ダンカン
第11世代ブルーハー
表の個性:生存者 裏の個性:審判者 道:天国の道 コンセプト:兵士
旅の兵士。カルタゴの理想を追い求め、己の存在意義を追い求め、諸国を巡り様々な同族と出会うことでその謎の答えを得ようとする。
プレイヤー:チャッピー
リズ
第12世代ラヴノス
表の個性:盗賊 裏の個性:享楽 道:パラドックスの道 コンセプト:放浪者
旅の楽士。彼女は若く活力に満ちている。リズは、その“呪われた運命”すら嬉々として受け入れた。そこが闇ならば己が道を照らす炎になればいい。
プレイヤー:リサ
アルノ・ブランシュバイク
第9世代ツィミーシィ
表の個性:支配者 裏の個性:改革者 道:人間の道 コンセプト:貴族
トレメールの勃興に始まる大混乱により、彼は血親を失い一族は住み慣れた領地から離散を余儀なくされた。天性の策士であり、古い因習にこだわりを見せないアルノは、その数年後、異国の同族に取り入り己の領地をいとも簡単に手に入れてしまったのである。
プレイヤー:コニタン
ST、リプレイ執筆:ナッキー
プレイ日時:1998年11月7日(土曜日)午後5時~午時7時45分
ST(ストーリーテラー):始めるぞ。ダンカンは二人の従者と共に放浪の旅の途中だ。季節は晩秋、場所は夜の街道です。あっ、今回のプレイでは舞台の地理とかは正確に決めていませんから。たぶん、ヨーロッパのどっかの辺境領地。
ダンカン:はい。しかし、夜しか旅できないってすごいな、この時代に。
ST:ホント。とりあえずの目的地はこの先の“街”です。聞いた噂では血族の支配者がいるとかいないとか。
ダンカン:それは行かねばならぬな。
ST:ひどく冷え込む夜です。従者のベイクが、「おや、明かりが見えます」と言う。
ダンカン:そちらを見てみる。
ST:木々の間から焚き火のような光がちらちらと見える。
ダンカン:従者に向かって、「何だろうか?」。
ST:オズモが、「何であろうと、暖を取れるのはありがたいことですな」と皮肉を返す。
ダンカン:あぁ、バンパイアって寒さ関係ないんだっけ。グールは?
ST:人間とおんなじ。
ダンカン:そうか。「わかっておる、少し休憩とするか」。そちらに向かおう。
ST:近づいていくと焚き火を囲んだ十数人の人影が見えてきた。楽しげな楽の音が聞こえてくる。
ダンカン:「ジプシーか」
ST:オズモが「考えてみれば、こんな場所で野宿などジプシーの他ありませんな」と。
ダンカン:「宿無しとゆう所では我々も同じではないかね? それに、彼らは気の良い連中だよ」
ST/オズモ:「盗人である所を除けばですな」
ダンカン:「盗まれるほどの荷もないが、懐には注意しておくよ」
ST:リズはジプシーたちのキャンプで踊りを披露している。彼らとは今夜、偶然出会ったんだろう、それで宿を共にすることにした。森の空き地には焚き火を囲んで数家族のジプシーがいて、またそれを囲むように派手な彩りの馬車がとめてあります。
リズ:今で言うデコトラですか。(笑)
ST:踊りに熱中してきたところに不意に演奏が止んでしまった。どうやら、空き地に誰かやってきたらしい。どうぞ。(ダンカンに合図)
ダンカン:「お邪魔する。すまぬが、旅の者に火を分けてくださらぬか」
ST:魅力と共感で難易度7です。
ダンカン:全部失敗。
ST:静まりかえってしまったな。
ダンカン:(焦り)「そなたたちに危害を加えるつもりはないのだが…」
リズ:あらら。(笑)「とりあえずその物騒な物をしまってから言ってくれない?」
ダンカン:「おっ、これは失礼した」。剣とメイスをはずして従者にわたす。「これで、どうかな?」
リズ:「いいんじゃない、みんな?」
ST:ジプシーのリーダーが肩をすくめる。
リズ:「どうぞ、お坐りなさい」
ダンカン:なんかかえって居ずらいような、はじっこに坐ろう(笑)従者には食事でもさせよう。適当に落ち着いた所で、彼女に話し掛ける。美人なんだろ?
リズ:容姿、魅力、4ドットです。
ST:だいたいプレイヤーが汚いの嫌いやしの。
ダンカン:近づいて行って、「先ほどは口添えありがとう」
リズ:「どういたしまして。あんた兵隊さん?」
ダンカン:「まあ、そんなところだ。申し遅れた、名はダンカン」
リズ:「私はリズ」。タロットを取り出します。「ダンカンさん、占ってあげようか、あんたのこの先」
ダンカン:「占う? 私をか?」
リズ:「ええ。あなたの懐しだいだけど」
ダンカン:金とるんか。(笑)「うむ。やってみてくれ」
リズ:カードを切ったり並べだりして…。「次の出会いには気を付けることだね、特に女性には優しくすること。あと、仕事には当分ありつけないみたい…あの従者たちと相性が悪いのがいけないね」(←適当)
ダンカン:眉をしかめて、神妙に聞き入ってる。(笑)
ST:するとだね。知覚+警戒で難易度6。
ダンカン:2個。
リズ:1個。
ST:松明の明かりがキャンプに向かって進んできている。
ダンカン:「レディ、また客のようだ」。従者に目配せしておこう。
ST:近づいてきたのは5、6人の男たちでした。ジプシーたちも気づいて警戒している。
ダンカン:男たちの格好は?
ST:普通の村人て感じ。特に武装とかはしていない。男たちはキャンプの入り口で立ち止った、その中の1人が「ここで何をしているのか」と鋭い口調で尋ねてくる。
リズ:「見てのとおりよ」
ST/男:「ジプシーだな。ここを調べさせてもらうぞ」
リズ:私はかまわないけどね。
ST:けど、ジプシーたちは違うみたい。両方に緊張した雰囲気が漂うな。
ダンカン:しゃあないな、出ていこう。「何事だね? まず理由を説明するのが筋ってものだろう」
ST/男:「誰だ? ジプシーじゃないな」
ダンカン:「旅の者だ、彼らとはたまたま出会った」
ST/男:「ジプシーと一緒に野宿か…!?。子供がいなくなった。それで皆で探しているんだ」
ダンカン:「彼らはこう言っているが?」とジプシーに尋ねる。
ST:「人さらいなんてとんでもねぇ」と声が上がる。
ダンカン:「どうだろう、すこしの間彼らの好きにさせてみては? それで濡れ衣も消える」。 〈貫禄〉も使おうか?
ST:そうだね…、君の提案に一応納得したんでいいでしょ、渋々ながらジプシーは後ろに下がる。村人たちは、馬車をのぞき込んだり荷物をつついたりしていたけど、何も見つけられなかったので諦めたみたいです。男が、「早いうちにここを立ち去れ」と言う。
リズ:「そんなの私たちの勝手でしょ」
ST:何も言わず、君を睨みつけて帰っていく。
リズ:ふ~ん、シラケちゃった。
ダンカン:「街の者はどこでも、よそ者には冷たいものだよ」
ST:では、夜も更けていくのでいいかな。
リズ:食事したい!
ST:あぁ、だったらダンカンは知覚+警戒で、難易度は7。
ダンカン:3個~。
ST:なら、あの娘が吸っちゃてるところを目撃した。
ダンカン:はあっ、やっぱり。けど、黙っておこう。(笑)
ST:アルノ君、お待たせしました。(笑) 君、今何してる?
アルノ:蔵書をあさっています。
ST:カタッて音がしたので顔を上げると、書斎の扉が少しだけ開いているのに気づいた。
アルノ:「誰か居るのか?」と声をかける。
ST:ぱたぱたと足音がした。
アルノ:見に行ってみましょう。
ST:廊下に出たところで、小さな影がかどを曲がって消えるのが見えた。
アルノ:追いかけます。
ST:行き止まりにある部屋の扉がかすかに音を立てて閉まった。
アルノ:開けます。
ST:狭い物置みたいな部屋なんですが…知覚+警戒、難易度7で。
アルノ:1個。
ST:何かの奥に、小さい影がうずくまっているのがわかる。
アルノ:「おい」
ST:一生懸命、隠れている感じ。
アルノ:「お前、こっちを見ろ」
ST:影が這い出してきました。6歳くらいの少年ですね、脅えた顔でおずおずと君を見上げる。顔にすり傷があります、あと膝とかに包帯をしている。
アルノ:「どこから忍び込んだ?」
ST:首をふる、ふる、ふる。
アルノ:つかまえに行く。「言え、どこから忍び込んだ?」
ST:後ろから声がかかった、「旦那様…その少年は、私が連れて参りました…森で倒れていたのです」
アルノ:下僕だよね、「ほう、詳しい話を聞きたいものだ。ハンス、子供を連れて部屋に来い」
ST:深々とおじぎをしたまま恐縮した声で、「かしこまりました」
アルノ:で?
ST/ハンス:「今朝方、谷の下で見つけたのでございます。傷を負っていましたゆえ、連れて帰りました…傷を治してやろうと…」目を伏せる。
アルノ:「なるほど。少年に話を聞きたい、お前は下がっても良いが、心配ならここに居ても良い」
ST/ハンス:「失礼いたします」。おじぎをしてから部屋を出ていく。
アルノ:少年を椅子に座らす。「街のものか。名前は?」
ST:「フランツです」
アルノ:「どうして、こんなことに?」
ST/フランツ:「連れてこられたんです。街の外に遊びに行く途中で声を掛けられたんです…お菓子くれるって言ったから…そうしたら捕まえられて、袋に入れられたんです」
アルノ:「誰に?」
ST/フランツ:「偉い服の人」
アルノ:偉い服ねぇ。紋章とかが載ってる本を見せよう、「その男が着ていた服にこんな刺繍はなかったかね?」
ST:少年は悩んでいた風だけど、「これ」と、ある紋章を指した。
アルノ:どこのもの?
ST:ここ。(笑) ステファン卿の紋章。
アルノ:身内ですか。
ST/フランツ:やがて、「僕、お家へ帰ってもいいですか」と言う。
アルノ:「もっと話をしてからだ。袋に入れられて、それから?」
ST/フランツ:「どかに連れて行かれて、置いてけぼりにされたんです。ずっとやっていると袋から出れました。山小屋みたいな所で夜でだれも居ませんでした。家に帰ろうとしたんですが、真っ暗で森で迷ってしまって、谷のそばまで来たとき…」
アルノ:落ちたか。(笑) 犯人は人さらいか。ただの? まあいいか、ハンスを呼ぼう。
ST/ハンス:「ご用でしょうか」
アルノ:「この少年を部屋に案内しろ。明日になったら彼を街の近くまで送っていってやれ」
ST/ハンス:ちょっと嬉しそうに、「はい」
アルノ:「それと、すぐに馬を用意するように。ステファン卿の城に出かける」
ST/ハンス:「承知いたしました」
アルノ:早速、行く。
ST:ほな、城の部屋で会いました。蝋燭が1本だけの暗い部屋です、落ち着かなげなステファン卿が居る、痩せた初老の男です。
アルノ:「ごきげんよう」
ST/ステファン:「また、今夜は急なお越しですな」
アルノ:「聞きたいことがあってな。最近街で変わったことはないかね」
ST/ステファン:「と、もうしますと?」
アルノ:「人さらい」
ST/ステファン:「あぁ…噂程度には。町民の子供が1人、2人行方不明になったそうですな。悪魔の仕業であるとか、ユダヤ人の仕業であるとか噂されているようですが…あなたのお耳に入れるまでもないことかと思っておりました…」
アルノ:「街の警備を厳重にしろ」
ST:ステファンは、「は?」って顔をするけど。
アルノ:「気になることがあるのだよ」(←同族の関わりを疑っているらしい)
ST/ステファン:「街のものたちは周辺の見回りを行っておるようですが…あなたが、そうしろとおっしゃるのであれば」
アルノ:「よろしい。犯人を捕らえることがあれば私の所へ知らせるように」。帰ります。
夜明けの2時間前、二人の“カインの子ら”がそれぞれジプシーのキャンプを離れていった。ダンカンは森の中に日を避ける場所を探し、そこで眠りについた。従者は街へ向かわせて情報収集を命令してある。一方、リズは下僕と共に街に入り、そこでねぐらを確保、夜を待つ。
ST:では、次の日の夜です、まずリズから。
リズ:ねぇ、街角とかで仕事したらまずいの?
ST:日が暮れちゃうとなぁ。裏通りの酒場とかで踊らせてもらえることになったのでいいでしょ。
リズ:適当に踊る。
ST:下品なヤジが飛ぶ。
ダンカン:脱げ、脱げ言われるな。
リズ:これ以上、脱げないような格好なんだけど。
アルノ:靴下から始めれば?(笑)
(ST:こんなのってこの時代、御法度でなかったっけ? まずいかなぁ)
ST:夜も更けて、客もほとんど帰ってしまいました。残ったのは酔っぱらいと、遅くに入ってきた3人の若い貴族のグループだけです。貴族の1人が声を掛かけてくる、「女、こちらに来い」
リズ:はは~ん、まあいいや。笑いながら行く。
ST:ニキビのあるような若い貴族のそばに座らされた。素早く抱き寄せられる。酒臭い。
リズ:お財布ってどこだろう。
ST:腰じゃないの? その若造は君に感心があるみたいやけど、他の2人はなにやら小声で熱心に話し込んでいる。
リズ:適当に相手しながら、盗み聞き。
ST/貴族:「あのガキ、戻ってきたらしいじゃないか」「ヘルマン、女を抱いている場合じゃないぞ」「顔を憶えられてる…」「誰がそれを信じるって?」「しかし、あの女が怒っているぞ」
リズ:例の人さらいの話? 「ねえ何の話、あの女って誰?」
ST:そう言うと、君を抱いてる男が、「おや? 盗み聞きかい」と、「あの女てのは俺たちの先生なんだよ」って。他の2人が顔をしかめる。「それよりも、一晩つき合ってくれるんだろ?」
リズ:「高いわよ」
ST/貴族:「金の話か? かまわんよ」
リズ:わ~い、金払いのいい人って大好きよ~。(笑)
ST/貴族:「今晩はあの女の所へいく予定だろ」と他の奴が。
リズ:「そんなに怖い女の人なの? もしかして私より美人?」 ネクタイを持ちながら。(笑)
ST/貴族:「こいつらは無学な田舎者なんだよ、あの女の言うこと何もかも信用してるんだ。ジプシーのお嬢さんは背徳なんて言葉には慣れっこだろ」
リズ:「いろいろとね」(笑)
ST:大人なな。
リズ:大人なな。
ダンカン:わかんないぞ~。
ST:けど、ヘルマンと呼ばれた貴族は仲間に無理矢理連れられて出ていってしまいました。
リズ:稼ぎが逃げていった。(笑)
ST:さて、ふとホールに目を向けると、厨房の戸口から少年が顔を覗かせている。
リズ:あれっ、もしかしてこの子が例の? 話し掛けよう、「あんた、もしかして居なくなってた子? ここの子供なの?」
ST:後ずさりながら、うなづく。
リズ:そうだったんだ。さっと掴まえる、「何で逃げるのよ」
ST/少年:「放してよ、あいつらと話てたくせに」
リズ:「あれは仕事なの。ねえ、あの貴族たちに連れて行かれたの?」
ST/少年:「そうだよ」
リズ:「仲間に女の人っていた?」
ST/少年:「ううん」
リズ:「どこに連れて行かれたの?」
ST/少年:「山の小屋…。ねえ、放してよ!」と君の手を払おうとしたとき、はっとした表情になる。「お姉さんはあの人の友達なの?」
リズ:あの人って、貴族のことじゃないよね。「誰それ?」
ST/少年:「僕を助けてくれた人。その人も手が冷たかったから…」
リズ:ふーん。「たまにいるのよね、そうゆう人」
ST:するとだね、奥から「フランツ、何処にいるんだ」って声が。
リズ:少年から離れよう。あれ、下僕のマイセンはどうしてるの?
ST:椅子でうたた寝してた。(笑)
リズ:あんた、なにか役に立ちなさいよ。馬鹿!(←虐待)
ST:ではダンカン。
ダンカン:従者に話を聞く。
ST:はい、街では人さらいの話がありました。それと領主にはアルノという“古い知人”がいるそうです、彼は山中の古い塔に隠居しているそうですね。
ダンカン:ふ~ん、人さらいに領主の“古い知人”ねぇ。直接、話をした方が早いか…塔の場所はわかる?
ST:だいたいの所は。
ダンカン:向かおう。
ST:了解。薄いもやの出た山道を1時間ほど進みます、黒い塔が見えてきました。
ダンカン:扉の前まで行こう、ゴン、ゴンとノック。
ST:せむしの小男が顔を出した、「どちらさまか?」
ダンカン:「旅のものだが宿をさがしている、主人はおられるか」
ST:せむしの男は、「もと来た道をお帰りなさい」と言う。
ダンカン:うーん、「主人に会いたいのだ、どうしても」と言う。
ST:じっと君の顔を見ていたけど、なかに通された。アルノいい?
アルノ:客間で会いましょう。
ダンカン:うわー、出てきたよ。(笑)
アルノ:「ようこそ」
ダンカン:「お初にお目に掛かる、私はブルーハーのダンカン」
アルノ:めちゃ、自己紹介したな(笑)「なるほど。同族に会うのは何年ぶりかな」。飲み物を用意しよう。群れを呼んできれいな娘を選ぼう、手を切ってグラスに注ぐ。娘にはちゃんと包帯を巻いてやってから下がらす。
ダンカン:いただこう。「手土産でもあれば良かったのですが、なにせ旅の身なれば…」、従者に毛皮を運ばせよう、「こんな物しかありませぬが」
アルノ:「お気になさらぬよう。それはありがたく頂戴する」。ハンスに持っていかせる。「あぁ、自己紹介が遅れたな、ご存じかも知れぬが…アルノ・ブランシュバイク、ツィミーシィの者だ」
ダンカン:うおーっ、かっちょいい名前。(笑) 「アルノ殿、手短に用件を話そう。街で子供が失踪しているそうだが、あなたとの関わりは?」
アルノ:「うむ。その話は、私も昨夜知ったばかりのところだ」
ダンカン:「ほう…無関係であると。聞いた噂ではツィミーシィの血族は魔物と呼ぶに相応しい一族だとか」
アルノ:にやりと笑う。
ダンカン:顔をじっと見るけど?
アルノ:「今、街の者には事件の解決のために賊の捜索を呼びかけてあるところだ」
ダンカン:「ほう、それがまことなら、ツィミーシィに対する私の考えも改めねばなりませぬな」
アルノ:「ダンカン殿、口を慎まれよ」
ダンカン:「これは失礼した」
ST:そんな感じでいいですか?
アルノ&ダンカン:はい。
ST:さらに次の夜です。リズの所に例の貴族が訪ねてきました。ヘルマンと呼ばれた男です。今夜はしらふだし、いささか緊張した様子。
リズ:うわお、なんでしょう。怖いにゃ。
ST/貴族:「女よ、一つ仕事をしてもらおう」と金の詰まった袋を渡される。
リズ:「なんでしょう?」
ST/貴族:「今夜、街を出たところにある水車小屋まで、あるものを持ってきてもらいたい」
リズ:「あるもの?」
ST/貴族:「お前が、泊まっている酒場のガキだ」
リズ:あははは。「酒場の息子にどんな用があるの?」
ST/貴族:「知らない方が良いんじゃないか? うまくやったらその倍の金をくれてやる」
リズ:やばい依頼だな、どうしよう…。「いいわ、引き受けましょう」
ST:では、貴族は帰ります。一応、正確な水車小屋の場所は聞きました。
リズ:早速、仕事にうつります。
ST:下僕のマイセンが呆れた顔で、「だからこんな街さっさと出ようって言ったじゃないか。面倒に巻き込まれたぜ」
リズ:ってゆうか敬語使え、あほ。(←酷い)
ST:誘拐は判定のみで処理しましょう。機知+犯罪で難易度8。
リズ:意志力を消費しときます。4個成功。
少年は容易に捕らえることができた。リズとその下僕は闇に紛れて水車小屋に向かう。
ST:水車のそばまできました。暗闇からヘルマンが現れた。「子供は?」
リズ:「ここに」 子供を入れた袋を見せる。
ST/貴族:「ガキを置け。俺がお前だったら、今すぐに街を離れるがな」
リズ:「払いを貰えるなら」
ST:すると女の声が、「だめよ、ジプシー女など信用できるものですか」と。
リズ:誰?
ST:背の高い、ローブ姿の女が現れた。フードで顔はよく分からないが、白い肌と赤い唇が月明かりに浮かび上がって見える。貴族に向かって「2人とも殺してしまうのよ」と言います。するとヘルマンは溜息まじりに「男がいるじゃないか、女だけならまだしも」と。そう言いつつも剣を抜きます。
リズ:うわっ、下がる。
ST:マイセンが反り身の短刀を抜いて、君の前に出る。
ダンカン:く~っ、こっちに付いておくべきだった! 戦闘したい!
アルノ:わしら退屈じゃよ~。これでは、マペットになってしまうのじゃよ~。
ダンカン:パクパクパク(笑)
リズ:そうだ、〈キメラストリー〉(幻術)を使おう、完璧な暗闇で2人を覆います。
ST:はい。一瞬、間があって困惑した悲鳴が上がります。
リズ:素早く逃げちゃおう。子供を連れて森に逃げ込む。
ST:はい。ずんずん逃げます。追手の気配は感じられない。
リズ:少年を袋から出す。
ST:哀れっぽい顔で這い出す。
リズ:ごめんね~、悪気があったわけではないのよ。(←苦しい言い訳)
ST:じっと君の顔を見つめていたけど、ふいと立ち上がって歩き出す。
リズ:「何処いくの?」
ST/少年:「もうほっといてよ!」
リズ:それでもついていく。
ST:やがて、塔の前までやってきました。少年は扉を開け入っていってしまう。
リズ:追いかけて入っちゃおう。
ST:マイセンが、「おいおい、これはやばすぎるぞ」って。
リズ:「なにが?」
ST:「分かんないのかよ?」呆れた顔をする。
リズ:なによ、最近生意気ね。ボンド(下僕との絆)が切れかかっているのかしら。
ST:せむしの男が現れました。
リズ:「少年が入ってこなかった?」
ST/ハンス:「ええ。たいそう脅えていましたな。あなた様は?」
リズ:「説明すると長いの。この塔にはあなただけなの?」
ST/ハンス:「ご主人様がおられますが…ご主人様は招かざる客にはたいそうお厳しゅうごぞいますぞ」
リズ:「その主人に会いたいわね」
ST:だそうですが、アルノ君?
アルノ:客間に通しましょう。
ダンカン:やっと出番だ!
アルノ:えっと、少年もいるんだよね。そばに呼んで、「あの人たちは誰だ?」
ST/少年:「僕をさらった人だ!」
リズ:「子供では舌が足らないようね」
アルノ:「人さらいの犯人はジプシーというわけだったのかね」
リズ:「とんでもない。むしろ言うなら命の恩人なのよ」
アルノ:「本当に?」
リズ:「詳しく説明しましょうか」
アルノ:「お願いするよ」
リズ:かいつまんで話します、適当に都合の良いように。(笑) 貴族の話と、少年の誘拐を依頼されたこと、私は事件の黒幕を見つけて出そうとしてたのです。しかし、その黒幕に命を狙われました、だから少年を連れて逃げてきたのです。「誤解は解けたかしら?」
ダンカン:登場します。「おや、どこかで聞いた声だと思えば」
リズ:「あら、奇遇ね」
アルノ:「顔見知りかね?」
ダンカン:「先々日、街のそばで出会いました。同じカインの子です。」
アルノ:「今の話、聞いていただろう。このジプシーの言葉、信じられるかね?」
ダンカン:「そうですな、少なくとも2日前は誘拐の件には関わっていなかったのは確かですな」
アルノ:「なるほど。犯人がジプシーだけだとは私も考えていない。その貴族たちについて詳しく話してくれたまえ」
リズ:話します。あと、女のことも。
ST:アルノ、君はヘルマンという名には聞き覚えがある。ステファンの息子の名前と同じなのです。
アルノ:彼女の話と、ヘルマンの人相は一致しますか?
ST:します。
アルノ:なるほど、ステファンに使いを送ろう、明日の夜、息子のヘルマンをここによこすようにと。
ST:時間を進めます。ヘルマンが4人のお供と馬に乗ってやってきました。ハンスが彼だけを塔の中に案内します、従者たちは落ち着かなげに外で待ちます。ではご対面。
アルノ:「ごきげんよう」
ST/ヘルマン:「アルノ…殿か」
アルノ:「ステファンの息子か、大きくなったものだな」
ST/ヘルマン:「俺はあんたのことは憶えていないが」
アルノ:「ああ。君はまだ幼かったからな」
ST/ヘルマン:「…昔話をするために俺を呼んだ訳でもないんだろう?」
アルノ:笑う。「実は二、三、君に聞きたいことがあるんだよ」
ST/ヘルマン:「聞きたいこと?」
アルノ:「最近は、仲間の貴族とずいぶん楽しくやってるらしいな」
ST/ヘルマン:「は、親父に代わって説教か?」
アルノ:「子供をさらうのはなぜだ?」
ST:表情が硬くなる。
アルノ:2人に部屋に入ってもらう。「このジプシー娘は知ってるだろう?」
ST:苦々しげに「ああ」
アルノ:「なぜ、子供を誘拐する?」
ST/ヘルマン:「ジータ、あの女の命令なんだ。あの気のふれた女の話など頭から信じている程馬鹿じゃないが」
アルノ:「ジータとは何者だ?」
ST/ヘルマン:「本人が言うには魔女だそうだ。地獄のやからと契約を結べば富も地位も思いのままと、俺たちに言い寄ってきたんだ。始めは俺たちも面白半分だったが…。子供を生け贄に捧げようと言い出したのはジータだ」
アルノ:「よろしい、ジータの居場所はわかるな。案内してもらおう」
ST/ヘルマン:「お、おい、あんた。親父の友人だかなんだか知らないが、ここはいずれは俺の土地なんだぞ、それを忘れるなよ」
アルノ:肩に手を置こう。(笑)「君ももう少し大人になれば分かることだよ」
ST:ヘルマンの案内で森の中を進みます、ジータは街から離れた小屋に住んでいるそうです。
ダンカン:ついて行くぞ。戦闘~、戦闘~。
リズ:一応、行きます。
ST:傾いた小屋のそばです。小屋の裏に焚き火程度の明かりがちらついている。異国の言葉の冒涜的なささやきが聞こえてきます。知性+オカルトで難易度6。
アルノ:3個。
ST:典型的な悪魔崇拝儀式ですね、陳腐すぎるくらいかな。
アルノ:えせ魔法使いかな? UFOのチャネリングみたいなものか?(笑) ヘルマンはここで大人しくしていてもらって、俺たちは正面から出ていこう。
ST:炎の前で跪いたローブの女がいる。祈りに熱中していたけど、君の気配を感じて顔を上げる、驚きと恍惚の表情で、「地獄の君…よくぞおいでくれました!」
ダンカン:こいつバンパイアじゃなかったのかぁ。
ST:後ろの二人を見て、「違う、あなた達は誰?」
アルノ:「ヘルマンから話は聞いたぞ、こんな儀式に人間の命を使うなんておかしい話だ」
ST:はっとして、「アルノというのはあなたね」
アルノ:「正解だ」
ST:ジータは、ナイフを手にして君に投げつける。けどそれは大きく外れて闇に消えた。すぐに背を向けて逃げ出す。
リズ:幻の炎を吹き上げる、地獄の炎みたいな。
ST:悲鳴を上げて後ずさる。
ダンカン:捕まえた。
アルノ:「街の者に引き渡すよ、それくらいは覚悟していたろう」
ST:ジータを連れた君たちの姿を見て、ヘルマンが「これで一件落着だな。こいつが吊されればすべて丸く収まる」
アルノ:「ヘルマンよ、お前も悪魔を呼び出したかったのだろう?」
アルノ:「よろしい。悪魔に会わせてやろう」彼の顔を掴みます。
ST:ヴィシシチュードか!(肉体を歪める能力)
闇に悲鳴が響く。