「ドラコ」(2011年、ポーランド)は、「K2」のデザイナー、アダム・コルーザ氏による2人用対戦ボードゲームです。
ドラゴン側とドワーフ側に分かれ、攻撃や防御のカードを出しあいながら戦うゲームとなっています。
ルールは非常に簡単でボードもコンパクトなものですが、じっくり考えながらプレイをすすめるタイプの作品となっています。
カードを出すか残すか、攻撃を止めるか受けるか…といった決断と駆け引きが勝負を分けることになります。
各陣営の攻撃・防御は付属のカードを山から引くことによって決まりますが、このカードの構成がとてもよくできており、
どちらの側も「圧勝」状態にはなりにくいバランスになっています。
最後のカードが使い切られるまで、両プレイヤーとも気の抜けない展開が続くようになっているのです。
今回の戦いはドラゴン側の勝利でしたが、ドワーフ側のカードがあと1枚多ければ勝敗が逆転していました。
シンプルなルールでプレイ時間も30~40分程度というお手軽さと、あれこれ悩みながら作戦を練る奥深さが両立した傑作です。
「キングダム」は2011年にアメリカのファンタジーフライト社から発売されたゲームです。
デザイナーはドイツゲームのヒットメーカー、ライナー・クニツィア氏。
実は1994年に発売された「市場のお店」というゲームのリメイクです。
各プレイヤーは得点タイルを配置し、同じ行や列のマスに自分の城を建てていくことで得点を得ていきます。
得点タイルはマイナス点のものもあり、ライバルの城に不利益を与えることもできます。
また、戦局を大きく変化させる強力な特殊タイルも用意されており、それらの使い方も勝敗に大きく関わってきます。
基本的には「いい場所」(プラス点の多い行や列)に自分の城を建てることで勝ちを目指します。
しかしあまりにもいい場所を選びすぎると、ドラゴンタイル(その行と列のプラス点を全てゼロにする)の格好の的になったり、
山タイル(得点の計算を分断する)で邪魔されることになるかもしれません。
かと言って城を建てることを躊躇していると、あっという間に土地が埋まってしまい、得点を得ることができません。
城を建てるタイミングを見極める力、効果的にタイルを配置する力、山から強いタイルを引く運など、様々な要素が求められます。
ルールとテーマの結びつきがあまり強くないという印象でしたが、意外にもタイルの配置でドラマチックな展開になります。
(あの豊かな土地にドラゴンの攻撃が!とか、沼からトロールがやってきた!とか言いながらのプレイになりました。)
得点計算は少し複雑で、電卓や記録用紙が必要になります。
そのせいか、圧勝だと思っていたら実は負けていたということもしばしば。
今回のプレイでも第二ラウンドまでで圧倒的に勝っていたと思っていたら、最終的に最下位という展開になってしましました。
最善の手を探る思考力と、運の要素が絶妙に両立しているボードゲームのお手本的作品でした。
最後はクトゥルフ神話をテーマにしたダイスゲーム、「エルダーサイン」をプレイしました。
各プレイヤーは一人ずつ「キャラクター」を受持ち、クトゥルフなど「旧支配者」の復活を阻止すべく「旧き印」を集めます。
今回選ばれた「旧支配者」は「イタクァ」。嵐、吹雪の神格です。
プレイヤー達は序盤、達成すべき障害の難しさに翻弄されますが、徐々に協力のコツや特殊能力を活かして活躍し始めました。
難しい冒険をいちかばちかで成功させたときは大いに盛り上がり、ピンチのときにはお互いの能力でサポートし合います。
結果、イタクァの復活より前に無事「旧き印」を集めることに成功し、ゲームに勝利することができました。
イラストやコンポーネントのデザインも素晴らしく、クトゥルフ神話のファンや協力型のゲームをやってみたい人にはおすすめです。