クレーン現象っていう言葉、聞いたことありませんか?
おもちゃなどを取ってほしいときに、お母さまや近くにいる大人の手をもって、そのおもちゃのところへ大人の手を移動させて、自分で取る代わりに、取ってもらおうとする行動です。
そもそも、このクレーン現象とは、発達上どういった行動なのか、普通に見られるものなのか、一般的な児はやらない特徴的な行動なのか、疑問に思いますよね。
どうして『クレーン現象が見られる』のか?~その背景と関わり方~
① 言葉による要求表出が困難である
・ジェスチャーや絵カードで要求を伝える方法を教える
・「欲しい」「ちょうだい」などの表現を遊びの中で練習する
② 他者を道具として認識している傾向がある
・他者との関わりの楽しさを経験させる遊びを増やす
・一緒に活動する場面で他者の存在を意識づける
③ 要求に応じてもらえた成功体験から定着している
・ことばや視線で伝えると叶う体験を重ねる
・クレーン行動では応じず、他の伝え方を促す
④ ASDの傾向により人との関わりが乏しい
・他者とのやりとりが楽しいと感じる支援を行う
・「相手の気持ち」に気づける関わりを意識する
⑤ 指さしや模倣などの前段階のスキルが未獲得
・指さしを促す遊びややりとりを日常に取り入れる
・大人が指さしを見せて、まねしやすくする
⑥ 自分の意思を通す手段として定着している
・本人の意思を尊重しつつ、別の手段を示す
・「こう言うと伝わるよ」と視覚支援で補う
⑦ 相手の視点を想像する力(心の理論)が未熟
・やりとり遊びで相手の反応に注目させる
・「どうして○○したのかな?」と気持ちに注目する声かけをする
⑧ 身近な大人がすぐに応じてしまっている
・伝え方に応じて応じる・応じないの切り替えをする
・家族や関係者で対応を統一するよう共有する