近衛要は友人の腕を強くつかみバスの乗り込口から引きずり降ろした。
みぞおちに突き上げるような吐き気に襲われながらも行動にでたのは、日頃の鍛錬の成果であり、なにより彼がメイジある証であった。
当惑した友人の抗議の声を無視して、バスターミナルからできるだけ離れようと早足で歩き出す。
紺色の制服の運転手は、冷めた視線で二人をチラ見してから、無関心を装うことに決めたのかバスの扉を閉めた。
その直後、バスの車内にオレンジ色の炎が躍った。窓ガラスに白い亀裂が走り轟音と共に外側にはじけた。
八丁堀京の構えたカメラはペンテックスV-25型。明石焼きを撮影するにはおよそ不釣り合いに武骨なカメラだ。
ボディに張られた黒いテープは光の反射を防ぐためである。
薄汚れたテーブルのまん中に置かれた明石焼きの周囲をぐるぐる回りながら、ファインダーを覗き込んでいた。
カメラアングルを決めかねているようでもあるが、テーブルを回るごとに明石焼きが消え、口をモグモグやっているところからすると、あまり真剣な撮影とはいえないのかもしれない。
やがて店内の奥に置かれたテレビが阪神中日戦を中断し緊急速報を流し始めた。
うわずったアナウンサーの声と共に映し出されたのは黒煙を上げる高速バスの姿であった。
躑躅森灯也は立ち食いそば屋のカウンターでふとケイタイを開け、顔をしかめた。
夕方前にソーシャルワーク業務の家庭訪問が片付き、今日はなんとか定時に仕事をあがれそうだった。
それなのに、意外な人物から着信記録が残っていたのだ。
素うどんをたいらげたのち、駅のホームのベンチに腰掛けしばし思いを巡らせていると、自宅方向の電車が到着した。
駅構内に設置されたテレビジョンにニュースヘッドラインが流れる。
「高速バス駅で爆弾テロ発生?!」 躑躅森灯也は立ち上がり、駅の階段を駆け上がった。
名前:近衛 要(このい かなめ)
プレイヤー:チャッピー
流派:ヘルメス梯団
身上:教師
知覚、知性高い。隠密、霊感、警戒、指揮など得意。
名前:八丁堀 京(はっちょうぼり みやこ)
プレイヤー:あゆみん
流派:アカシャ同胞団
身上:フリーカメラマン
敏捷高い、肉体派。格闘、運動、瞑想が得意。
名前:躑躅森 灯也(つつじもり とうや)
プレイヤー:ナッキー
流派:天上聖歌団
身上:ソーシャルワーカー
社会系能力高い、交渉高い。調査、表現力、裏社会など得意。
名前:羽矢 勝郎(はや かつろう)
流派:ヘルメス梯団
礼拝所持ってる(自身がオーナーの賃貸マンション一階)
大阪府警 刑事部 捜査五課 課長 (警視)
メイジらしい活躍はしなかった、ちょこちょこPCに情報を流しただけw
名前:広村 里奈(ひろむら りな)
穢れの民
20年前に夫を強盗に殺害される。
復讐のため爆弾テロを装って当時の容疑者を殺害する。
名前:出口 崇(でぐち たかし)
20年前の強盗殺人事件の容疑者。
当時は未成年。
最初のバスの爆発で死亡。
名前:松田 和夫(まつだ かずお)
出口の共犯者。建設作業員。
アパートで殺害される前にPCに助けられる。
大阪駅のターミナルで高速バスの爆発事故が発生。
偶然にもその場にいあわせた近衛要は、メイジの霊感でこれを察知します。
バスに乗り込もうとする友人を引き止めて無事事故を免れました。
事件を受けて、羽矢勝郎が3人のメイジを召集しました。
羽矢は、現場で見つかった奇妙な硬貨をメイジの焦具と断定、メイジがらみの事件として秘密の捜査を依頼したのでした。
彼の推理を裏付けるように、現場からは爆破の原因を裏付ける爆弾のような証拠品は発見されておらず、
はやくも原因究明に行き詰った警察関係者は途方に暮れているそうです。
硬貨を預かった躑躅森が《精神》を使って焦具と術者のリンクを読み、バス爆破の犯人とターゲットの顔をおぼろげながら幻視しました。
そして幻視の記憶を頼りに得意の似顔絵を描こうとしますが、これは微妙な完成度でした。
続いて3人はバス爆発による被害者リストをチェック。
そこから、爆破の犯行目的は20年前の強盗殺人事件の容疑者である出口崇の殺害ではないかと見当をつけます。
過去の記録から強盗殺人事件の被害者の情報を入手。
これを手掛かりに躑躅森と八丁堀が《精神》《原質》《時間》を駆使した魔法を行使。
バス爆破の犯人は広村里奈だという確信を得ました。
3人は広村里奈の自宅を訪問します。
近衛要が《転変》を使って、家の窓の鍵を“たまたま壊れていた”ことにして開錠。
空き巣さながらに家宅捜査を行ない、殺人計画に関する多数の記録を入手しました。
部屋の状態から、広村がここ数日は自宅に帰っていないことを知ります。
広村里奈はどこに? いまや、彼女の犯行動機は明らかです。
そうなると、狙うのは夫殺しの共犯者しかありません。
3人は、羽矢に頼んで強盗殺人事件の犯人松田和夫の住所を教えてもらいます。
松田の暮らすアパートに急行しました。アパート近くの路上で広村里奈らしき女性を発見。
話しかけようと慎重に近づきますが、彼女はハンドバックから小さな硬貨を取り出しました。
有無を言わせぬ態度に慌てる3人ですが、近衛の《転変》による『偶然』攻撃や躑躅森の《精神》による『一喝』攻撃よりも早く、
八丁堀が輪郭がかすむほどの超猛スピードで反応、焦具を叩き落とし拘束までしてしまいました。(「禅よ…」八丁堀談)
羽矢勝郎に連絡を入れて状況を説明、事後処理を任せます。
ここで現場付近に不審な車が停車していることに気が付きますが、近づこうとすると急発進して走り去りました。
謎を残したまま、セッション終了となりました。
ストーリーテラー: コニタン
プレイレポート執筆: ナッキー