ジル
10世代ラゾンブラ、本性:冷笑家、外面:野心家
あんたバカ?どうしてそういうこと訊くわけ?「オマエ、むかし、キャマリラのグールだったんだろ?」だって。恋人に、まえにつき合っていた相手のこと尋ねたいようなもの?ちっとも可愛くないわよ。うんざりしているの。それに、かなりムカツクの。わかった?今度、バカなこと口走ったら、殺すよ。本気。
プレイヤー:リサ
ティンマン
11世代反アサマイト、本性:サディスト、外面:殉教者
意外そうな顔をするな?色黒のアラブ人とでも思ったか。アッラー・アクバルと叫ぶとでも思ったか。だとしたらそれは、偏見ってやつだな。オレは見てのとおり白人で、若くて、ピアスで体を飾っている。だが、人をみくびると、とんでもない時に痛い目に会う。今のあんたみたいに。ま、どっちにしてもあんたは死ぬ運命なんだが。祈ってやるよ。俺はアサマイト。あんたの告死天使。アーメン。
プレイヤー:コニタン
ストーリーテラー:ナッキー
プレイ日時:2001年5月19日(土曜日)
リプレイ執筆:ナッキー
註:リプレイの中では、行動判定の記述を省いてあります。
~フェニックス郊外・廃モーテル~
ST:司教の使いは、よれた茶封筒をわたす。
ジル:は~?(透かす仕草)開けていい?その場で開けてみちゃう。
ST:生意気そうな娘の写真。それと、たぶん彼女に関するデータが入っているな。
ジル:「だれ、この女?」
ST/使者:「エリザベス・エイバリー」と言う。
ジル:「知らないわ。あんたの恋人?」
ST/使者:いらついた様子で、「閣下が関心を寄せておられる人間だ」と言う。
ティンマン:「詳しく聞かせてくれ。どうせ仕事をするのは俺たちだ」と言う。
ST:うぃ、簡単に説明しますね。エリザベス・エイバリー、18歳、資産家の娘。自立と称して家出同然の一人暮らし。親のビジネスは運送関連でサバト系の犯罪組織と、『関係』が深かかった。しかし最近、仲が疎遠になりつつあるらしい。今さら親父の腰が引けてきたらしい。
ジル:「罪の意識?歳を経ったってことよ、それ」
ティンマン:「で、誘拐する?で、親父を脅す?」
ST:・・・・・・無言です。
ジル:いやん、わかりやすいわ(笑)
ST:グール化するか、徴兵して見せつけることも考えているみたい。
ジル:悪い、悪い。(笑)
ティンマン:ん~?「でもなぜだ、誘拐なんて下っ端の仕事だろ」
ST:説明します。どうやら、先に任務を与えられたパックがいたらしい。しかし、成功の報告が届かないらしい。その調査もかねている。
ティンマン:で、そのパックって?
ST:ラスティン・ネイル。4人組の潜入工作グループらしい。
ティンマン:尻拭いかよ。(ため息)
ジル:必要な情報はみんな封筒に入っているのかしら?
ST:はい。
ジル:じゃあ、行く?車貸してよ。運転してね。
ティンマン:あ、あぁ。
ST/使者:「どのくらいで終らせれそうだ」と言うぞ。
ティンマン:「とりあえず3日」
ST/使者:「では、3日後の晩この場所で。あなた方はサバトの名に恥じないような活躍を。他に私にできることはありますか?」
ジル:「死ね」
~フェニックス市内~ エリザベス・エイバリーのアパート前
ジル:(アパートを見上げて)あれ、あんまりいい暮らししてないみたいね。
ST:ここからでは部屋の気配は感じられないけど。
ジル:夜も遅いしね、寝ているのかな。
ティンマン:居ないと思うぞ。先にパックと接触しないか。
ジル:そうねぇ。でも、どこで会えるのかな。
ST:〈キャッツ・オ・ナインテイル〉。若いヴァンパイア向けエシュリオン、とは名ばかりの入国管理所兼難民キャンプ。パックのジーナって女が名を知られているらしい。
ティンマン:偽称ってことやね。
ジル:じゃあ、そっちに行ってみましょうか。移動、移動。
~エシュリオン〈キャッツ・オ・ナインテイル〉~ 少し道に迷った後
ST:地下へ階段をトントンっと下りると、薄汚れたバァがある。煙草と酒と尿が匂う。
ティンマン:イメージとちょっと違うな。
ジル:ざっと見渡してみます。
ST:人も少なくて、あんまり流行っているみたいにみえないけど。
ティンマン:ジーナとやらの顔は知らないよね?
ST:さすがにパックメンバーの顔写真はなかったなぁ。
ジル:バーテンに尋ねちゃだめだよね。
ティンマン:・・・・・・いいとちがう?
ジル:ほんとに?
ティンマン:ジーナってどうせ偽名だろ。そんな簡単に正体ばれんだろ。
ジル:いいや、話し掛けるぞ。バーテンに、「ハイ」と挨拶。
ST:ひげの面の肥えた男が、ジロリと一瞥して、「流れ者か?」と言う。
ジル:「そうよ。今晩着いたの」
ST/男:「寝処は空いている。掟は知っているな?」と言う。
ジル:うなずく。「それと。ジーナって女を探しているの。知らない?」
ST/男:「・・・・・・」
ティンマン:「俺たち、彼女を頼ってきたんだ」と後で。
ST/男:ちょっと考えた表情だったけど、「ブルハーだな」と言う。
ジル:へぇ、有名人~(笑)
ST/男:「そんな感じの奴らは、たいてい公園の東口あたりで屯っているらしい」
ジル:お~ありがと~
ST/男:言う。「ここで大人しくしていることを勧めるぜ。公子も『フェンスから外』の安全は保証してくれない。フェニックスに移住するつもりなら、警吏の審査を待ったほうがいいぞ」
ジル:煩いわね~
ティンマン:小銭を渡しておく。さっそく公園へゴー。
ジル:ゴー。
~公園東口~ 絡んできたチンピラを追い散らした直後
ST:小柄な女が現れた。目を細める。「久しぶりね」って言う。
ジル:「久しぶり」
ST/ジーナ:「歩こう」と言う。
ジル:歩く。
ティンマン:歩く。
ST:川沿いの遊歩道に出た。風が強い。空き缶が転がる。街灯がチカチカと点滅する。
ジル:話し出すタイミングを見計らう。(笑)
ST/ジーナ:先に彼女が、「大胆なことしてくれるじゃないの」と言う。
ジル:「時間が惜しいのよ。そんなにドジったことはしていないと思うけど」
ST/ジーナ:「あんたら、私がどれだけ苦労していまの信頼関係を築いたと?」
ジル:「知らない」
ティンマン:(小声で)「どうせ、だらだらやってるんだろ、それも」
ST/ジーナ:聞こえない風に、「で、用件はなに。嫌味を言うだけにフェニックスまで?」
ティンマン:は。「経過を聞きに着たんだ。あんたらパックが引き受けた任務の経過を、な」
ST/ジーナ:「あの女の件ね」
ジル:「そうよ」
ST/ジーナ:「あれは」と言う。「あれは、隊長の責任」
ジル:「隊長?パックの隊長ね」
ST/ジーナ:明らかに皮肉を込めた口調で、「パックの任務は彼が仕切っているの。ぜんぶ、彼に責任があるの」と言う。
ティンマン:「連れて行け。パックの寝処へ」
~病院~
ST:ジーナは君たちを裏口から案内する。『修道院』は寂れた小さな病院です。入ると、キツイ消毒薬と洗剤の匂い、染み付くような汚物の匂いと腐臭がする。彼女はなんの気後れも感じさせず堂々と廊下を進む。
ジル:無人なのかな。
ST:病室の前を過ぎるとき、チラと中を覗くとベッドに眠る老人の姿がありました。
ジル:やれやれ。
ST:ディ・ルームではテレビがつけっぱなしで深夜放送を映していて、ジーナがそれをリモコンでパチンと消した。スタッフルームを過ぎて事務所のある三階へと進んだ。で、院長オフィスらしい部屋に入る。痩せた、よれたシャツに紅黒いレザーズボンの青年がぐったりとソファに腰掛けている。なんか点滴中。
ジル:意識はあるのよね。(苦笑)
ST:ジーナが彼に向かって「ほら、借金取りが着たわよ」と言う。でも、男は虚ろに視線を漂わせただけ。
ジル:「ほかの連中はどこ?ここには彼だけなの」
ST:ギャンラル系が野外で待機中らしい。
ティンマン:「名は?ダクタス」
ST:男は君をぼんやりと見つめる、で・・・「ティンマン」と吐息のように言った。
ティンマン:は?ティンマンはオレ。(笑)
ジル:知り合いってことでは?(笑)
ティンマン:そうなの?(笑)
ST:ええ。以前、君とパックメンバーだったことのある男です。名はアーネスト・ナンタラ。昔の話で、詳しいことは忘れたな。印象の薄い男だ。
~病院の別室(カンオケの中)~
ティンマン:「アーネスト、あのアーネストか。ケイティフが出世したもんだ」
ジル:でもあれじゃ、どうしょうもないじゃん。クスリ癖は昔からなの?
ティンマン:知らん。
ジル:爺婆グールにしました、とか自慢話聞かされてもねぇ。なに秘密基地作って喜んでんねんちゅう話。しわしわグール。
ティンマン:さてあの男、「上手くいっている」としか言わなかったんだよね。どう思う?
ジル:明日の晩、正気のときにもう一度問い詰めてみましょう。何か隠しているよぜったい。
ティンマン:そうするか。
ジル:そうするしかないの。
~院長室~
ST/アーネスト:「拉致るのは簡単だった。秘密の場所へ監禁して、後は運び出すだけだったんだ。とんとん拍子だ」
ジル:「じゃあなぜ、司教は私たちをよこしたんだろう」
ST/アーネスト:「に、逃げられた」
ジル:笑う。
ティンマン:探したんだろうね。でも、見つからなかった?
ST/アーネスト:「まだ。ほうぼう手を尽くしている。時間はかかるだろう、しかし、必ず捕まえる」
ティンマン:ジーナに訊く。「彼の言うことを、信じてもいいのだろうか?」
ST:「ええ」と言う。でも、表情には諦めが。
ティンマン:ふぅん。
ジル:「逃げた、というのが気になるな。そんなにあまい監禁だったの」
ST/アーネスト:「ああ、上手くやったもんだ、あの女」と憎らしげに言う。
ティンマン:「大脱出、ってわけだ」
ジル:「身内に脱出を手引きした者がいるのでは。計画にグールは加わったの?」
ST:アーネストは、「イエスだが裏切りの可能性はない」、と言うぞ。
ジル:ほんまかいな。
ティンマン:「で、女の消息に心当たりは?」
ST/アーネスト:「ある。網は張った。だから、後は獲物が掛かるのを待つだけだ」と言うぞ。
ティンマン:「いいから教えろ」
ST/アーネスト:「ティンマン、これはオレの任務だ、オレが隊長になって始めての。わかるだろ、だから司教様にはこう伝えてくれ、『彼は上手くやっております、もう少しお時間をお与え下さい』と。頼む」
ティンマン:「・・・・・・」
ジル:「だめよ、あなたたちが持っている情報を全部わたしなさい。後は私たち2人が引き継ぐわ」
ST:というと、ジーナが慌てて言う。「ちょっと待ちなさいよ。それで、あんたらはどうするっての?まさか、好き勝手暴れて後はトンズラする、とか考えているんじゃないでしょうね」
ジル:「いけない?」
ST/ジーナ:「ば、バカにするな。私たちの立場も考えろ!」
ジル:「しょうがないんじゃない。誰の尻を拭きにきたと思っているの」
ST/ジーナ:「サバトが一目でサバトとわかる戦いをしてどうする。現実は厳しいんだ」
ジル:「知らないわ、あんたの立場なんか」
ティンマン:(席を立って)あ、ちょっと部屋を替えたいのですが。
ST:いいですよ?
ティンマン:ジル来てくれ。
ジル:なに。
~別室~
ティンマン:ST、ジーナの潜伏工作と今回のパックの任務とはどれくらい関わりが深いのでしょう?
ST:ん~本来ジーナの潜伏は独立した任務だったのでしょう。恐らく、今回の一件に際して、アーネストのパックに編入されたものだと思いますが。
ティンマン:ですよね。じゃあ、ジーナを呼びたいのですが。
ST:いいですよ。来ました。不安そうに入ってきた扉を振り返る。
ティンマン:「俺たちに協力するべきだと思うが」と言ってみる。
ST/ジーナ:ため息混じりに、「どうなの?これ、パックの責任ということになるのよね」と言う。
ティンマン:「そうだな」
ST/ジーナ:「でも、私の実績は評価してくれるわよね」
ティンマン:「たぶん」
ST/ジーナ:「司教様はご存知のはずよ。たぶん・・・」
ジル:「ドキドキね」
ティンマン:「俺たちは、この件が上手く片付けばいいだけだ。司教様には、あんたの経歴に傷が着かないよう進言してやる。それと、アーネストの肩を持って連帯責任を追求されるのとどっちがいい?」
ST/ジーナ:「・・・・・・」
ジル:「ほら、協力しなさい」
ST/ジーナ:うなずいた。「協力する」と言う。
~院長室~
ジル:「じゃ、彼女借りるから」
ST/アーネスト:(無言)
~調査に向かう車中~
態度を一変させたジーナは、エリザベス誘拐計画の意外な顛末を二人に告白した。それによると、計画は始めから難航したらしい。エリザベスの近辺を調査するうちに、彼女の周辺にヴァンパイアの影がちらつき始めたからだ。このヴァンパイアはトレアドールの長老であるらしい。しかし、さいわいその関わりは弱く、長老の『お気に入り』のバアで彼女が歌手として臨時に雇われているにすぎない、ということではあった。
慎重な行動を主張するジーナに対し、上からの再三なる催促に焦ったアーネストは、大胆な方法を取る。キャマリラのヴァンパイアを利用しようというのだ。彼は『難民』の中から目ぼしいヴァンパイアに声をかけ、適当な理由をでっち上げ、協力を承諾させた。 日をおかず決行された作戦は、なんの問題もなく予知どおり終了した。次の日、監禁場所からエリザベスとその『難民』が消えるまでは。
ティンマン:マジですか~(笑)
ジル:「その『難民』について話して」
ST/ジーナ:「ウェインって名乗った。若い男、見た目はそんなに悪くない感じ、意志は強そうじゃなかった」
ティンマン:「そいつを選んだ理由は?」
ST/ジーナ:「そいつは、定住のために公子への謁見を希望していたの。むかし、この都市に住んでいたこともあると言っていた。でも、そいつ、人を殺していたの」
ジル:「殺人?」
ST/ジーナ:「獲物を殺してしまうのよ。変態癖よ。自分を押さえられないのね」
ジル:吸血のときに、ってことね。
ST/ジーナ:「偶然見つけたの。会社のお偉い風のオッサンを殺してたわ」
ティンマン:っていうかキャマリラでは受け入れられません。
ジル:むしろ、サバトにふさわしい。(笑)
ティンマン:で、「ゆすったのか」
ST/ジーナ:「ほのめかす程度よ。迷っていた風だったけど承諾したわ」
ジル:「エリザベスとウェインはどんな感じだった?」
ST/ジーナ:「どんな感じって、別に」
ジル:「一目惚れってわけでもないだろうに」
ティンマン:真相は駆け落ちじゃよ。(笑)
ST/ジーナ:「あぁ、そういえば、その男。音楽には詳しかったわね。エリザベスの歌を誉めていた」
ジル:(じっくり考えた後)めんどうなことになったにゃ~
とりあえず、二人の足取りを求めて〈キャット・オ・ナインテイル〉付近で情報収集を行なうが、これといった成果はあげられなかった。 その後、エリザベスの部屋を捜索するが、手がかりは見つからない。どうやら、誘拐事件後、部屋には帰っていないようだ。
~病院~
ST:寝処に帰ったところです。部屋に入ろうとすると、アーネストが廊下の向こうから現れ、「話がある」って仕草で伝えてくる。
ジル:なぬ~露骨に嫌な顔をするわ。
ST:あ、ジルがいなくなった後で。ティンマンに対して。(笑)
ジル:なんですて~ころすわよ~ぎゅ~(←疲れてきた)
ティンマン:いく。(笑)
ST/アーネスト:部屋に入る。話す。「うまくいってるみたいだ」
ティンマン:「なんだと?」
ST/アーネスト:「いや、たいした奴だ、ティンマン」
ティンマン:「用件を言えよ」
ST/アーネスト:「全部知ってるんだろ?オレのやったこと」
ティンマン:「ああ」
ST/アーネスト:「名案だと思ったんだ」
ティンマン:「だろうな」
ST/アーネスト:「正直、焦っていたところもある。だが、ドジを踏むつもりはなかった。慎重にやったんだ。失敗するなんて思いもつかなかった。100パーセントうまくいく予定だったんだ」
ティンマン:「うまくいかにこともある。・・・・・・それで、なぜ俺を呼んだんだっけな?」
ST/アーネスト:「だ、だから・・・・・・そのことを。司祭様に・・・」
ティンマン:(小さく笑う)
ST/アーネスト:「やっと手に入れた地位なんだ。ケイティフが他の連中の上に立てるなんて他じゃ無理なんだ。だからこそオレはサバトに忠誠を誓ってきた。だから、一度のミスで裁くようなことがないように、上の連中に・・・・・・」
ティンマン:(言葉をさえぎって)「心配するな。オレが言っといてやる」
ST:ぜんぜん心がこもってないぞ。(笑)「ほ、本当か?」
ティンマン:「まかせとけ」って「用件はそれだけか?」
ST:「あ、ああ」
ティンマン:じゃあ。
ジル:帰ってきた?「ねえ、何の話をしてたの?」って訊く。
ティンマン:「忘れた」寝る。
こんな小芝居をしてみても状況は進展しない。 『エリザベスが働いていた店』が捜査の候補にあがるが、長老と出くわすことを恐れて二の足を踏んでしまう。 さりとて、手がかりがつかめない以上ここを諦めるわけにもいかず、悩んだすえ裏口から給仕やバーテンなど下っ端に接触することにする。ここで、最近エリザベスが店に現れていないことを確認したあと、ジルが〔暗示〕を発動。「彼女が店に現れたら、すぐに連絡するように」と約束をとりつけ、これに確かな手ごたえを感じた。(判定に大きく成功した)
ストーリーテラーの思惑としては、これ以上の情報はキャマリラ側と接触することで手に入れて欲しかった。その為にジーナを用意したのだし、ウェインの背景もキャマリラに深く根ざしていたのだ。一度、エシュリオンへの公式参加の話をジーナから仕掛けてみるが、プレイヤーの反応は、「遠慮します。いいこと聞いたら、教えてくれ」程度だった。彼らは、正体がバレことに過敏になりすぎていたのだ。(理解はできる)
~病院~
ST:さて。ジルはいま何を?
ジル:病院でテレビを見てる。老人に囲まれて。
ティンマン:いいのかよそんなんで。
ジル:うるさ~い。
ST:いま気づいたんだが、ジルの携帯に着信のサインがあるぞ。
ジル:あ、マナーモードだった。(笑)
ST:エリザベスの店からだけど。
ジル:ぎゃ~いつの話?
ST:1時間ほどまえ。
ティンマン:まずいんとちゃうか。
ジル:ダッシュで店に向かいます。
~裏路地~
ST:うぃ。到着。裏口に面する路地に入ると、ちょうど写真の女性に出くわした。最後の給料を取りに来たんです。
ティンマン:問題ないよな。
ジル:問題ない。
ティンマン:捕まえる。
ジル:車に押し込む。
~車中~
ジル:「どうしたの。ウェインは一緒じゃないの?」
ST/エリザベス:「私の帰りを待ってるわ」落ち着いた様子だが、見せかけ。
ジル:「どこで?」
ST/エリザベス:「隠れ家よ。決まっているじゃない」「ねえ、私をどうするつもり?」
ジル:「彼から何も聞かなかったの?ある人に引き渡す。それだけよ」
ST/エリザベス:「私にもしものことがあったら、ウェインが黙っていないわ」
ジル:「は。脅してるのね」
ST/エリザベス:「彼は、この都市の長老にコネがあるのよ」
ティンマン:「ほお、聞いてやるから、説明してみろよ」
ST/エリザベス:「ウェインは、長老の子」
ジル:「へえ、じゃあなぜ、こそこそ隠れているのかしら」
ST/エリザベス:「間違いを犯したから。親に反抗して、家を飛び出したから」
ジル:「は。似たもの同士ってわけ」
ST/エリザベス:「でも、今は後悔している」
ティンマン:「のこのこ帰ってきて、玄関で主人の許しを待っている。イヌだ」
ST/エリザベス:君を睨む。「私は彼の支えになりたい。幸い私は、彼の父に目をかけられているの。二人の仲を取り持って、私は歌で成功する・・・・・・」
ジル:「わかった。ぜんぶ、わかった。胸糞悪い、キャマリラのシンデレラ・ストーリィね」
ST/エリザベス:「かわいそうに。あなたには分らないのね、この気持ち」
ジル:「知らない」
ティンマン:「電話を貸してくれ、ジル」
ジル:「いいけど」
ティンマン:アーネストに電話をかける。「アーネスト?」
ST:あ、え。「オレだ」
ティンマン:「ウェインの居場所がわかったぜ」
ST:まだ、喋ってないぞ!
ティンマン:喋らせる。「そこへ行け。ウェインとエリザベスが居るはずだ」
ジル:エリザベスは居ないでしょ。
ティンマン:ええねん。「ウェインを殺れ。エリザベスは渡してやる」
ST:アーネストは本気で「ありがとう。恩に着る」と言うけど。
ティンマン:「いいってことよ」切る。
ジル:どうするつもり?
ティンマン:たぶん、アーネストは死ぬだろう。よくても手配される。役立たずは切り捨てる。それだけだ。ああ、ジーナには教えてやってもいいかもな。
ST/エリザベス:「ちょっとまって、私はどうなるの?」
ジル:「さあ。あなたに選択の余地はないみたい」影を集めて彼女を縛る。
ティンマン:「新しい主人が教えてくれるだろう。なに、新しい環境にもすぐに慣れるだろうさ」
ST:悲鳴も上がらん。
ジル:「ああ。でも、ちょっと良心が傷むわね」
ティンマン:(バックミラーを除き込み)「冗談だろ?」
ジル:(外を眺めたまま)「冗談」