよ。奴と一騎打ちとかどうかなって思うんやけど、どうかな。
ハスラン:は? その為の、ディアナさんでしょ?
ディアナ:お前は、何しに来たんだ!?
GM:(それはアンタだ)ドワーフが現れた。驚いた顔で君たちを見て、「それは、俺のロバだ…」
ハスラン:「ああ、こりゃどうも」 [第一印象]を使います。
GM:判定どうぞ。(ドワーフの社交防御値は6。状況が状況だから+3させてもらうよ)
ハスラン:8です。
GM:プレイを続けましょう。「ご、ごきげんよう」
ハスラン:「こんな山の中なので、捨てロバかと思いました。失礼」
GM:彼はおずおずと近づいてきてから、パッとロバの手綱を取る。
ハスラン:「何をしていらしたのですか?」
GM/ドワーフ:「あ、道に迷いまして…」 自分のすごい発言に顔をしかめる。(笑)
ハスラン:ははは。「この小川に沿って下れば街道に出ますよ」
GM/ドワーフ:「どうも、ご親切に」 そう言って帰ろうとする。
ハスラン:「この辺りは山賊が出るそうですよ、お気をつけて」
GM/ドワーフ:「あ、ありがとう」 行ってしまいますよ? 行ってしまいました。
ディアナ:行かせてよかったの? 怪しくない?
ハスラン:いや、なんて言えばいいのか判らなかったもんで。
GM:(考えてからしゃべれよ)
ディアナ:しょうがないか。辺りを探る、崖の上も。
GM:洞窟がありますよ。
ディアナ:あ~っ、ドワーフはそっちから来たんだよね。
GM:出てくるとこは見ませんでしたけどね。
ディアナ:ううう…、洞窟を覗いてみます。暗視あります。
GM:入り口は狭いです、けど中はぐっと広がっている感じ。別に何もいません。
ディアナ:入っちゃおうか。
ハスラン:おいてかないでください。
GM:入りました。洞窟の中は甘酸っぱい臭いがします。
ハスラン:ワインとか?
GM:そんな感じ。奥に進むと…トロールが倒れています。
ハスラン:酔ってるのか?
GM:首と顔に爪の跡ような引っかき傷があります。更に3人の男が倒れています。皆死んでいる。
ディアナ:うっそ~。
ハスラン:勝利(笑) 辺りを詳しく調べてみたい。
GM:部屋には抜かれた武器が落ちています。食事の最中だったのでしょうか、鍋と皿が散らばっている。あと、酒樽が倒れて、中身が流れ出している。
ディアナ:ワインか。他に荒らされた形跡とかはない? 捜索してみるけど。
GM:はい。日用品が入った櫃とかそのままですね。硬貨が入った箱を見つけましたが、お金はそのままです。
ハスラン:エルフの死体がないのか…。
ディアナ:楽器はなくなってるよね。
GM:ありましたよ。
ハスラン:あれれ? 集めて鞄に入れる。
ディアナ:死体は新しいの?
GM:少し経ってるみたいですけど。
ディアナ:もう何もないよね…帰ろうか。
ハスラン:怪物に襲われたのかなぁ。
GM:夕暮れ前、学院に帰還しました。ラウラと会います。
ハスラン:楽器を渡します。これでよろしいか?
GM/ラウラ:「担当の者に渡して確認をとりましょう」
ディアナ:「山賊なのですが…洞窟で死んでいました、一人を除いて」
GM/ラウラ:「ほお?」
ディアナ:状況を話します。山賊は5人と聞いていましたが、死体は4つだけでした。
GM/ラウラ:「なにか危険な獣に襲われたのでしょうか?」
ハスラン:「何とも言えませんね」
GM:彼女は思案げだったけど、下がっていいと言います。今後の対策は今夜考えてみるそうです。
ディアナ:部屋へ帰ろう。
ハスラン:は~い、カトルの様子を見に行きます。
GM:彼の部屋のそばまできたとき、部屋の中から言い争う声が聞こえます。バタンと扉が開き、ここの侍女が出てきます。
ハスラン:おやおや。
GM:彼女はぷりぷり怒りながら、「せっかく心配してあげてるのに!」とか言いながら行ってしまう。
ハスラン:見送ってから、部屋に入ろう、「御機嫌いかが?」 あっ、目覚まし時計が! ガシャ~ン、ぎゃ~。(←自己演出)
ディアナ:楽しそうね。
GM:ベットに腰掛けたカトルが顔を上げます。「ハスランか…」
ハスラン:「どうした、気分がまだ悪いのか?」
GM/カトル:「ああ、でも信じてもらえるかな」
ハスラン:「何のことだ」
GM/カトル:「あの晩、俺は酒に酔った勢いで、真夜中の山道を歩いていた、そこで…盗まれたんだ」
ハスラン:「いくら?」
GM/カトル:「違う!」
ハスラン:「楽器?」
GM/カトル:「違う! 憶えてないんだ!」
ハスラン:「記憶が? もう少し詳しく説明してくれよ」
GM/カトル:「お前が、俺を学院まで連れて帰ってくれたな、あの時、お前は聞こえてくる“ライル王子の恋”に合わせて歌ったよな。俺も歌った、歌おうとしたんだ、けど…なにも出てこなかった、俺は忘れてしまったんだ、歌詞もメロディーも全部、どんな簡単な曲も思い出せないんだ…」
ハスラン:「歌を忘れたって!? …よくドワーフの火酒を飲み過ぎると記憶がなくなると言うぞ」
GM/カトル:「誓ってそんなのじゃない! リュートの弾きかたも思い出せないんだ」
ハスラン:「本当か!? 何かに襲われたのか?」
GM/カトル:「酒場を出て、道を歩いていたのは憶えている。ひどく酔ってたんだ、どこかで寝てしまったのかも」
ハスラン:「その後は憶えてないのか。僕に会ったときは?」
GM/カトル:「気分が悪かった、頭がぼうっとしていた」
ハスラン:「そうか…尋常じゃないな、ラウラさまに相談してみるか?」
GM/カトル:「うう」
ハスラン:連れていこう。
GM:ラウラの部屋に行くと、彼女は学院の理事と話している最中でした。理事はドワーフで名はローン。
ハスラン:「お取り込み中、申し訳ありません」
GM/ラウラ:「構いません。明日にも伝えようと思うことがあったのですよ」
ハスラン:「ご相談したいことが、実は、友人カトルのことなのですが…」と話しする。
GM:言い終えると、理事が苦い顔をして右手でこめかみを押さえた。ラウラが喋ります、「実は、例の楽器が一つ足りないのです」
ハスラン:「山賊に奪われていた品の中で? 僕が調べた限りではあそこにはあれだけしかありませんでしたよ」
GM/ラウラ:「それは信用しています。しかし…」 ローンが引き継ぎます、「こちらに落ち度があったのは認めねばな、楽器の中には呪われた“アマンのパイプ”が混じっていたのだ」
ハスラン:それが見つかっていないと? “アマンのパイプ”って知ってる?
GM:[伝承]で判定。
ハスラン:7
GM:初耳ですね。ローンが説明しますよ、“アマンのパイプ”はエルフ製のパンパイプです。アマンは持ち主の名前らしい。
最近、スロール大図書館の倉庫から他の楽器と一緒に見つかりました。何かの手違いでしょうが、残っていたのは簡単な目録だけで詳しい記録は紛失していたそうです。これらの楽器をただ珍しいだけの品と思いこんだ図書館側は、まとめて音楽学院に寄進することにしたのですね。
で、後から記録書が出てきて、その中に呪われたパイプが混じっていることに気づいたんです。慌てて学院に報告を取りましたが、問題の楽器は山賊に盗まれて、後の祭り。
「私が不注意であった、寄進が決まったときに全ての品について詳しく調べるべきだったのだ。まさかそのような品が紛れ込もうとは…」
ハスラン:「呪いの具体的な効果は判っているのですか?」
GM:詳細は不明です、他にも記録があるのか、単に未調査なのかも。ただ判っていることが一つだけあります、“アマンのパイプ”は別名“盗人”と呼ばれているそうです。
ハスラン:楽器のくせに“盗人”? 「それと、カトルの症状と関係があるということですか?」
GM/ラウラ:「判りません。…しかし、もう少し調査を進めたほうがいいみたいですね」
GM:次の日です。ディアナはさっきの話をラウラから聞きました。
ディアナ:うんうん。もう一度、洞窟に戻ってみるかね。それと例のドワーフも探してみるかね。二人で手分けするかね。
ハスラン:そうしましょうか。
ディアナ:私が洞窟に行くから、君は下の村でドワーフね。
ハスラン:いいでしょう、出発しましょうか。
ハスランは村で手当たりしだいの聞き込みを始めた。さいわい小さな村のこと、早速それらしいドワーフが宿に滞在していることが判明する。向かうと、宿の前には見覚えのあるロバが繋がれており、食堂ではあのドワーフが酒を飲んでいた。
ドワーフ(名はダジル)に気安く声を掛け、話を始めようとするが、彼はおざなりな返事しか返さない。どうやら黙りを決め込んでいるようだ。ハスランはこのドワーフが“パイプ”を持っているのではと疑い、パイプにまつわるいわく話でカマを掛けるが期待したような反応は見られなかった。
ハスラン:あれ~、[第一印象]は効いていないのかなぁ、どうすればいいのぉ。
ディアナは山賊の洞窟を再び訪れ捜索を行うが、新しい手がかりはまったく得られない。
横目でハスランの成果を窺うが、一向に話が進んでいないことに苛立つ。
ディアナ:もうっ、何やってんの、もっとガツ~ンと言いなさいよ!
業を煮やしたディアナは、「どうしても気になったから」と理由をつけ村に現れた。
そこで偶然(笑)、肩を落として宿から出てきたハスランと出会う。
ディアナ:「ドワーフは見つかったの?」
ハスラン:「ええ、でも成果なしですよ」
ディアナ:宿に入っていく。単刀直入に行くよ。
GM:ドワーフは席を立ちかけていたけど。
ディアナ:「私の顔は覚えているよね」
GM:眉をしかめ目をそらす。
ディアナ:「山賊のアジトであなたを見た、あなた商人でしょ、山賊相手に商売もするの?」
GM:苦い顔をしていたけど、「…話を持ちかけたのは向こうだ」と言う。
ディアナ:「で、いつものように洞窟に向かった?」
GM/ドワーフ:「違う…あれが初めてだったんだ、金目の骨董品がいくつかあるから買い取らないかと誘われた」
ディアナ:「洞窟の死体は見た?」
GM/ドワーフ:「何のことだ?」
ディアナ:「崖を降りてきたでしょ」
GM/ドワーフ:「待ち合わせに現れないので覗いてみたんだ、声をかけてみたが返事はなかった」
ディアナ:「洞窟に入らなかったと? おかしいと思わなかった?」
GM/ドワーフ:「思ったさ。けど相手は山賊だぞ、俺だってびくついてたんだ。それにあんたらが現れた」
ディアナ:まあね。(笑)
ハスラン:骨董品って楽器のことだろうなぁ。じゃあ、取引は不成立だったってことか。
ディアナ:つまり、死体の見つからなかったエルフが怪しいってことになるね。
GM:ドワーフはすぐに村を出るみたいですが?
ディアナ:いいんじゃないの、もう。
ハスラン:「あなたのことは喋りませんよ。けど、山賊相手の商売は控えた方がいいよ」
GM/ドワーフ:「ふん」
ハスラン:なんか、反応が間違ってるぞ! ひいきだ!!
ディアナ:さ、学院に帰りましょう。(笑)
GM:はい、歩いてとぼとぼ帰ります。
ハスラン:エルフの足どりがはっきりすればなぁ。
ディアナ:他にめぼしい所ってもうないよね。
ハスラン:う~む。
GM:帰り着きました。
ハスラン:ラウラ殿に報告するけど…成果ないのと同じだしなぁ。
ディアナ:少年にエルフの特徴を聞きたい。
GM:そのエルフは男、背が低くて華奢、年は若かったそうだ。人相なんかは曖昧ですね。
さて、ラウラが君たちの所に現れます。申し訳ないけれど、もう一度下の村に行ってもらいたいそうです。
ハスラン:どうしてでしょう?
GM:例のジベル家のご息女が、そろそろ村に到着するそうです。こんな事態なので、護衛を務めてもらいたいそうです。1時間程度の道のりですが、用心するに越したことはないと。
ディアナ:お安い御用です、喜んで引き受けます。なんもしてないし。
ハスラン:僕も微力ながらお手伝いさせていただきます。今日は部屋で休もう。
GM:今からなんですけど。(笑) 到着するのは今日の夕方か明日の朝だそうです。
ハスラン:あわわ。
ディアナ:ダッシュ!(笑)
GM:再び下の村です。
ディアナ:宿屋で待機してればいいんだよね。いいカッコしてなかったんで恥ずかしいな。
GM:日が暮れるのと同時くらいに馬車が到着します。
ディアナ:前に出て、従者に話をする。
GM:そういうことでしたらと承知してくれた。それで、お嬢様はこのまま学院に向かいたいと言ってるそうです。
ディアナ:学院に着くのは何時くらいになりそう?
GM:7時くらい。
ディアナ:問題ないでしょう。
ハスラン:暗くなってしまうけど、まだ大丈夫だろう。
ディアナ:君の十八番でも唄ってあげなさい。
ハスラン:でへへ。
GM:従者たちは馬車用のカンテラに明かりをともします。一人が長い棒の先にカンテラを付けて先を歩きます。
ハスラン:歌いながら馬車の後ろを歩こう。ゆうしゃが~、どらごんを~、たおす~。
ディアナ:才能ないな。(笑)
GM:ハスランが歌っていると、ジベルが顔を覗かせます。「あなたは学院の方?」
ハスラン:「はい。まだまだ未熟者ですが」
GM:会話がはずみますよ。彼女は君に曲をリクエストする。
ハスラン:「もちろん! 喜んで!」
GM:ハスランが演奏を始めました…知覚力テスト。
ハスラン:まわった、18。
ディアナ:7。
GM:君の演奏にもう一つの旋律が混じってきた。
ハスラン:ハモってきたんだ。それって和音なの?
GM:和音です。
ディアナ:見回すけど、彼女の演奏じゃないよね。
GM:もちろん。御者も気がついたみたいで、「パイプの音ですね」と言う。
ハスラン:むっ、ミュートする。
GM:パンパイプの音が残ります。
ディアナ:こういうのは苦手じゃよ~。
GM:ジベルが、「これはどなたの演奏ですか?」と顔を出す。
ハスラン:微笑みながら、「あ、学院の誰かですよ…」
GM:ジベルは、「馬車を止めなさい」と御者に命じます。
ハスラン:「わわっ、このままお進みください!」
GM:馬車は停止したぞ。彼女は、「なんて素敵な演奏なのでしょう」と聞き惚れている様子。ふらりと馬車から降ります。
ディアナ:「お嬢様、馬車にお戻りください!」
GM:従者たちは顔を見合わせている。ジベルには通らないわがままはないのでしょう、平然と道ばたへ歩き出す。(笑)
ハスラン&ディアナ:どうすればいいの~。(笑)
GM/ジベル:「こんな見事な演奏は聴いたことがありません。何処から聴こえてくるのかしら?」
ディアナ:「どうか、馬車にお戻りください」
ハスラン:きっとキツネかタヌキの仕業ですよ!(←?)
GM:彼女はメロディーに耳を傾けていましたが、すっと姿勢を正しました。息を吸い込みます。
ハスラン:歌う気?
GM:で、口を開いたものの…当惑した表情になります。もう一度、大きく息を吸い込み、歌い出しますが、出てきたのは調子の外れた音だけでした。彼女は完全に混乱した様子で君たちの方に振り返ります。「私、忘れました…」、そう言ってぱたりと座り込みます。従者が慌てて駆け寄る。
ハスラン:「馬車に乗せて、すぐに学院に向かってください!」
GM:従者は、「何が起こったのですか!?」と言う。
ハスラン:「説明は後で。学院についたらローン理事長とラウラ相談役にこのことを話してください。私たちはここに残ります。急いでっ!」
GM:馬車が勢いよく走り出しました。
ハスラン:あ~あ、だから歌うなっちゅ~たのに、あの子は。
ディアナ:これだから、貴族ってのは困るんだ。タバコを吸う。
GM:急にやさぐれるな。(笑)
ディアナ:音楽は何処から聴こえてるの? 吟遊詩人、きみの耳が頼りだ。
GM:知覚力テスト。ハスランは+2ステップしていいよ。
ディアナ:12。
ハスラン:5。(泣)
GM:ディアナは、道の左側、山の下りの方だと思います。
ディアナ:進んでみよう。
GM:薮を抜け、土手を下ると地面が柔らかくなります。湿地に生えるような背の高い草が広がる場所に出ました。
ハスラン:沼地か。歩けそうな堅いところを探して進もう。方向は合ってる?
GM:はい。まだパイプの音は聴こえています。沼地を迂回して200メートル程の所で、大きな木が集まって生えているのが見えました。その木に囲まれるように小さな屋敷が建っています。
ディアナ:こんな所に屋敷?
GM:もっと雰囲気が良ければ、湖畔の小さな別荘と言った感じでしょうね。
ディアナ:進むよ、ずんずん。
GM:そばまで来ると、この建物がだいぶ傷んでいることが判ります。沼地側の壁が崩れていますね。間違いなく、音楽はここから聴こえてきます。
ハスラン:よし、その音楽と不協和音になるようにリュートを奏でてみます。
GM:すると、その不協和音に合わせて曲が変化します。ジャムセッションみたいに。
ハスラン:怖いよ~。さらに、音を外してみるけど?
GM:追いかけてきますよ、見事に。
ディアナ:私にもやらせて! 即興で弾いてあげる!
GM:そんなこと試すシーンちゃうちゅ~ねん。
ディアナ:怒った~。
ハスラン:建物に扉はある? 開けましょう。
GM:小さなホールです。向かいにまた扉があります。
ディアナ:つかつか歩いて、開けます。
GM:はい。そこは、たくさんの蝋燭に照らされた明るい部屋です。床には絨毯が敷かれ、壁はタペストリーで飾られています。部屋には高貴な感じの男女が数名、クッションにもたれたり、椅子に掛けたりしています。奥に宮廷楽士みたいに着飾ったエルフの青年がいます。
ディアナ:ほよよ。エルフの青年がパイプを演奏してるんだよね。
GM:そうです。皆、彼の演奏に聞き入ってる様子。
ディアナ:踏み込もう、あのエルフは山賊の一員なのかな?
ハスラン:けど、楽士の服なんだろ。聴衆は歌に誘われた農夫とかじゃないよな。(笑)
GM:普通の貴族っぽい服ですよ。
ハスラン:怪しいな、アレかアレのどっちだ?(←推理中)
GM:聴衆の一人、女性が君たちの方を向いてこうする。(人差し指を唇にあてる仕草)
ディアナ:「お楽しみ中、申し訳ありません、私たちはあのパイプを取り戻しに来たのです」
GM:それを聞くと、女はあいまいに微笑みます。身ぶりで奥へと誘われる。
ディアナ:「失礼」 エルフの楽士に近づきます。
ハスラン:なんかやばい感じがするなぁ。
GM:ハスランは【クロークセンス・ブローチ(敵感知のブローチ)】付けてたよね? 判定してみ。
ハスラン:18。
GM:いいね。君はピピピと危険を感じた。慌てて足を止めると、この演奏会と荒れた廃墟の風景が二重写しになる。
ハスラン:ディアナを押し止める。「見ろ! 幻だ!」
GM:幻術が薄れ消えます。君たちが踏みだそうとした床は崩れて穴になっており、底には泥水が溜まっている。しかし、エルフの楽士は残りますよ、服装は薄汚れた山賊のそれになっていますが。彼は生気のない表情でパイプを抱えています。一瞬、演奏が途絶えました。
ハスラン:穴は避けて通れますね?
ディアナ:そちらからエルフに近づきます。
GM:エルフは演奏に戻ります。イニシアチィブしましょう。
ハスラン&ディアナ:6。
GM:13。軽快な曲が流れ始めます。エルフの横に光る矢が現れ、ディアナめがけて飛ぶ。命中、まともに食らったな、16ダメージ。
ディアナ:転倒しました。
ハスラン:こんなの幻だと言え。(笑)
GM:それでは、マッセナの立場がないのじゃよ。(笑)
ハスラン:僕の番だよね。まかせろ! 走り寄って小剣で突く、9。
GM:エルフは避けもしない。
ハスラン:ダメージ、8。
GM:エルフはぐらりとなって仰向けにひっくり返る。彼はすでに死んでいましたね。
ハスラン:ああん?
ディアナ:パイプは?
GM:床に転げて落ちました。
ハスラン:触るの嫌じゃなぁ。
ディアナ:どうしよう?
GM:すると、パイプから煙が吹き出し始めた。
ハスラン:さがれ、さがれ。
GM:パイプの口から、中に収まるのは到底不可能なサイズの物が這い出してきます。巨大なクモ…。
ハスラン:クモ、クモ! ジェフスラ、ジェフスラってか? 僕ら二人じゃぜよ!
ディアナ:じゃぜよ?
GM:イニシアティブだ、ジェフスラは11。
ハスラン&ディアナ:4。
GM:攻撃していいっすか?(笑) ハスランに大きな前脚で、12。
ハスラン:命中。
GM:11点。
ハスラン:痛て~っ、怒りきに[愚弄]します。(笑) 8。これじゃ、だめだね?
GM:あ~っ、成功しています。
ハスラン:あれ? 4ランドの間、4ステップマイナスね。
ディアナ:攻撃します、【致命的打撃の護符】使います、18です。
GM:命中です。
ディアナ:ダメージ、14点。
GM:はいはい。今の攻撃ですが、君の剣はジェフスラの足の付け根を狙って切りつけられたのですよ、けど一瞬手応えがありませんでした、少し遅れてドスッと感触が伝わってきた。
ディアナ:は? どういうこと?
ハスラン:[不信]しろ!
GM:結構です。今ので[感知]超えてますから、ジェフスラの姿も薄れ始めます。
ディアナ:嘘じゃよ! 嘘じゃよ!
GM:[怪物まとい]が消えて本体が姿を現します。小さくて醜いねじれた人型の怪物です。(ルールブックのイラストを見せる)
ハスラン:クリースクラ! 悪夢を見せる怪物か!
GM:これはその亜種みたいなもんです。音楽を奪うのです。
ディアナ:なんか可愛いよ。
ハスラン:立派なホラーだぜ。
GM:そいつは、金切り声をあげ、鋭い爪で飛びかかってきます。この爪の大きさは、山賊の死体についていた傷と一致するな。
ディアナ:なるほど。
ハスラン曰く、ジェフスラのほうがまだやりやすいのでは?
微妙なところだが、接近戦のみの戦いとなると、物理防御値が高いクリースクラのほうが手強い。しかし[愚弄]の効果は大きく、マイナス4ステップされたら、さすがのホラーもまともな攻撃を行えない。これを機に、その4ラウンドの間、二人は順調に怪物にダメージを与え続けた。(3回に1回クリティカルっておかしぞ!)
GM:深手を負ったクリースクラは逃げ出します。飛び跳ねながら、塔の階段を駆け登る。
ハスラン:なに? 塔の階段? 聞いてないぞぉ。
GM:始めからありましたよ、言ってなかっただけです。(←むちゃくちゃ)
ディアナ:追いかけましょう。
GM:すぐに屋上にでました。怪物は胸壁の上を右に左にうろうろとしていましたが、君たちが姿を見せると、飛びかかってきます。イニシアティブは6。
ハスラン:6。もう一度、[愚弄]します。「逃げたって無駄だよ、臆病者!」 判定14。
GM:成功してます。もっと気の利いたこと言えよ。ハスランに攻撃、ダメージは9。
ハスラン:痛い痛い。
ディアナ:3。攻撃は20、ダメージは6。
GM:厚い皮にぶにょんと弾かれた。
ハスラン:たのむよ、君だけが頼りなんだから。
ディアナ:でへへ。
GM:イニシアティブ、2。
ハスラン:4。
ディアナ:1、ぎゃはぁ。(笑)
ハスラン:一番~、攻撃13!
GM:おっ、命中。
ハスラン:まわった! 18ダメージ!
GM:おめでとう、ぴったり、0。
ハスラン:やった~、英雄だぁ。自分の歌を作るぞ。(笑)
ディアナ:私が歌ってあげる。いさおし~、いっぴき~、ひとりたび~。
GM:クリースクラはきいきい泣きながら、胸壁の隅に這いずっていきます。そいつの黒いゴムみたいな皮膚がぼろぼろと体から剥がれ落ちていきます。やがて、甲高い泣き声が、かすれた人のものに変わります。汚泥にまみれたエルフが哀れな表情で頭を抱え震えています。
ハスラン:「アマンか? ホラーに飲まれたか?」
GM:彼は顔を上げ、何か言いますが、声は出ません。舌がないんです。そして、ことりと死にます。
ハスラン:「あなたの魂が迷うことなく、アステンダーのもとにたどり着けますように」
GM:パイプは折れてしまいました。
ディアナ:あにゃ! くっつける。
ハスラン:もういいって。(笑)
GM:君たちは廃墟から出ました。外にはタイマツの明かりがいくつも見えます。学院から駆けつけた勇士たちですね。ラウラもいますよ、「大丈夫ですか」と。
ディアナ:「はい。少し痛いですけど」(笑)
ハスラン:「素晴らしい体験でしたよ! パイプは取り戻しました、壊れてしまったけど…」
ディアナ:「それに、アマンに会いました」
GM/ラウラ:「それは?」
ディアナ:「どうやら、パイプ呪いとはホラーに堕落したアマン本人によるものだったみたいです」
ハスラン:「歌盗人の事件が彼の仕業だとすれば、被害者たちは2~3日中にも回復することでしょう」
GM:学院に帰り着きます。たぶん数日たった後、“アマンのパイプ”に関する逸話が判明します。アマンとは大災厄以前に生きたエルフの吟遊詩人です。アマンは某王国の王女と恋に落ち、結婚を誓いました。しかし、女王は彼を裏切ります。親の決めた、名家の貴族と婚約してしまうのです。アマンは怒り、復讐を思いつきます。吟遊詩人は、王女、婚約者、国王を責め中傷する歌を歌います。当然の結果、アマンは王の兵によって捕らえられます。
そして罰として荒野への追放を言い渡されたのです。その後のアマンに関する記録ははっきりしません…。
ハスラン:恐らく、ホラーはそんな彼の心の隙につけ込んだのでしょう。
GM:この物語にはいくつかのバリエーションがあります。そのひとつに、王は彼から永遠に歌を奪ってしまったというのがある。つまり、アマンの舌を切り取った。
ディアナ:ああ、真実が一番残酷だってわけね。
ハスラン:このパイプは保管しましょう、これは伝えなければならない物語です。
GM:良い話も悪い話も伝えなければならない、それが吟遊詩人の務めなのです。