IoTやAI技術の発展に伴い、センサデータの利活用に関する事例が増えつつあります。また、内閣府が見据える次世代社会 Society 5.0の実現を目指し、様々な分野でデータの収集・分析・活用の取り組みが行われています。センシング技術は、対象に触れることなくセンシングを行うリモートセンシングと対象の近くにセンサを設置して直接的に計測を行うスマートセンシングに分類できますが、特に個体差の大きいライフサイエンス分野においては、直接的に個々の状態を把握し適切な対処を行うスマートセンシングが望ましいと言えます。しかし、多数のセンサを装着するためには柔軟材料などに実装することで装着をしやすくしたり、日常生活で使用するデバイス等の立体構造上に実装することで、装着をしやすくするなどの工夫が必要となります。また、各センサの測定データの時空間情報が揃っていないとデータ解析が難しいため、それぞれのデバイスが連携し、応用先に合わせた適切なセンシングを行うことも必要です。
現在、多くの取り組みが行われている多数のセンサデータの解析とAI等による適切なデータ提示の先には、そのセンシングデータを元に、働きかけを行い人の手を介さない状態管理が期待できます。工業分野においては、スマート工場などセンシングデータに基づいて品質管理を行ったり、自立ロボットなどカメラやマイクによる周囲の状況に合わせて行動したり、LiDARや赤外線センサ、カメラ等の情報から自動運転を行ったりと、センシングデータを元に働きかけを行う事例も実現されつつあります。一方で、医療・ヘルスケア・農業などのライフサイエンス分野においては、あまり開発が進んでおらず、CGMS(持続血糖計測)のデータを元に自動でインスリン投与を行う人工すい臓以外は実現している例がありません。これらの技術課題の明確化と、有効な仕組みについて検討することで、本国の国際的競争力の向上や開発基盤の確立、さらにはMEMS産業の活性化につながると期待されます。
本委員会では、以下の項目を調査検討事項としています。
① 多数のセンサ・アクチュエータを装着するための立体構造や柔軟材料への微細加工・実装技術
② 多数のセンサ・アクチュエータの連携に有効なデータ取得手法
③ 異分野融合による開発の有効事例や適切な仕組み
④ 未来の社会で求められるセンサ・アクチュエータ技術やその応用分野
2025. 3. 23 第3回調査専門委員会記録を追加しました。
2025. 1. 11 協賛研究会を追加しました。
2024. 12. 16 ホームページを公開しました。